イギリスのコンサルティング会社・・・
イギリスのコンサルティング会社であるヘンリー・アンド・パートナーズ(H&P)は、ビザ(査証)なしでアクセスできる目的地の数に応じて世界中のパスポート(旅券)のランキング付けを行っています(The Henley Passport Index)。
「パスポート」とは、政府が自国民に発行する世界で通用する「身分証明書」のこと。
「ビザ」とは、パスポートが真正かつ有効であることを確認するともに、ビザに示された条件の下で入国および滞在が適当であるとの推薦の性質を持つ、いわゆる「入国許可証」のようなもの。
これら2つは外務省が管轄しています。
ビザと混同されがちなものに「在留資格」というものがありますが、これは外国人が日本で行う活動の種類を定義する法的な地位を示す入管法上の資格のこと。
こちらは法務省が管轄しています。
「パスポート」「ビザ」「在留資格」は各々別物。ややこしいですね。
パスポート・ランキング(The Henley Passport Index)において、現在の第1位はシンガポール。日本は、2018年から2023年まで首位をキープしていたものの、現状、フランス、ドイツ、イタリア、スペインと並んで第2位となっています。
こうしたことはその時々の国際情勢などによって多少の上下があるようです。
日本のパスポートでビザなしで渡航できる国と地域(VISA-FREE DESTINATIONS)は、現在のところ192か国。シンガポールはその数195か国ですから、差はわずか3か国。
一般の方にとって、この差がどれほどの意味を持つのかは測りかねますが、ともかく大概の国へ手間なく渡航できるわが国のパスポートは市場価値が高そうなことは想像に難くありません。
ちなみに欧米諸国を除いて、両国の主なビザなし渡航可能国を比較してみると、現状、日本のパスポート所持者ならば、インドやイラクなどへはビザなし渡航できますが、シンガポールのパスポート所持者の当該国への渡航にはビザが必要です。
一方、シンガポールのパスポート所持者は、中国やキューバなどへはビザなし渡航できますが、日本のパスポート所持者の当該国への渡航にはビザが必要です。
これも国々の関係性によって・・・ですね。
こうしたわが国のパスポートを取得することは帰化申請される方のモチベーションの一つになっているといわれています。
ひるがえって、わが国がビザ免除措置をしている国(と地域)といえば、前述の国を含め現在71。
どうやら日本人がビザなしで入国できる国の人だからといって、必ずしも彼らは日本にビザなしで入国できるわけでもないようです。たとえば、ネパールに日本人はビザなしで入国できますが、ネパール人が日本に入国する際にはビザが必要です。
ビザ免除措置とは、対象国の国民が商用、会議、観光、親族・知人訪問等を目的として短期間に日本に滞在する場合(=短期滞在)であれば、入国に際してビザの取得を要しないこととする措置のこと。
通常は各国間の相互のビザ免除の協定により行われるものですが、先述の通り一方的措置として行われることもあります。
なお、ここでいう短期滞在ビザの場合、日本で一回の滞在で認められる期間は90日以内(年間通算180日)で、一日でも収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を得る活動をすること、いわゆる就労することは認められません。その場合に在留資格の取得が必要となるわけです。
それじゃぁ、「商用」ってあるけど、どうなの?
それに、「会議」だって商用じゃないのか?
こんな疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、これは、法に
「本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動」
と定められているからそうなっているのであって、例えば、外国のビジネスマンは、決められた期間内であれば、業務連絡、商談、契約調印、アフターサービス、宣伝、マーケットリサーチなどを行うために入国するのなら全く問題はありません。
さてさて、それではビザが必要となる中国人やネパール人、ロシア人の方たちは、どうしたらそうしたビザを取得できるのでしょうか?
短期滞在のビザ申請は、外国人の居住地を管轄する在外公館、または、在外公館が指定する代理申請機関において行います。手続きは概ね以下の通りですが、多少、在外公館によって異なるところがありますので、詳しくは管轄在外公館のHP等で確認してください。
原則、提出された書類をもとに在外公館がこれを審査しますが、外務省に照会することもあるようで、そうした場合には、必要に応じて在外公館からの追加書類の提出や面接を求められることもあります。その結果、不許可になることもありますが、その場合でも理由は開示されません。
また、一度不許可になると6か月間は同じ内容の申請は受理されない扱いになっているので、申請は慎重かつ丁寧に進める必要があります。
先述の通り、国により手続きや提出書類が異なる場合がありますから、不安な場合には行政書士等の専門家に相談するといいでしょう。
いずれにせよ、ビザ免除措置をしてくれる国が多いというのは日本が信用されているという証であり、誠にありがたいことです。日本人はそうした信頼を維持できるよう心しておかねばいけませんね。
以上
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