【超短編小説】 変だけど、面白い
「あなた、どこから来たの?」
『50年前から来た』
「つまり、過去人ってこと?」
『過去人と言えば、過去人になるけど、未来人とも言える』
「面倒だから、過去人にするね。あのね、過去人さん。過去人さんは過去に戻りたい?それとも、この未来に居たい?」
『この世界に居たいと言えば居たいし、居たくないと思えば居たくない』
「はっきりしない人ね」
『僕はめいかくという言葉を知らないんだ』
「良いんじゃない、過去人さんの個性だし。無理に変える必要はないんじゃない」
『人に合わせるというのは、どうも苦手でね』
「あたし、そろそろ行くね。過去人さん、気を付けてね。この世界は変だけど、きっと面白いから」
『変だけど、面白い』
「分かった?」
『ああ、忘れないでおくよ』(完)