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【超短編小説】 この世界のために


目が覚めると、そこには丸い球体が浮かんでいた。

大きなシャボン玉のようだった。

どこから来たのだろうと僕は疑問に思った。

すると、球体は話し始めた。

「コノセカイハ モウスグ オワル」

「どうして?」

「ニンゲンガ ワタシタチヲ タイセツニ シナクナッタカラダ」

「どういうこと?」

「タイコカラ ワタシタチハ ニンゲントトモニ イキテキタ」

「それって、ホモ・サピエンスの頃?」

「ソノコロ ニンゲンハ ワタシタチト キョウゾン シテイタ」

「それが崩れ始めた?」

「イツシカ ニンゲンハ ワタシタチヲ オロソカニスルヨウニナッタ」

「どうすればいい?」

「ワタシタチヲ ワスレルナ」

「分かった、忘れない。この世界のために」(完)