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九龍ジェネリックロマンス 63話~66話感想


【63話 あらすじ】

舞台は過去編。

令子はお札が沢山貼られた壁から
1枚剥がしたあと、お札を見て
意味深に「引きがいい、か」と呟く。

一方、工藤はアイスコーヒーを頼んだのに
間違えてホットコーヒーが出てきたことに
苦情を言っていた。

仕方なくホットコーヒーを受け取ったあと
工藤は令子と出会う。

ヒヨ爺から新鮮な卵をもらった令子は
工藤を部屋へ招待すると、彼に
「フライパンを使わないフレンチトースト」
を振る舞う。

令子曰く、そのフレンチトーストは
事故で亡くなった母親から教わった
レシピとのことだった。

【63話 感想】

今回謎の多い令子さんの生い立ちが
少しだけ明らかになりましたね。

日本人女性である令子さんが
香港という異国の地で暮らしているのは

両親の死後養子として引き取られた先が
香港だったからでしょうか。

令子さんの育ての親や
彼女が第二九龍に来た経緯が気になります。

コーヒーの件は、何かの伏線なのでしょうか?

工藤がアイスコーヒーを頼んだのに
手違いでホットコーヒーが出てきたのは
何か意味がありそうな描写です。

死んだ両親のことを話す令子さんを
見て思ったことが
鯨井Aには令子さんの両親の
記憶は無いんだろうな…
ということ。

そうなると、フレンチトーストの記憶も
鯨井Aには無いのでしょうし。

令子さんのフレンチトーストも
工藤さんと鯨井Aの関係性への
伏線になるのでしょうか。

【64話 あらすじ】

香港に着いた楊明は

お金を引き出そうとするが
残高不足でお金を引き出せないという
事態に遭遇。

驚いた楊明は
携帯でグエンに助けを求める。

「楊明ちゃん…言いづらいんだけど、九龍内で稼いだお金は外に出ると消えるみたいなんだ…九龍はもう存在しないワケだし、そこで働いたって…つまりはそういう事」

グエンは蛇沼から
沢山のお金を渡されていたため
その一部を楊明に送る。

その後楊明は香港にて
第二九龍について聞いて回るが

出会う人全員に
「第二九龍は三年前に取り壊されている」と
言われてしまい、徐々に楊明も
現在の第二九龍の存在に疑問を抱く。

<…皆第二九龍は取り壊されたって言う…グエン君やあのピザ屋の言ってた事と同じ話…まさか本当に存在しないの…?>

すると、そこに一人のおじさんが
楊明に話しかけてくる。

「九龍?なつかしいなぁ。おいちゃん住んでたんだよ、第二九龍に!」

おじさんは以前第二九龍で暮らしており
第二九龍が無くなるのを
その目で見届けたと言う。

さらにおじさんは

「第二九龍の取り壊しには蛇沼グループの陰謀が絡んでいるらしい」

という噂を楊明に告げる。

楊明は一体どんな噂かと尋ねるが
おじさんははぐらかし
「ネットで聞いてみればいい」と答える。

楊明と別れたあと
おじさんは第二九龍について懐かしく思うなか

「…アイツ、今どこに居るんだろうなア…」と
誰かのことを気にかけるのだった。

そして楊明はネットで
第二九龍について調べるなか

同じく第二九龍について調べている
という人物と接触する。

楊明は早速その人物とやり取りを開始するが
その人物の正体はユウロンだった。

<俺は九龍を消(デリート)したい>

ユウロンは親友蛇沼の為に
現在の第二九龍のデリートを目論んでいた。

【64話 感想】

元九龍住民のおじさんが
気にかけていた人物って
もしかして「彼」のことなんでしょうか。

作中、楊明さんは
第二九龍や鯨井Aが見えなくなったら
どうしようという不安を抱えていましたが

そのうち第二九龍を認識できなくなるという
展開が来そうでこちらも不安ですね。

ところで元九龍住民達は
第二九龍にもう一度住もうとは
思わないのでしょうか。

楊明さんが出会った元九龍住民のおじさんは
香港の生活にすっかり馴染んでいるようで

第二九龍についても「昔住んでいた場所」と
言う感じで未練がなさそうでした。

おそらくこのおじさんには
現在の第二九龍は見えないでしょうね。

楊明さんは鯨井Aの為に
現在の第二九龍の存在を
証明しようとしますが…

不吉な予感しかしません。

おまけに世間知らずかつ
ずっと狭い世界で生きているので

グエンやユウロンさんと違い
自分を守る術を持たない楊明さんは
真っ先に目をつけられてしまいそうです。

だけど第二九龍や令子さんの秘密に
いち早く辿り着くのは
おそらく楊明さんだと思うんですよね。

楊明さんならではの視点で
グエンや蛇沼が気づかなかった
【真実】に気付きそうです。

だから、楊明さんには
解明を頑張ってもらいたいですね。

あと九龍の食べ物の影響や母親の件とかも
きちんと掘り下げてほしいなと思います。

【65話 あらすじ】

楊明とユウロンは
互いに第二九龍について意見交換し合う。

楊明は第二九龍に来た記憶を思い出していく。

楊明が整形手術を終えて退院した頃
季節は3月だった。

宿を探す中、第二九龍に光が灯っているのを
見つけた楊明は第二九龍へ向かっていった。

ここで楊明は思い出した。
第二九龍に踏み入れた時
セミの鳴き声が響いていたことを。

楊明はユウロンに告げる。

<九龍の違和感、わかりました。九龍は、ずっと真夏です。>

楊明が第二九龍から外に出た時に
真っ先に感じた違和感は

空はすっかり秋空で
セミの鳴き声もしないということだった。

そして、楊明は第二九龍に来てから
自分が夏服しか着ていないことに気づく。

楊明の気づいた違和感に
ユウロンも「初耳やな」と驚く。

さらに楊明は

「第二九龍の解体に蛇沼グループの隠蔽が絡んでいる」

という噂について
何か知っているかとユウロンに尋ねる。

ユウロンは少し考えたあと
楊明に何かを伝える。

ユウロンの返事に楊明は
「九龍にそんなモノが…?」と驚くのだった。

【65話 感想】

楊明さんが第二九龍の違和感に
気づいた時のシーンが怖い(ガチで)。

小黒といい
九龍周辺の季節が【真夏】といい

今の九龍が
外界と時間の流れが異なっていることが
今回はっきりしましたね。

楊明さんとユウロンさんが
実は隣り合わせでやり取りしていた構図が
好きです。

ただ、【無い】ものを【在る】と証明するのは
中々難しいだろうでしょうね…

61話に出てきた蛇沼の【アレ】を
見つけるのはもしかしたら楊明さん?

ユウロンさん、楊明さんに
チョコレートを渡していましたが、何か
仕掛けているんじゃないでしょうね(笑)。

ユウロンさんのことだから
お菓子にナノマシンとか仕込んでいそうです。

終盤の鯨井Aと工藤の
ベッドシーンは驚きましたね(笑)。

しかし、不穏さしかありません…

工藤は彼なりに
鯨井Aに対して情があるのは
読んでいて分かるけど

しょせん、令子さんの代わりだから
大事にしているだけなのでは…?

もし本物の【令子さん】が現れたら
一体工藤さんはどちらを選ぶのでしょうか。

でも、工藤はまるで
【鯨井令子】という存在そのものに執着
している気がするんですよね。

鯨井Aは工藤の
抱える闇を知る時が来るのか

工藤は鯨井Aに
令子さんについて話す時が来るのか
そこが気になります。

『九龍ジェネリックロマンス』読んでたら

長野まゆみさんの小説
『テレヴィジョン・シティ』
連想させます。

あれはラストが切なかったな…

主人公は知らない間に
人格が変わってしまうし

周囲から親しい人達は消えてしまうし
主人公も親友のことを忘れてしまうし…

【繰り返される夏】という点も
共通しています。

【66話 あらすじ】

成人映画を鑑賞しながら
鯨井とのベッドシーンを回想する工藤。
その工藤を背後から抱き締める令子の影。

工藤は「分かってるさ」と呟くのだった。

【66話 感想】

やっぱり工藤さん狂っている。

工藤、鯨井Aに手を出したことで
遂に一線を超えてしまいましたね…

鯨井は工藤と身体を重ねたことで
彼に縛られていきそうで不安です。

鯨井Aとのベッドシーンを回想しても
寂しげな表情の工藤。

工藤が本当に愛しているのは
やっぱり令子さん
鯨井Aはその代わりでしか無い…

そう思うと、鯨井Aも工藤も
本当にこれで良いのでしょうか?

全体的にしんみりした印象で
嵐の前の静けさという感じでした。

工藤も令子さんを
ここまで想っているのなら

令子さんをジルコニアンとして
甦らせようと考えないのでしょうか。

そもそも工藤は
ジルコニアンを知っているのか
そこが一番気になります。

鯨井Aと工藤の関係は
初めからすれ違っている
お互い一方的だから

蛇沼&グエンと比べると「純愛」と
言えないのが悲しい…

個人的に、鯨井Aと工藤のカップルって
あまり素直に応援できないんですよね。

むしろカップル的に
相性は良くない気がします。

工藤が幸せになるには
【鯨井令子】の記憶を無くすしか
ないんじゃないかと思うんですよね…

工藤は【鯨井令子】と訣別して
自分の人生を生きてほしい…


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