見出し画像

【超短編小説】 お疲れーパン

仕事帰り、お腹がすいた私は駅前にあるパン屋に立ち寄った。

どのパンを買おうかと店内をぐるぐると回っていると、

あるポップが目に留まった。

ポップには【お疲れーパン】と書いてある。

「お疲れーパン?」

すると、近くにいた店員さんが

「お疲れーパン、おいしいですよ」と薦めてきた。

「カレーパンですか?」

「違います、ただのカレーパンではありません。お疲れーパンです。

食べた人には分かります」と自信ありげに店員さんは言う。

私はそこまで言うならと思い、トレーに乗せてレジに持って行った。

お疲れーパンを持ち帰り、家で食べてみた。

「うまい」と思ったが、意外にも味は普通だった。

「なんだ、ただのカレーパンじゃないか」

そう思い、私は布団に入った。

次の朝、目を覚ますと、溜まっていた疲れが無くなっていた。

もしかすると、これはお疲れーパンのおかげなのかもしれない(完)