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02.仮面ライダー BLACK SUN #ドラマ感想

1.今日の余談(私と仮面ライダー)

まず初めに、仮面ライダーは私の在り方を形成している。
物心ついた頃には親によって仮面ライダーを見るようになっていた。
覚えている昭和ライダーは、仮面ライダーV3、仮面ライダーBLACK RX。
平成ライダーはクウガ~電王までの8作。

彼らの在り方は、
・行動には信念がある。
・人柄は温厚で頼りがいがある。
・闘いには自己犠牲もいとわない。
・そして弱きを助ける。

まとめると
・自身の信念のもとに、人としての正しい道を歩む。
・目の前の人へも、巨大な悪の組織であっても、筋は通す。
誠実で律儀、これが私の「正義」の根幹にあたる。

たまたま作中での信念が、自身の復讐先でもある巨悪組織であり、それが弱者救済にもつながっているだけだと今ならわかる。
英雄(ヒーロー)とは誰目線かによって変わるものだ。


・多様性ってなんだっけ

今作に深く関連するのが、多様性だ。
意見を持つことは大事だが、自身の意見における弱者に、耳を傾けているだろうか。
自分にとっての常識は他人にとっては非常識。
無自覚な差別は誰もが行っている。もちろん私もだ。
それを自覚する必要はあると考えている。
ネット上などの匿名な場合においても、傷つく人がいるのであれば、知らなかったでは済まされない。

また気がついた時は、強く指摘するのではなく、優しく伝え合おう。
偏見による排除は、多様性からかけ離れた思想であることは間違いない。
最後にアインシュタインの好きな言葉を1つ。
「常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことだ。」

2.紹介(大人向けのリメイク作品)

仮面ライダー50周年を記念して、アマゾンプライムにて独占配信中。
全10話、各話約45分。
裏社会×政治活動×人種問題×青春×アクション×ファンタジー

・何故シリアス路線か。

原作者は言わずと知れた石ノ森章太郎。
テレビでは子ども向けのヒーロードラマとして制作されており、こちらの認知度が高い仮面ライダー。

しかし同時に連載されていた漫画は、とても子ども向けとは言えない。
雰囲気はシリアスで、描写は凄惨で、物語は悲劇的だ。
50周年を記念した作品では、これまで愛してくれたファンへのサービスだと考える。
そのため大人向け、漫画版のリブートが選ばれたのだろう。
つまり内容も、テレビ版ではなく漫画版に近い可能性が高い。
(表記がBLACKとすべて大文字なので、テレビ版寄りかもしれないが。)

・何故Blackか。

また石ノ森章太郎が実際に漫画を描いたのは、初代・アマゾン・Blackの3本だけだ。
その中でもBlackは、原点回帰を掲げていた作品でもある。

初代は何度もリブートされ、アマゾンは2016年にアマゾンプライムでリブートされている。

50周年を記に、大人向けのリブートを考えると、Blackが選ばれたの必然といえるだろう。

3.紹介(盤石の製作人)

実は今作はR-18指定だ。
それでも仮面ライダーに対して、子ども向けの特撮番組のイメージがぬぐえない方もいるだろう。
そこで製作人を調べた。詳細は語らないが、過去作を確認して安心してほしい。

・監督:白石和彌さん
「日本で一番悪い奴ら」「孤狼の血」等。
 いわゆるノワール(裏社会を描いた)作品において、日本を代表する監督。

・脚本:高橋泉さん
「ミュージアム」「秘密 THE TOP SECRET」等。
 思わず目を覆いたくなるような、容赦のない凄惨な内容の脚本を手掛ける。「巨悪」では白石和彌さんとタッグを組んでいる。

・造型:藤原カクセイさん
「寄生獣」「アイアムアヒーロー」「今際の国のアリス」等。
 ダークファンタジー漫画の実写化をヒットへと導いた立役者の一人だ。

もちろん特撮としての良さも損なわない。
特撮監督には、ウルトラマンシリーズの多くを手掛ける田口清隆さん。
キャラクターデザインには、平成仮面ライダーシリーズを手掛ける小林大祐さん。
そしてコンセプトビジュアルは、「シン・ゴジラ」の監督で、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズに画コンテとしても参加しており、特撮の現代リブートに庵野秀明さんと肩を並べて取り組んでいる、樋口真嗣さんだ。

キャストも熱く語りたいところだが、割愛する。
シリアスな物語に出演すると、雰囲気のある俳優ばかりだ。
世界観のコンセプトがしっかりしている分、雰囲気が出せず、演技派でもないと浮いてしまうのは痛いところだ。

4.あらすじ

時は2022年。国が人間と怪人の共存を掲げてから半世紀を経た、混沌の時代。
差別の撤廃を訴える若き人権活動家・和泉 葵は一人の男と出会う。
南光太郎──彼こそは次期創世王の候補、「ブラックサン」と呼ばれる存在であった。
50年の歴史に隠された創世王と怪人の真実。
そして、幽閉されしもう一人の創世王候補──シャドームーン=秋月信彦。
彼らの出会いと再会は、やがて大きなうねりとなって人々を飲み込んでいく。

5.こんな日に観て

・特撮という日本の文化に触れたい日
・ダークファンタジーに浸りたい日
・人権問題や社会情勢について思考を深めたい日

6.評価・感想

★★★★☆ 4.0 普段映画を観ない人にもおすすめ。
自信をもって推せる、ダークで社会派な仕上がり。
造型も非常に昆虫的(モデルはトノサマバッタ)。
ヒーローではなく、1人の登場人物としての南・秋月。
彼らの年齢差も合点がいくような設定になっている。

・考察(以下、ネタばれあり)

1話目で分かった世界構造ををまとめていく

・南(西島秀俊)と秋月(中村倫也)は実の親から手術を受ける。
・またこの手術では日食がカギであった。
・この冒頭シーンより50年以上時間が経った時間が、メイン舞台となる。
・日本では怪人と人間が生活している。海外では不明だが、怪人の存在は認知はされている。
・社会情勢としてはデモが盛んにおこなわれており、治安は悪化している。
・与党としてゴルゴム党が政治を行っており、構成員には怪人がいる。
・創成王と言われる怪人から、採取した液体でヘヴンと言われる物が作られている。
・ヘヴンには老化の進行を抑える、もしくは止める効果がある。
・また秋月と南は、50年前に創成王と因縁があり、その際に秋月はゴルゴムにとらえられ、南は死んだと認識されている。

・推測

当たった場合、2話目以降のネタバレになるので要注意。
漫画版もテレビ版も記憶にはないため、そのうえで記載していることは了承いただきたい。

世界観
・南と秋月が受けた手術に関しては2つ候補がある。
1つ目は、病など人類の危機を救うために行った手術で、副作用として怪人化してしまった。また手術の基となった生物が、創成王となり怪人の繁栄につながった。
2つ目は創成王を倒すための、怪人化の手術だ。
また南と秋月の親が創成王を生み出した可能性も考えられる。
・50年前に創成王・ゴルゴムVS南・秋月の戦いが行われた。南と秋月はこの時に負けている。
・与党構成員との言い争いから、総理は怪人ではない可能性がある。
・ヘヴンによって老いを抑制する必要は、怪人としての力の温存が理由と考えられる。怪人化の抑制も考えたが、創成王から採取したものを活用している点と、一般の怪人が自由に怪人化していたことから、この可能性は低い。
・秋月が50年間ゴルゴムにとらえられていた理由としては、創成王候補であるため。また南も創成王の候補にあたる。
・和泉 葵の両親は指名手配中。現在は中国へ逃亡している。
・和泉 葵はゴルゴムの探している太陽の石を保有している。
・太陽の石は、南と秋月の体内にあるものと同様の物。

今後の展開
・南は保護した子どもとの関わりの中で、良心を取り戻していく。
・メインストーリーは怪人の人権問題。
・バトルシーンはゴルゴムによる南・秋月・和泉を狙った怪人との闘い。
・最終的には南と秋月によるゴルゴム解体。
・最終回では秋月が怪人だけの世界を構成するために、南に立ちふさがる。

・まとめ

ここまで熱く語ったが、実はまだ1話目しか見ていない。

noteを書いた理由は一人でも多くの人に、この作品を観てほしいと思ったからだ。
最近はアニメ化された漫画や、実写化など、若者は性別問わず見ている人が多い。そこで私は同世代に、1話だけでも良いから見てほしい。
また来年には「シン・仮面ライダー」が公開される。今から仮面ライダーに触れることで、また1ジャンル、観る映画を広げてみてはいかがだろうか。


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