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今のところ、日本の就労系の在留・・・

今のところ、日本の就労系の在留資格には、工場でのライン業務ホテルのベッドメイキング、小売業の販売員など、単純反復作業にのみ従事する就労を認める資格はありません(ほかの国のことはよく知りませんが)。

「じゃあ、コンビニなどで最近よく外国人が働いているのを見掛けるけど、あれはどうなの?」という質問がありそうです。

彼らは、資格外活動を付与された留学生や、身分系の在留資格を有する方たちであって、就労系の在留資格ではありません。

わが国の就労系の在留資格は、ある程度の経験や知識、技能を有する人材を迎え入れるためのものです。これは移民政策に対する考え方によるものと思われます。

こうしたことは留学を終えた後に日本に残ってすぐさま就労を考えているといった実務経験のない若者や、あるいは、そうした若者を採用し自ら育成しようと考えている企業にとって、使い勝手のよいものではありません。

とは云え、現に当の外国人材や企業にはニーズがあり、そんな場合に活用されるのが特定活動と云う資格です。

特定技能じゃなくて特定「活動」

ここで改めてわが国の在留資格について簡単におさらいしておきましょう。

在留資格とは、外国人の方が日本で行うことのできる活動等を類型化したもので、出入国在留管理庁が外国人に対して上陸または在留を許可する際に付与する資格のことを云います。

現在、わが国には29種類在留資格があり、これを大きく身分系活動系2つに分類することができます。

身分系の在留資格とは、個々人の身分や地位に基づくもので、永住者日本人の配偶者等などの資格があって、活動制限の少ない資格です。この資格の方は、日本人と同様にいろいろな職業に就くことができます。

一方の活動系の在留資格は、その活動内容や在留期間などにより厳格に活動に制限を受ける資格です。

そうした活動系の資格は、さらに就労系非就労系に分類されます。

たとえば、就労系の在留資格には、技術・人文知識・国際業務(通称、技・人・国)や、特定技能、技能実習などがあり、非就労系の在留資格には、留学文化活動などがあります。

さらには、就労系特定技能には16の業種分野(令和6年4月)が、また、技能実習に90職種(令和5年10月現在)に及ぶ区分があります。

このように、在留資格は、外国人の方の身分や地位、携われる活動などを軸に、細かく規定されています。

特定技能には「技能」や「経験」が必要

業種を事細(こま)かに、数多く設定したとしても、現実の社会生活におけるすべての活動を網羅できるものではありません。

そこで、類型化しきれない活動や、これに馴染まない活動を行おうとする外国人材に対し、上陸または在留を許可する際に付与される資格が別に設けられています。これが特定活動という在留資格です。

特定活動は、外国人の個々の事情を勘案し法務大臣の裁量で付与が決定されますが、これには、予め告示された活動(告示特定活動)と、特別な事情により人道上の観点から在留を認める告示外の活動(告示外特定活動)があります。

中でも、よく耳にするのが告示特定活動における就労系の在留資格で、特定活動46号という資格です。

特定活動46号は、日本の大学を卒業していて高い日本語能力があり(たとえばJLPTのN1以上)、フルタイムの雇用であれば申請可能で、技・人・国の対象となる一定水準以上の業務に就くのであれば、これと併せて、所定の割合で単純反復作業にも従事可能なので、留学生が新卒で入社するには使い勝手のいい資格となっています。

たとえば、現段階でスキルがなくても、語学力を活かしフロント担当として入社し、空いた時間に、レストランサービスや宴会業務、さらにはベッドメーキングや清掃等の単純作業など、幅広い業務に従事することができると云った具合です。

外国人特有の技能を活かしながらいろいろな作業に従事できる!

この他、特定活動には、告示外のものですが、日本の調理専門学校を卒業した外国人が、引き続き日本国内の料理店で働きながら技術を学べる資格(特定調理活動)や、日本の美容学校を卒業して美容師の免許を取得した外国人に対して、一定の要件の下で、美容師として就労を認める資格(特定美容活動)などもあります。

調理師の場合特定技能技能だと所定の技能や経験が求められるため、専門学校卒業だけでは就労できませんでしたし、美容師の場合には、そもそも該当する在留資格がありませんでしたが、これにより一定の制約はあるものの就労の道が開けました(いずれも身分系の就労資格なら問題ありませんが・・・)。

ただし、いずれの資格も就労期間の上限が設けられています。これらの資格は、彼らが、一定期間の就労後に母国に帰国し、食文化の普及や日本式の美容に関する技術・文化を普及することが目的の資格だからです。

特定の地域では美容院でも働けるようになった

これらは、当の外国人のニーズもさることながら、各業界の切実な現場の声を汲んでの対応だったと思います。

現在、在留資格には、高度専門職1号高度専門職2号という資格があります。この資格は、2015年4月1日以前は、特定活動の分類の一つでした。しかし、わが国が、高度人材の積極的な受入れを図っていることを明確化し,その受入れをさらに促進するために新たに創設されたものです。

このように、特定活動の内容や新たな資格創設の動きには、ときの社会情勢を伺う知ることができます。

次は、どのような活動が認められ、いかなる在留資格が新たに創設されるのか、興味深いところです。

以上

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