2024前半|たぬきときつねの中国対決、君たちはきび団子をどう食べるか|レノファ山口の解説
J2 第二節 山口 vs 秋田 の試合からレノファ山口を考察しました。
レノファ山口の歴史と今の状況
1949年に「山口県サッカー教員団」として生まれたサッカーチームは、2006年に現在の「レノファ山口FC」としてクラブチームを発足。
レノファの意味は、英語の「renovation(維新)」と「fight(戦う)」また「fine(元気)」を掛け合わせた造語だ。
マスコットは、ライオンの「レノ丸」。維新の「志士」と「獅子」をかけたキャラクターであり、歴史好きな僕はときめく設定である。
2014年にJFLに参入すると、わずか2年でJ3を経て現在のJ2へと一気に駆け上がった。2023年の成績は、10勝18敗14分でJ2の20位となり降格争いに巻き込まれている。
2023年に名塚監督、後任のエスナイデル監督が退任し、今季よりFC大阪(J3)の「志垣良」監督が就任している。
志垣体制での2試合は、横浜 1 - 1 山口、山口 2 - 0 秋田 と、1勝1分で現在はJ2の5位に位置している。前節の秋田戦は、DF48新保、MF37田邉、FW9若月の新加入選手3名がスタメンに名を連ねた。
秋田戦を見ると、球際の強さと流動性が強化されているように見える。
主な退団選手(同カテゴリ以上)
GK 寺門 陸(育成移籍)|J1 横浜Fマリノス
GK 吉満 大介(契約満了)|J1 アルビレックス新潟
DF 生駒 仁|J2 いわきFC
MF 成岡 輝瑠(レンタル)|J2 清水エスパルス
MF 松橋 優安(レンタル)|J1 東京ヴェルディ
MF 矢島 慎也|J2 清水エスパルス
主な入団選手(ベンチ入りメンバーのみ)
DF 新保 海鈴|J3 いわてグルージャ盛岡(レンタル)
MF 加藤 潤也|J3 ツエーゲン金沢
MF 田邉 光平|中央大学
FW 山本 駿亮|J2 鹿児島ユナイテッド
FW 若月 大和|J1 湘南ベルマーレ
レノファ山口の特徴
相手を混乱させる脅威の志垣マジック
山口の新監督である志垣監督は、FC大阪(J3)時代から対戦相手の弱点をつく戦術を多用してきたようだ。
例えば、横浜戦ではハイプレスをかわすロングボール戦術、オーバーラップが得意な左CBのスペース狙いなど、相手が嫌がる戦術を徹底してくる。
また秋田戦では、まるで戦略が変わっていた。選手がポジションチェンジを繰り返して、右SBの選手が左WGに上がることもあるほど徹底して選手が動いてくる。
岡山相手にも9グレイソン封じ、駆け上がった両CBのスペースを狙うなど、志垣監督が岡山攻略法を示してくるのではないかと不安を感じている。
決まった型が見えない戦術
対戦相手を研究し尽くし、相手の戦術を潰しにくるのが今年の山口の特徴だ。3バックの横浜FCと4バックの秋田では戦い方もまるで異なっていた。
横浜FC戦ではシンプルに相手のスペースをつき縦に早いサッカを展開し、秋田戦では選手がポジションチェンジを繰り返す流動的な戦術を用いた。
この戦い方が相手の3バックと4バックで異なるのか、相手の戦力差によって戦術を変えるのか、たった2試合の考察ではそこまでは判断がつかなかった。まだまだ謎の多いチームだと言える。
セットプレーでも仕掛けてくる
あの秋田からコーナーキックで得点をあげたのは驚きだった。得点シーンでは、密集したゴール前を避けて、空中戦が得意な24梅木が遠いところからヘッドでゴールを決めていた。
2023年の岡山はセットプレーで何度もやられている。今年からゾーンディフェンスからマンマークに切り替えたが、開幕2試合でも相手の決定機になる場面が複数あった。
セットプレーでの得点が鍵をにぎる試合展開も考えられるだろう。
ファジアーノ岡山戦での注目ポイント
たぬき「志垣監督」、きつね「木山監督」の戦略家対決
J2屈指の戦略家である両監督が、中国地方のプライドを賭けた戦いを盛り上げてくれるはずだ。
山口が毛利氏なら岡山は宇喜田氏といったイメージだろうか。きび団子を渡した瞬間逃げたくせに、なぜかピンチで駆けつけそうな二人である(史実は逆)。獅子と雉ではなく、たぬきときつねの知略争いになるだろう。
1対1の局面ではおそらく、岡山の選手のフィジカルが上回るはずだ。ただし、意外性では山口の選手が上まってくるだろう。プレースタイルは、岡山の選手は素直で力強く、山口の選手はしたたかで柔軟性あるイメージだ。
どちらも戦略家である二人だが、試合内容は意外と対照的な対決となるかもしれない。きび団子の食べ方でも、志垣監督なら箸を使いそうな気がする。木山監督はきっと手を洗ってから素手で食べるタイプだ(知らんけど)。
守備の強い山口からも複数得点が欲しい
今の山口を仕留めるには、圧倒的な攻撃力が有効かもしれない。横浜にも秋田にもなかった攻撃性が今年の岡山にはある。
9グレイソン、19岩渕、27木村の3トップを抑えるには、守備を強化した山口であっても苦労させられるはずだ。いわき戦のような1得点ではなく、追加点を奪うことで、昨年から続く嫌な流れを断ち切りたい。
セットプレーが鍵を握る戦いとなるか
いわき戦でも追いつかれたセットプレーは、今年も岡山の課題になりそうだ。山口はおそらく、セットプレーでも岡山の弱点を見つけて狙ってくるだろう。
ただし、岡山も決してセットプレーが苦手なチームではない。9グレイソンの爆発力もここ2試合では相手の脅威になっている。したたかな山口と屈強な岡山のセットプレー対決にも大きな注目だ。
ファジアーノ岡山の注目選手
CF 9 グレイソン
山口戦でキープレイヤーになる選手だ。おそらく志垣監督は9グレイソン封じを仕掛けてくると思う。それでも負けない選手であることを山口戦で証明して欲しい。
5 柳 育崇
おそらく5柳を狙った空中戦は仕掛けてこないだろう。その代わり、CBの裏のスペースやドリブル突破は確実に狙ってくるはずだ。歴戦の経験でケアして岡山に5柳ありと見せつけて欲しい。
4 阿部 海大・43鈴木 喜丈
今年の岡山の攻撃性をつくりあげているのは両CBの活躍が大きい。ただし、山口の志垣監督がこの両CBのスペースを狙ってくることは間違いないだろう。それでもお互いをケアし、二人の勇気ある攻撃参加に期待したい。
レノファ山口の注目選手
MF 8 佐藤 謙介
中央からチームのバランスをとる長身ボランチ、右サイドや左サイド、ゴール前に幅広く顔をだして攻撃をサポートする。8佐藤の位置によって山口の狙いがなんとなく見えそうな気もした。縦パスでもチャンスを演出する。
走行距離が多いのか、横浜FC戦でも秋田戦でも60分ごろに途中交代した。
FW 9 若月 大和
PAエリア内で仕掛けられるテクニシャンCF。スピードもはやく裏を取られるないように注意が必要だ。欧州のスイスでプレーした経験も持つ22歳。横浜FC戦でもゴールをあげている。
MF 37 田邉光平
するするとドリブルで中央から持ち運べるボランチ。8佐藤のカバーで守備にもつくが、攻撃的な選手のイメージだ。5柳にドリブルを仕掛ける可能性もあるが負けないで欲しい。
きび団子の食べ方よりも勝ち点3の取り方だ
志垣監督と木山監督がどのようにきび団子を食べるかは、かなり適当なことを書いている。絶対に信じないで欲しい。
ただ、相手を出し抜くしたたかさを持つ両監督の対決には注目すべきだろう。志垣監督がなにを仕掛けるか分からないが、木山監督がなにを仕掛けるかもまた分からない。
お互いの戦略と肉体をぶつけあう、PRIDE OF 中四国の対決はかなり熱くなるはずだ。
2023年前半のレノファ山口の考察はこちら。
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