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【読書日記】 「すずちゃんののうみそ」を読む

これは絵本です。
副題に「自閉症スペクトラム(ASD)のすずちゃんのママからのてがみ」とあります。
自閉症スペクトラム症のあるすずちゃんは、保育園で障害のない子どもたちと充実した生活を送りました。すずちゃんが卒園する際に、そのお礼としてお母様が「すずちゃんののうみそ」という紙芝居を作成し、それが絵本化されたものです。

絵本の前半は、自閉症スペクトラムの特徴が具体的な姿で描かれています。また、その特徴がなぜ現れるのかについてもわかりやすく書かれています。
「よくぞ、こんなにすっきりとポイントをついた言葉で書いてくれた」と感心するくらいの表現だと思いました。

絵本を読んでいると、東田直樹さんの言葉を思い出しました。
作家の東田直樹さんの代表作は「自閉症の僕が跳びはねる理由」であり、現在X(旧ツイッター)で、感じておられることをほぼ毎日ポストされています。
独特の感じ方について書かれたり、「だから周囲の人にはこのようにしてほしい」と理解を求められたりしています。
私自身、自閉症の方の文化について最も学べるコンテンツの一つでもあります。

「すずちゃんののうみそ」も、自閉症の方の文化について、正しい知識を得ることができる良い本です。児童精神科医の先生が監修をされていますので。

障害のある方に関わる方にはぜひ読んでもらいたい。
ふだん自閉症のある方に関わっている人でも、ひょっとしたら自閉症について誤解しているかもしれません。最初の一歩、このようなやさしい絵本を読んでみてください。
「自閉症について理解せずに熱心な先生は一番迷惑だ」と故佐々木正美先生がおっしゃっていました。

この絵本の監修をされた児童精神科医の宇野洋太先生は次のように書かれています。

ASDのある方々と接し、その文化を学ぶ中で、ASDに留まらず、人としての多様性と尊厳というものを教わっているように感じています。

P33

私も全く同じように感じています。

「すずちゃんののうみそ」のような絵本が多くの人に読まれること、また、このような絵本がもっと出版されることを期待します。




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