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職場内のコミュニケーション~チャットか口頭か

せっかく入れたツールが宝の持ち腐れにならないように

私の職場では職員同士の情報共有はグループウェアで行うルールになっています。グループウェアとは、代表的なものではmicrosoft社のTeamsなどで、職員同士でチャットをしたり、ファイルを共有したり、リモート会議ができる機能を備えたツールです。

職員全員が参加しているグループチャットを使えば一斉に連絡ができますし、記録が残るので過去のやり取りを遡ることができるので大変便利です。
しかしこういったITツールは、使いこなせる人とそうでない人の差が大きく出るのも事実です。使いこなしている人は次々に業務連絡をチャット上で流しますが、ITが苦手な人はそれになかなか対応できずに、何日も経過して初めて中身を見ているなど「それなら口頭の方が早い(-_-;)」と思いたくなるケースもあります。

せっかくお金をかけてグループウェアを導入しても、使いこなせない人が一定程度いるとその機能を十分に活かせないのです。皆さんの職場でも、新しく入れたITツールと既存のアナログツールが併存してしまっている状況はないでしょうか。これってすごく非効率ですよね。

私は基本的には、効率化のために入れたツールであれば、ツールに人間の行動を合わせていくべきだと思います。もちろん、導入にあたってはしっかりと職員の意見を聞き、多くの職員にとって使いやすいと思われる機能を備えたツールを入れるのは大前提で、職員の意見もろくに聞かずにトップダウンで入れたツールが浸透しないのは言うまでもありません。
しっかりと職員の意見を聞いて大部分の合意が得られたITツールであれば、たいてい業務効率化は図れるはずです。もちろん完璧なシステムなどはないので多少今までの業務のやり方を変えなければならない部分があるかもしれませんが、少数の人が使いにくいからといって、使わない人が一定数出てしまうと職場全体の最適化を阻害することになるのでそれは避けなければならないと思います。

ですので、ITが苦手な人も「読み書き算盤」と同じレベルの基礎的な知識だと割り切り、それを学ぶのも仕事のうちだと考えて勉強してほしいと思います。わからなければ得意な人に聞いてほしいし、得意な人はわからない人に教えてあげてほしいです。

ただし・・・ただしです。そうはいっても、そのツールの使い方には注意が必要です。特にITツールを得意な人に気を付けてもらいたいと思うこともあります。

便利なツールは諸刃の剣

チャットなどのITツールは便利だと思う一方で、これが得意で使いこなしている人の中で、職場の円滑なコミュニケーションを阻害してしまう人もいるのです。
たとえば、座席が近いのにチャットだけで連絡してそれで終わりというケースです。目の前に相手がいるのに、チャットで送るだけで口頭の声かけもしないというのは、受け取った相手がITツールに苦手な人であればあまり気分が良くないことかもしれません。もしかしたら、連絡を受けたことすら気づいていないかもしれない。

定例的な事務連絡であればそれでも支障ありませんが、仕事上、指差し確認が必要なレベルの重要な案件でも、チャットで自分の意見を投げかけるだけで口頭での声掛けをせず、一定時間のあいだに返事がなければ合意が得られたと考えて仕事を前に進める人もいます。
受け手からすると、いやいやそのチャットまだ見ていないです、自分はその意見に反対です、となって後で揉めることもあります。

これはチャットを見ていない方が悪いのか、指差し確認しない発信者側がわるいのかという問題はあるのですが、使い方が雑だと逆に業務に支障をきたしたり、職場の意思疎通のためのツールなのにお互いに軋轢を生みだす原因になることも残念ながらあるのです。

文章力と相手への配慮が大事

軋轢を生む原因はもう一つあります。こういうツールは発信者側の文章力と 読み手側の読解力がある程度高いことが前提になっていますし、 どちらかというと発信者側の文章力がより重要だと思います。
ですが、残念ながら我々は文字だけを使ったコミュニケーションにそれほど長けているわけではありません。

ITツールを得意な人が分かりやすい文章作成が得意かというと必ずしもそうではないです。
むしろ、そういうツールが中途半端に得意な人ほど「書いている内容はわかるけど、意図やなぜそう思ったのか伝わりにくい、感情的に受け止めにくい文章」を書く人が多い印象です。そして伝わらない原因は相手にあると思っている人も多いように思います。

余計なフレーズを一切入れず結果だけをスパッと書いた文章は、言いたいことは明確ですが、なぜそう思ったのかという意図や理由、相手の心情に対する配慮が抜けてしまいがちなものです。
特に文字だけの情報だと非常にトゲのあるきつい表現に感じることはよくありますよね。まるで攻撃されているかのように感じることもあると思います。グループチャットですとそれを全員に見られているので、さらにストレスは高まります。

私が経験した事例では、グループで一つの資料を作成している際に、誰かが追記した文案を、ITが得意な別の職員が削除し、自分の文案で上書きしたことがありました。しかも削除理由を一切書かずに・・・。これで、私も含めてグループの他の人はとても気まずい思いをしました。

特に削除された本人は非常に大きなストレスだったと思います。削除理由を明確に示してもらえれば納得できた話でも、理由も示されず文案を削除だけされれば、冷たい印象を受けてそれ以上仕事を進めにくくなるのも無理はないかもしれません。
そして、それに対して下手な返信をしたらさらに攻撃されるのではないか、それをグループチャット内でみんなに見られるのもイヤだという気持ちから慎重になり、返事を書くのが億劫になり、それによって、仕事は滞ってしまいました。その場は私が口頭で両者の意見を聞き取り、文案をまとめましたが、チャットツールだけではうまくいかないこともあると感じたエピソードです。

敢えてひと手間かける

私自身が受け手の立場でこのような「声掛けしない」「理由を示さないなど文書が雑」の発信を受けてときで、かつそれを無視するわけにいかない案件であれば、チャットでこれはどういう意味ですか?と質問したうえで、さらに口頭でその人に真意を質すようにしています。
チャットだけで確認をすると、お互いに話がかみ合わなくて何往復もやり取りが繰り返され、感情的になることが多く、口頭で確認した方がお互いに誤解なく仕事を進めていけるからです。
このチャットで質問したうえでの口頭確認は、冒頭の「ITツールとアナログの併用は非効率」という主張と矛盾するようですが「ITは得意だが文字を使った伝え方が下手」、「ITそのものが苦手」な人が併存する状況では、折衷的にやらざるを得ないことだと思います。
チャットと口頭を併用するものの、チャットを使うことで伝えた記録は残るので、口頭だけのコミュニケーションよりもメリットはあるはずです。
発信者の手抜きを受け手側の自分が補完するのもどうなのかと思うときはありますが…

ですので、自分が発信者に回るときは、相手に無用のストレスを与えないよう、できるだけ簡潔に書くことを心掛けつつ、自分の意見の理由を丁寧に書いて相手に意図や背景が伝わりやすくするよう努力したり、文章の末尾に「!」を入れたり、話し言葉に近い表現で記載することで(※)できるだけ冷たい印象を与えないように努めています。充分できているかはわかりませんが(^^;
※もちろん、それが許される間柄である場合に限ります。
発信者も受け手も、新しいツールを使いこなせるようお互いに努力することが円滑な業務進行には欠かせないと思います。チャットと口頭の良いとこ取りをしていけるような仕事ができて、効率化が図れると良いですよね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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