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シーズンレビューという名の感想文~2020年ファジアーノ岡山振り返り企画~

 まずは2020年、いろいろなこと(まあ主に一つの疫病がもたらしたエトセトラですが)がありすぎた中で、明治安田生命Jリーグの全日程を無事に消化できたことを喜びたいと思います。この結果は、J1からJ3の全クラブの選手、スタッフ、関係者、そしてサポーターの全員の勝利だと思います。そう考えると今季の「降格なし」というレギュレーションは、「この厳しい日程を消化できた、乗り越えた全員が勝者だよ」というのを表現するのに相応しいレギュレーションだったのではないかなと今になっては思います。

 閑話休題、それでも勝敗、順位は付くわけで。そこで見てみると2020年のファジアーノ岡山はまあよろしくない順位になってしまったわけで。この記事ではどうしてこういうことになってしまったのか、良かったことはなかったのか、そういったことを振り返ってみたいと思います。

2020年の基本情報、成績について

 Football LABさんのページにはいろいろなデータが出てくるので、そちらを参考にしてもらえたらと思う。基本システムは昨季同様に4-4-2、攻撃時は4-2-2-2。攻撃のときにはSHが内側(ハーフレーン)に絞ってSBが横幅で高い位置を取る形を理想にしていた。

 成績としては、12勝14分16敗勝ち点5017位。22チーム制の現行体制になった2012シーズン以降では、勝利数12は2015シーズンと並ぶワーストタイ、敗戦数16は2018シーズンに次ぐワースト2位。さらに得点39はこれも2018シーズンに並ぶワーストタイ、失点49は2017シーズンに並ぶワーストタイ。そして得失点差マイナス10は断トツのワースト1位という、ワースト記録のオンパレードになってしまった2020シーズンだった。昨季の有馬体制では、リーグ戦初めての4連勝とか公式戦でフクダ電子アリーナ(千葉のホーム)初勝利とか、良い意味でのジンクスを破ってきたが、今季は悪い意味でのジンクスを次々に破ってしまったということになる。

2020シーズンは何をしようとしたのか

 シーズン開幕前から有馬監督からしきりに出てきたキーワードになっていたのが「継続と進化」という言葉であった。まず「継続」というのは、2019シーズン、特に後半戦になってからできるようになっていた、縦横にコンパクトにした4-4-2のブロック守備から主に自陣側のミドルゾーンでボールを回収してから、素早く縦に運んで相手の最終ラインをブレイクするというデザインの継続だと思われる。

 次に「進化」というのは、主に自分たちがボールを持つ場面になったときの話。2019シーズンは自分たちでボールを持ったときには、基本的に前線のイヨンジェへのロングボール→セカンドボールを回収する形か、左SHの仲間に預けてのキープ→自ら運ぶ形か、いずれか2つのやり方で前進させるようにしていた。だが、個人でキープと打開のできる仲間の移籍もあって、2020シーズンは個人に依った前進ではなく、最終ラインからボールを運んで全体を押し上げていく形に取り組もうとした、ボール保持の部分での進化を目論もうとしたと思われる。

 もう一つ「進化」というか、個人的により今季は力を入れているのかな、と感じたのが敵陣での守備。2019シーズンは、後方でボールを持とうとする相手に対して、試合の立ち上がりこそ奇襲的な形での高い位置からのプレッシャーは見られたものの、基本的には4-4-2の第一ラインをセンターサークルの頂点付近までステイさせるやり方で守っていた印象であったので、今季は第一ラインからポジションを動かしてより高い位置でボールを捕まえてカウンターに結び付けたい、捕まえきれずとも相手に蹴らせてより高い位置で回収したいという意図があったのではないかと思われる。

 つまり2020シーズンの岡山がやろうとしていたことをまとめると、大まかに次の2点に分けられると言える。

①チーム全体でボールを持つ、運んでいくという意志を昨季より強くする

②敵陣での守備を昨季よりハイプレス基調にする

 上の2点を「進化」の部分と捉えて、そこに昨季からの「継続」の部分(⇒4-4-2で守ってそこから縦に早く運ぶ形)を加えることで、昨季より多くの局面で、そしてより敵陣に深いエリアでも主導権を持って試合を運んでいく。有馬監督が就任時から何度も言っている「アグレッシブ」な姿勢をより強めていこうとしたのが2020シーズンの青写真だったのではないだろうか。

2020シーズンの良かったこと

①新加入選手、特に主力として見込んでいた選手の多くが活躍した

 「継続と進化」という御題目の下、昨季からのチームのベースアップとして有馬監督が強化部にリクエストしたとされる新加入選手、特にJチームから「引き抜いた」選手たちが有馬監督の目論見通りにしっかりとスタメン、主力の地位を確保することができていた。特にこれから挙げる4人に関しては、連戦の続く非常に難しいシーズンの中でもほぼ離脱することなくチームを支えていた。

GK:ポープウィリアム(40試合出場)
⇒本職では開幕当初からシュートストップの質が高く、さらに中盤戦以降は序盤で課題となっていたハイボールへの対応も安定するようになる。ボールを持ったときでも精度の高いキックと足元でプレッシャーの回避地点としても機能していた

左SB:徳元悠平(36試合出場)
⇒試合終盤でもオーバーラップを続けて質の高いクロスを上げることができる運動量はもちろん、SBを出口にせざるを得なかった今季の岡山のビルドアップにおいて、高いプレス回避能力を見せていた。守備でも対人での地上戦ではどの相手にも劣勢に回らずに守れていた

CH:白井永地(38試合出場)
⇒「何人いるか分からない」「3人くらいいるんじゃないか」と称される運動量はただ動くのではなく、攻守両面で「効いている」ポジションを取り続けることができていた中盤の軸。運動量だけでなくボールを持ったときの技量も高く、中盤としてミスが少なかったのも良い部分だった

左SH:上門知樹(42試合出場)
⇒チームの役割上、内側のポジション(ハーフレーン)でのレシーブやドリブル打開にも精力的にプレー。本来はもっと高い位置(バイタル付近)でシュートを打たせるのが良いのだろうが。SHの守備も、中盤戦以降は「行く、行かない」のタイミングがかなりつかめるようになっていた

 このようにチームの主力として期待して獲得した新加入選手の多くが、期待通りに主軸として出場していたということの何が良かったかと言うと、補強戦略において現場(=有馬監督)の求めていることとフロント(=強化部)の見立てがほとんど一致していたということである。それは現場の求めていること、ロードマップが明確であり、なおかつフロントがそれに賛同しているから、言い方は悪いが「無駄な買い物」になりにくいということでもある。今オフ以降の補強戦略においてもおおむね期待が持てるのではないだろうか。

②「ボールを持つ意志」「高い位置で守備を行う意志」を出してプレーし続けていた

 具体的には後述するが、2020シーズンでやろうとしていた「後方からボールを持って運んでいく」「高い位置で守備を行う」について、特に前者の「後方からボールを持って運んでいく」というのはシーズンを通して上手く行ったシーンが非常に少なかった。それでもCB(濱田・田中・後藤・阿部あたり)は簡単に前線に蹴りだすのではなく、最後尾のポープを使いながらCH(白井・上田・パウリーニョあたり)と後方でボールを持って何とか相手のプレッシャーを掻い潜って運ぼうと苦心するシーンがどの試合でも多く見られていた。上手く行かないことを続けるというのは、降格なしのレギュレーションがあったとはいえ、相当ストレスであったに違いない。現代サッカーの流れとしてチームでボールを持つということが避けては通れない道になっている以上、「ボールを持つ」という意志を持ってプレーしたというのは今後につなげていきたい部分である。

 後者の「高い位置で守備を行う」については、「やろうとする意志」だけでなく、前者よりも具体的な良い面が見られた。特に後方からボールを持つチームに対して、試合の立ち上がりに行うような奇襲的なハイプレスとしてだけでなく、相手のビルドアップの配置に対して4-4-2の陣形から第一ラインとSHのポジションを動かして前から噛み合わせることで相手のボール保持に対してストレスを与えるようなプレッシャーを試合を通してかけることができるシーンが昨季に比べて多くなったように思う。特に今季のJ2王者様となった徳島ヴォルティスとの対戦では、ホーム、アウェーの2戦とも相手のビルドアップに対して第一ラインから積極的に高い位置でプレッシャーをかけに行くことで、ボールを持って主導権を握りたい相手に対してやすやすと主導権を握らせることなく膠着した試合展開に持ち込むことに成功した。

2020シーズンの良くなかったこと

①ボールを持って運べなかった、前進できなかった

 前述したように「ボールを持とう、後方から運んでいこう」という「意志」はプレーの随所にあったのは間違いない。しかし実際にボールを持つことができていたか、運べていたかというと、できていたとは到底言い難い内容であったと言わざるを得ないのである。意志はあったが実際にはできていなかったのには、個人レベルの問題、組織レベルの問題と2つの問題がチームにあったからだと考える。

個人レベルの問題
:ボールをコントロールするスキル、キックのスキルの問題

組織レベルの問題
:ボールを前進させるためにどこにボールを運んでいくのか、そのポイントを見出しにくかったという問題

 まず個人レベルの問題について。前者の「ボールをコントロールするスキル」というのは、味方から出されたボールに対して自分が次のプレー(⇒前に出すのか、一度キープするのか、それとも自分で運ぶのか)にスムーズに移行できるようにボールを止めるスキルだと個人的に考えている。岡山の選手は、J2の他のチームと比較してもこのスキルがまだまだ足りないと感じるシーンが今季は非常によく見られた。ボールタッチが身体から離れすぎたり、逆に足元に入りすぎたりすることで、次に何をするのかが相手にとって読みやすくなってしまい、後方でボールを持とうとすればするほど、自分たちのパスが相手のプレッシャーのスイッチになってしまい、いわゆる「爆弾ゲーム」のようなボール保持になってしまっているということが多かった。

 後者の「キックのスキル」については、中長距離のパスを出せるキック力ももちろんだが、ここで特に書きたいのはショートパスのスピードと精度の問題である。これは前者の「ボールコントロール」の問題とも密接に関連する問題となるのだが、まず自分たちが後方でボールを持つときにパススピードを上げられずに一定でそこまで速くないので、横幅を取ってボールを動かしても相手のプレッシャーが間に合ってしまう。加えてちょっとずつパスの方向がズレることで次のプレーにスムーズに移行できずに、相手にコースを切られてしまって前述した「爆弾ゲーム」に移行してしまう、ということである。

 対照的に徳島やギラヴァンツ北九州の選手はこの点でのスキルが非常に高く、次のプレーにスムーズに、しかも複数の選択肢を持てるようなボールのコントロールをすることができていたように感じた。こういったチームとの対戦では岡山の選手が相手の次のプレーを予測してプレッシャーに向かっても、その予測を外されてプレッシャーを剥がされてボールを前進されるというようなシーンもよく見られていた。

 次に組織レベルの問題について。これは個人の技量の問題とも関わってくるのだが、昨季の岡山は相手がいても単独でキープして、1枚2枚ならば剥がして前進できてしまう仲間(現柏レイソル)が中盤の内側レーンのポイントとして、そして相手の最終ラインと中盤の間、もっと具体的に言うとCB-CH間でボールを受けることができる中野(現ジュビロ磐田)がライン間のポイントとして、どこにボールを運べば前進させやすいかというポイントをある程度共有することができていた。しかし今季は、(求められるタスクを非常によく頑張っていたとはいえ)上門が昨季の仲間ほどキープ、打開のタスクをこなしきれなかった。左でポイントを作れないことによって逆サイドのSHも関戸だったり三村だったり野口だったりとなかなかこれといった選手が定まりきらず、中盤でポイントを共有できる形にならなかった。加えて前線も基本的に相手の最終ラインの背後に飛び出してナンボ(⇒というよりはマークを剥がした状態でボールを受けてナンボ)な選手が起用されていたので、ライン間のポイントでCHやSBからのボールをピックアップする形を取ることもできていなかった。清水がそのタスクをこなせるのではないかと期待していたのだが・・・。

 このように中盤から前、特に内側~中央のエリアでポイントを作れないとどうしてもSBをビルドアップの出口にして、そこから外→外の打開に依存せざるを得なくなる。特に左の徳元は、岡山では数少ない「相手を引き付けられる選手」として、後方からボールを運ぶときのプレッシャーの回避地点として頻繁に使われることになった。大外の徳元から斜め(⇒内側にポジショニングする上門であることが多かった)に入れるパスだったり、サイド奥に流れた前線の選手を走らせてそこから運ばせる形だったりで何とかボールを運ぶ形を苦心していたのだが、ボールを運べる流れが外→外しかないのでやはり対面の相手を剥がせる選手がいないと徐々に手詰まりに。「中央を塞がれる→外に追い込まれてプレッシャーを受けて蹴り出す→セカンドボールを相手に回収される」という「後方でボールを持とうとする→逆に相手にボールを渡してしまう」パターンが完全に確立してしまっていた印象である。

 「どこにボールを運べば前進できるのか」というポイントが共有されていないと何が問題になるのかというと、ボールを持たない選手の動きが曖昧になってしまうことが最大の問題となる。最初のポジションから適切な位置にポジションを取り直すことができず、選手の動きのないボール保持となってしまい、無理してボールを前に入れようとしても選手が孤立、キープしきれずにボールを失ってカウンターを浴びるという悪循環にハマってしまうということである。

 ただ中央や内側でポイントを作れた、共有できていた時期がなかったわけではなく、赤嶺斎藤という、岡山の前線の選手の中では相手を背負ってもボールを収めることができる選手が前線で起用された場合や右SHで斎藤が起用された場合は、そこにボールを送るプレーを増やすことでプレッシャーを回避できたり、セカンドボールに対するプレッシャーを強めることでセカンドボールを回収できたりすることで結果としてボールを前進させることができていた時期もあった。特に最終節のヴァンフォーレ甲府戦では、赤嶺と斎藤を上手くポイントとして共有しながら背後を山本が突くことで、効果的にボールを運ぶことができていた。

 結局2020シーズンの岡山がやろうとしていたボール保持からの前進、という目論見は個人レベルの問題から見ると「そもそもボールを持てていなかった」、組織レベルの問題から見ると「何とかボールを持てたは良いがそこからボールを前進できなかった」ということに行きつくのである。

②カウンターを受けがちになり、最終ラインが晒される

 ①の問題ともリンクするのだが、効果的にボールを持つことができていないとどうしても苦し紛れにボールをリリースすることになってしまう。そうなると相手に良い形(⇒自分たちの陣形が崩れた形)でボールを渡してしまったり、セカンドボールを回収されてしまったりすることでカウンターを受ける回数も必然的に多くなるのだが、その際に「できるだけ高い位置でプレッシャーに行く」ことを意識しすぎてか、崩れた陣形の状態で前線や中盤の選手がカウンタープレスに向かうことで逆に相手にスペースを与えてしまい、最終ラインの選手が晒されてしまう、プロテクトできていない状態になることが今季はとても多かった。

 プレッシャーの問題は4-4-2で自分たちでプレスに行くときにも見られており、特にCHがパウリーニョ上田の2枚で起用されたときには、ボールサイドに向かいすぎるCHの片方、空けたスペースを埋めきれないCHの片方というシーンが散見されて、カウンターを受けた時のような最終ラインの前にスペースを明け渡してしまうというケースになることが多かった。白井関戸が起用されていたときは、運動量で何とかカバーできていたのだが、運動量が落ちたリーグ戦終盤になるとその運動量でカバーする形もなかなかできずに、自分たちのプレッシャーが逆に相手の攻撃をスピードアップさせるスイッチになってしまうことが良く見られていた。

③継続であったはずの縦に速くボールを運ぶ形が機能しない

 結局昨季の「縦に速くボールを運んで、素早く相手最終ラインに仕掛ける」形というのは、仲間の独力、推進力にかなり依存している形だったと言わざるを得ない。自ら運べる選手がいることで相手がそっちへのケアに向かったところをイヨンジェ山本中野が背後を突いて縦に速く運ぶ形が成立していたわけで、今季は運べる選手がいなかったことで、そもそもの背後を狙える前提条件が整わなかったと言える。加えて今季は後方からボールを持とうとする(持てていたとは言ってない)ことを強調していたので、より縦に運ぶ意志がおざなりになっていた部分もあったと思う。

 なお「もっと縦にボールを蹴っていれば勝てていた」という意見には個人的には懐疑的。相手も縦に蹴ってくると分かっていれば、結局運べる選手がいないと、縦に蹴っても前線の選手が相手最終ラインに背後に飛び出すスペースは消されているので、そこまで得点数は伸びなかったと思う。もっとも縦に蹴る回数を増やすことでリスク回避を図ることができ、失点はもっと減っていた、「勝てていたではなく、負けにくくなっていた」という意見ならばある程度納得はできる。

来季に向けてのお気持ち

・本文中で何度も書いているが、ボールを持とうとする意志は見せたが、実際にボールを持つことができていた回数は少なく、前進させる形もなかなか出すことができなかった。加えてボールを持ったときに相手に仕掛けることが得意な選手がいなかった、出てこなかったこともあって、前線が背後を取るためのスペースを作り出すこともできずに、後方でボールを持とうとすれば持とうとするほどどんどん攻撃が手詰まりになってしまうというシーズンだったと言えるのではないだろうか。

・ただ、「後方からボールを持とうとした、運んでいこうとした」からこそ第一ラインからのプレッシャー位置を高くしての敵陣深くでの守備、ボールサイドにプレッシャーを強める守備についても昨季よりも取り組むことができた。前で守備をするには、「自分たちでボールを持てるようになる」か「ボールの行ったり来たりに負けない強度で上下動できるようになる」かしかないので。そして「ボールを持とうとした」ことで何より重要だった気付きが、このチームの技量不足に真正面から向き合うことができたことだと思っている。「ボールをコントロールするスキル、ボールを持ったときに相手に仕掛けていけるスキル、姿勢など、アグレッシブな試合運びをするには足りないものが多すぎる」ことを発見できたことこそ、今季の最大の収穫なのではないかと思う。

 まとめ記事としては次に挙げる有馬監督のインタビューはぜひとも読んでいただきたい。これがシーズンレビューだと言っても何ら過言ではない。

2020シーズン私的MVP

4 DF 濱田水輝

もともとケガがちな選手だが、超過密日程の中で一度もケガによる離脱期間がなく常に最終ラインの柱として奮闘。晒されがちになる最終ラインで対人の強さで相手を撃退するシーンはもちろん、高い位置からプレッシャーをかけに行く守備で積極的なライン設定とライン調整役としても非常に大きな貢献を見せていた。前述した新加入選手4人(ポープ・徳元・白井・上門)も非常に良かったのだが、やはり今季は濱田がMVPではないかと思う。

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