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【読書日記】 誰も知らない「名画の見方」を読む


かなり以前になりますが、著者の高階秀爾さんが国立西洋美術館長をされていた頃、テレビ出演されていたのを見て、素敵な方だと思った記憶があります。

第1刷:2010年10月6日
発行元:株式会社小学館
著者:高階 秀爾
内容:西洋美術史研究の第一人者による、新しいタイプの絵画鑑賞の入門書。
「名画」には、絵画鑑賞をより楽しく充実させるための、「見方」があります。本書では、八つのテーマに分類された「名画の見方」に基づき、日本を代表する美術史家である著者が、巨匠たちの手になる名画の数々を例に、具体的にわかりやすく解説。(Amazonより)


この本では、24名の画家についてのエピソードや作品について、美しい図版とともに書かれています。8つのテーマの最後には、名画の見方のポイントが短くまとめられているのも非常に参考になりました。


たくさんの画家のエピソードと作品


「絵を描く」ということが自由でない時代があったことは、今の時代には考えられません。
・絵にはヒエラルヒーがある
・絵には描いてはいけないものがある
・筆致はこうでなければならない
・構図はこうでなければならない
など、いろいろなルールがあり、そのルールの中で画家たちは表現をしてきました。


絵には厳格なルールがあった

しかし、そうしたルールに抗うことで新しい時代が開かれていきました。そんな画家たちの姿も多く書かれていました。

私が最も印象に残った画家はモリゾです。
モリゾの時代は、女性は家庭を守るべきであり、仕事をするなんてとんでもないと考えられていました。ましてや女性が画家になるのは通常では考えにくい時代でした。
そのような時代に、モリゾは女性の姿を多く絵に描きました。
その姿がどれも「かっこいい」のです。
日常のありふれた場面なのですが、その時代を自分の意思で生きているなあ、と感じられるのです。モリゾは自分の姿を絵の中にこめていたのかなあ、と新しい見方で絵を見ることができました。

モリゾのエピソードを読んで、これからは「なぜ、画家はこれを描いたのか」という問いを持って絵を見るのもおもしろいだろうと思いました。


ミレーはなぜ農民を描いたのか


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