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【読書日記】 「額縁と名画 絵画ファンのための額縁鑑賞入門」を読む

美術館の絵はさまざまな額縁に収められており、絵と共に額縁を見ることも私の楽しみです。額縁についてはなかなか知る機会・手段がないのですが、図書館でこの本を偶然見つけました。


第1刷:2003年9月10日
発行元:(株)八坂書房
著者:ニコラス・ペニー   訳者:古賀敬子
内容:額縁の歴史にはじまり、デザインや製作上のテクニック、絵画との深い関係からインテリアとして果たす役割に至るまでを簡潔にレクチャー。額縁に熱い関心を寄せるロンドン・ナショナルギャラリーの学芸員が語る、定評ある入門書。


額縁についてのみ語られた本

額縁についてのみ語られた本は初めて見ましたし、読みました。
額縁の歴史、種類、構造について知ることができました。今後、美術館で作品とともに額縁についてもさらに思いを馳せることができそうです。


額縁についての本

ただ、やはり言葉が難しかったです。
専門用語には注釈がついていまずが、その注釈の言葉がわからないことがありました。また、訳本であるからか、文自体が少し不自然で解釈しにくいところもありました。私は初心者なので、余計にそのように感じたのかもしれません。

しかし、多くの写真が比較的大きく掲載されているので、額縁にもいろいろな表情があることはよく伝わってきました。とても美しい本です。


額縁についての私の発見と疑問

この本を通して、「知ることができてよかったなあ」と思うことをいくつかあげます。
私は、「画家が絵を描き終えた時に、自分で額縁を選び、入れる。絵と額縁はセットで、その後も変えられることはない」とずっと思ってきました。この本を読んで、私の思い込みが全く違っていたことがわかりました。


額縁に関する発見がたくさん



・額縁は、家具調度品と同様の扱いで、置かれる場所に応じて変えることが普通の時期があった。
これは驚きでした。
絵は額縁を「着替える」という感覚なのでしょうか。

・額縁は、画家が選ぶというより、その後の持ち主や画商が選ぶことが多かった。
美術展で目立つようにと豪華な額縁を選んだり、売り買いするときに見栄えをよくしたり、画家本人の選択ではないこともあったのですね。

・額縁にはいろいろな作りやねらいのものがある。
取り外しのできないもの、取り外しのできるのもの、それぞれにもいくつか種類があります。絵と一体、連続になっているものがあることを初めて知りました。また、額縁の横断面の図から、いかに細かく、線を意識して彫られているかがわかりましたし、サインにも個性が表れていました。

・祭壇画の画枠を額縁と見ると面白い。
祭壇画には、絵と画枠が一体となったものが多いです。一般的な絵とは異なり、祭壇画は単純な長方形でなく、いろいろな形をしています。宗教的な絵で人を惹きつけたり理解させたりするために、画枠は重要な役割があるのだろうと思いました。今後、祭壇画を見るのが楽しみです。


疑問も残りました。


疑問も残りましたが、これからの勉強です。



・画家は「こんな額縁に入れてほしい」という意志はなかったのだろうか。
額縁と絵は「完璧な結婚」と言われることがあるほど、額縁は重要な役割を果たすはずです。しかし、画家は「絵を完成させたらそれでおしまい?」「その後、どのように額縁で装飾されようと構わない?」のでしょうか。
モネが睡蓮の絵を自然光のもとで飾ってほしいと言ったそうですが、そのようなこだわりは額縁に対してはなかったのでしょうか。
それとも、絵の持ち主や目的によって額縁を変更することが一般的な習慣になっていたために、画家の意志が入らないことが当たり前だったのでしょうか。このあたりは、絵の歴史、画家の職業的な地位、絵の地位なども関係するのでしょうか。
今後、勉強していきたいと思いました。


美術館へ行くのが楽しみです


美術館で絵を見ることがさらに楽しくなる、そんな本でした。


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