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【超短編小説】 スライム

家に帰る途中にグチャと音が鳴り、何かを踏んだ。

暗闇の中で足元がよく見えない。

スマートフォンのライトで照らして靴の裏を見ると、スライムが付いている。

「誰だ、こんなところにスライム落としたのは」

私はそう思いながらスライムを靴から剝がそうとするが、なかなか取れない。

「仕方がない」

ペタペタと音をさせ、スライムを両靴に付けたまま家に帰る。

玄関でもう一度靴の裏を見てみると、黄緑色のスライムがくっ付いていた。

手で剝がそうとするが、靴の溝に食い込んでいて剥がれない。

「もういいや。スライムにローラーを付けよう」

それからというもの、私は革靴のローラースケートで出勤を始め、遅刻も無くなったことで喜んでいた。

だが、この時には気付いていなかった。

この街に大量のスライム達が侵略していることに(完)