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#25 「ファスト映画」について業界人だからこそ思うこと

最近、何かと巷で問題になっている「ファスト映画」…
https://www.itmedia.co.jp/news/spv/2106/24/news078_0.html

映画業界の端くれとして、「ファスト映画」問題についてこのタイミングで思うことを記録として残しておきたいなと思い立ってこのnoteを書いています。

「ファスト映画」とは?

そもそも、「ファスト映画」とは、映画を見たいが時間が足りないという人向けに一般人が著作権を完全無視し一本の映画作品をポイントを絞って10分間程の動画に編集しYouTube等の動画サイトに投稿し広告収益を得ている問題行為です。

一部では、コンテンツとしての利便性があるという声があがっているそうだが、個人的な意見としては「ファスト映画」には大反対です。滅びればいい文化だと思っております。理由は、3つ。


第一の理由

まずは、映画制作の現場にはその作品に対して並々ならぬ思いや愛情を持って映画制作に携わっている大勢の方達がいることを認識することが大事です。撮影したシーンを泣く泣く編集し2時間程の作品にまとめるあげます。なぜ泣く泣くか?制作者であれば、全て必要なシーンだと思って撮影をしているからです。それくらいの思いで映画制作に携わっている方達が映画好きに作品を届けてくれています。それなのに、こんなにも愛情のこもった作品を雑に無許可で短縮し、ネタバラシをする。「ファスト映画」を作っている人間にそんな方達の思いが理解できるのでしょうか?

第二の理由

そして、大問題なのはたった10分間の薄っぺらい動画(製作者)が莫大な再生数から生まれている収益を得ていることです。収益を得ているのが、魂込めて長時間かけて作った本人らではなく他人の著作物を薄くまとめた映像をアップロードした人らが稼いでいる実情が信じられません。確かに、昨今のTikTokやInstagramのストーリーやリール、YouTubeのShortなど短編動画を楽しむブーブの真逆にいるのは映画です。ただ、制作チームとして、会社として、業界として映画を盛り上げるべく「どうしたら劇場に足を運んでもらえるか?」など試行錯誤し、いろんな宣伝手法を実行しております。一方で、恐ろしいのは「ファスト映画」という物が若者を中心に常識化して文化として根付きつつあったことです。それにより、次の世代に映画の本当の素晴らしさが伝わらなくなるリスクが生まれます。著作権侵害とは、侵害されている側の受け取り方によりますがこの行為は明らかに業界として不利益でしかありません(=著作権侵害)

第三の理由


その上で、補足しておきたいのは映画紹介系インフルエンサーの方々が発信する映画の面白いポイントを紹介したオススメ動画などは「ファスト映画」には当たらないということ。ここもはっきりさせておきたいポイントです。問題なのは、無許可での映像利用と映画好き達に対する悪影響とそれにより映画業界が受ける損害を与える行為であるということです。全員とは言いませんが、私も一部の映画系インフルエンサーさんたちと仕事をしたことがありますが彼らとはしっかり権利の確認は行います(予告動画の使用可否・ジャケット写真の掲載可否、クレジットについてなど)また、彼らは映画のために動き、宣伝協力をしてくれています。不利益な部分は一切ない行為です。

まとめ

今後、「ファスト映画」に関する全ての関係各所に調べが入ると耳にしました。このような文化がなるべく早く消滅し、映画関係者、映画好きがより安心安全に楽しめるようになることを切に願うばかりです!

以上、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!


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