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【アート日記】 東京都美術館へ行った。「都美館ファン」になった。

夏の休暇中に、「恒例の東京アート巡りプラスα」を2泊3日でしてきました。
毎回思うのですが、東京は知的で刺激的で魅力たっぷりな場所です。
盛りだくさんな3日間でした。
中でも印象的だった所の一つに、東京都美術館があります。


今回の都美館の目的

今回の東京アート巡りの1番の目的が都美館の「マティス展」でした。
パリの国立近代美術館の長期改修にあたり、収蔵作品が一挙に来日したのです。
巡回展がないため、東京で見るしかありません。

さらに、今回、マティス展を堪能した後、たまたま別室で開催されていた「アート・コミュニケーション事業を体験する2023」をのぞき、思いがけず、都美館の魅力に取り憑かれたのでした。

今回は、「マティス展」と「アート・コミュニケーション事業を体験する2023」について書こうと思います。


マティス展

マティスの作品がなんと155点。
絵画、彫刻、切り紙絵、書籍の表紙。
絵画には、油彩、木炭、墨などいろいろな画材を使用したものがありました。
まさに多種多彩の展覧会で、満足度200%でした。

私はこれまで、マティスの色鮮やかな油彩画や切り紙絵が好きでした。
今回、それ以外のものにも興味を惹かれました。


墨で描かれた自画像



グラファイトで描かれた風景

墨やグラファイトで描かれた絵は、一本一本の線が明確で、「描いたな〜」と実感しやすいです。「私と一本の線との距離」が短い感じがするのです。
線の太いところと細いところ、かすれたところとくっきり描かれたところ、なめらかなところと小刻みなところなどの変化を見るのが面白かったです。


マティスは、絵を額縁に合わせるのを嫌ったそうです。それで私の疑問が解決しました。
絵画の中には、キャンバスの端がむき出しになっているものがあり、「なぜかな」と思っていたのです。額縁に合わせてキャンバスを切ることなく、ありのままの形で額縁におさめたのですね。


額縁の中にキャンバスが浮いているように入っています


キャンバスのへりがむき出しです

このような姿を見ると、当時マティスがこのキャンバスを手にとっていたんだなあ、と感慨深く思いました。


あざやかなマティスの色彩


雑誌の表紙にマティスの絵

当時の雑誌や書籍の表紙にもマティスの絵が登場しています。
美しい。
こんな贅沢があるでしょうか。
うっとり・・・


マティス展のジュニア版ガイドもありました。
見て、読んで、作れる、充実のガイドです。
都美館の力の入れ具合、親切さを感じます。
年齢制限のため、私はいただくことができなかったのですが、、、、大人でもほしかったです。

マティス展のジュニアガイドもありました


色鮮やかで目をひき、わかりやすく解説されています


切り紙を作れるようになっています


アート・コミュニケーション事業を体験する2023

別室では、「人と作品、人と人をつなげ、創造的な時間が生まれる場所 アート・コミュニケーション事業を体験する2023」が開催されていました。
そこには、私がまさに理想と考えていた、美術館と人とをつなぐ取り組みが紹介されていました。

東京都美術館は2012年のリニューアル時に新しいミッションを掲げました。
美術館の文化資源を介して、多様な背景を持つ人々と美術館の関わりが生まれるウエルビーイングな場をつくることを目指しています。
そして、すべての人に開かれた「アートの入り口」を目指し、アート・コミュニケーション事業を始めました。(パンフレットより)
               

中でも「とびらブロジェクト」の取り組みに惹かれました。

ミッションとして以下のようにあります。

「東京都美術館は、展覧会を鑑賞する、子供たちが訪れる、芸術家の卵が初めて出品する、障害を持つ人が何のためらいもなく来館できる、すべての人に開かれた「アートへの入り口」となることを目指します。」


「アートへの入り口」を導いてくれる「とびラー」は「基礎講座」、「実践講座」、「とびラボ」を通して活動を充実させていくそうです。
その中に「アクセス実践講座」というものがありました。

「美術館の中にある作品や文化財を活かし、多様な人々が芸術や文化につながるための新たな回路をつくる活動と、その意義について考えます」
ということです。

障害のある人にとって美術館は敷居が高く、行きにくいというのが多数派です。
「美術館で動き回ったらどうしよう」
「大きな声がでたら迷惑だし」
「そもそも、美術館って楽しい?」
と考える周りの方もいるでしょう。

私は、美術館にはいろいろな楽しみ方があると考えています。
ひとつひとつ絵画鑑賞をするという方法の他に、
好きな絵画を選び、絵画サーフィンをする、
好きな彫刻の身体模倣をする、
展示室の照明の変化を楽しむ、
展示室や廊下などの建築物を移動し、場面の変化を味わう、など。

障害のある人にもどんどん美術館に行ってほしいです。
そういった意味で、都美館がうたう、
・いろいろな人が何のためらいもなく美術館へ行く
・いろいろな人が美術館にアクセスできる回路を作る

ということは、私の理想です。
私の行きつけ美術館も、そういった視点をもっていただきたいなあと改めて思いました。


今回、都美館は2回目でしたが、
このようなミッションについて知り、すっかり都美館ファンになりました。
これからの取り組みがますます楽しみです。

次回訪れる時には、また違った視点で都美館を味わうことができそうです。
さらに、私が、私の住むこの場でできることはないか、改めて考えてみたいと思いました。


思い出のマティス展


近くには東京芸術大学もあります

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