J2第6節 ファジアーノ岡山vs大宮アルディージャ 試合レビュー
こんにちは、ファジ・リオです。
今回は、J2第6節 ファジアーノ岡山vs大宮アルディージャの試合レビューを書いたので、ぜひ読んでみてください!
⚫フォーメーション/スタメン
アウェイのファジアーノはW杯最終予選で離脱中のデュークに代わって川本梨誉を先発で起用し、ベンチには出場停止明けのステファン ムーク、新加入のハン イグォンが入った。
一方ホームの大宮アルディージャは前節からCBを2人とも代え、Jリーグデビューとなる栗本をそのうちの1人に置いた。2015、2016シーズンにファジアーノに在籍した矢島慎也が先発、さらには2019シーズンにファジアーノで活躍した中野誠也がベンチ入りした。
大宮の基本システムは[4-3-3]、CFの河田やWGの柴山は要注意プレイヤーだ。
⚫試合評
試合開始直後からファジアーノが攻勢をかける。
徳元のロングスローから木村太哉が相手ゴール前でフリーになる、左足でシュートを放つもGKの正面にボールがとんでしまいゴールとはならない。
その後数分はファジアーノの押せ押せの展開になるかと思われたが、大宮はビルドアップをしようとするファジアーノの選手一人一人にピッタリと付いて、パスカットをするなどして自由を与えない。
積極的に相手陣で奪おうとする姿勢を見せた大宮にチャンスが訪れる。
13分、上手くファジアーノのプレスをかいくぐった大宮は田代が敵陣の深い所へ浮き球を小野へ送る。ファジアーノの河野が奪うもクリアするのかパスを出すのか、中途半端なプレーをしたところを小野がすかさずカットし、それを拾った柴山がクロスを上げると、中に走り込んだ矢島がダイビングヘッドで押し込んだ。
矢島の恩返し弾で大宮が先制に成功した。
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その後、大宮がCKで2度チャンスを迎えるもゴールを奪えない。
一方のファジアーノは39分、バイスのシュートのこぼれ球を田中がGKと1体1で詰めるもセーブされ、さらには川本のシュートも止められた。その流れからのチアゴのヘディングシュートもポストに嫌われた。
この場面でGK南が顔面を負傷するも、前半はプレーを続けた。
試合は大宮が1点をリードして折り返す。
後半、負傷した南に代わって上田が大宮のゴールマウスを守ることとなった。
すると46分、ファジアーノは自陣からのスローインを上手く前線に繋ぐと、川本が相手を1人かわし、そのままボックス内に持ち込んで強烈なシュートを放つ。これは後半代わったばかりの上田が良い反応を見せセーブする。
65分、大宮に痛すぎるアクシデントが起きてしまう。GK上田がロングボールを蹴ると、その時に右足を負傷。プレーの続行が不可能になってしまった。既に南も交代していた大宮は控えのGKが居らず、CBとして先発起用されていた栗本を"急造GK"とすることを決断した。
大宮にとっては痛手だが、ファジアーノからすればチャンス到来。
ファジアーノはボールを動かして大宮のブロックを崩そうとするも、何としてもシュートを打たせまいとする大宮の気迫のディフェンスに遭い、シュートを打てない。
シュートをほとんど打てないまま迎えた終盤、ファジアーノは多少アバウトでもロングボールをボックス内に入れようと試みる。
すると90+5分、左サイドから徳元がクロスを供給すると、ボックス内でこぼれたところを待っていたステファン ムークが右足一閃。ダイレクトで放ったシュートがゴール左上に突き刺さり、ファジアーノが土壇場で同点に追いついた。
ここまで耐えてきた大宮の選手、サポーターは膝から崩れ落ちた。
試合終了
今季初勝利が目前だった大宮は、思わぬアクシデントに何とか対応したものの無情にも引き分け、今季初勝利はお預けとなった。
一方ファジアーノは、試合後の監督インタビューからも分かるように勝ちきれなかった。反省の残る引き分けとなった。
⚫ゴールシーン
今節はステファン ムークのゴラッソで何とか引き分けに持ち込むことが出来ましたね。少しだけですが、ゴールシーンを見ていきましょう。
徳元が浅い位置から早めに、ボックス内にボールを供給しました。柳がずっと前線に居てパワープレー状態で、アディショナルタイムも終盤だったので当然のプレーでしょう。
そして後ろに落とした、というよりこぼれたボールに反応したムークが右足を振り抜いてゴール。これは本職のGKでも触れなかったと思うので、ムークを褒めるしかありませんね。
相手が完全に引いて守っている時は、こういうロングボールを中に入れたら何か起こるんですよね。中でゴチャゴチャするのをディフェンス側は嫌うので、相手が嫌がることをもっと早い段階で出来ていたら…。なんて思ったりするサポーターも多いと思います。実際SNSでそんな声が溢れてましたからね。
まぁその話は後半で。とにかくムークのゴールは素晴らしかった…!
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⚫失点シーン
栃木戦以外、毎回失点シーンを取り上げなくてはいけないという、ちょっと嫌な作業で読む方も嫌かもしれませんが、嫌なことから目を背けるわけにはいきません。
さぁ、見ていきましょう。
河野の裏を狙った浮き球のパスでした。河野はおそらく最初はゴールラインを割らせてゴールキックにしようとしたんだと思います。
ただ、ボールにそれほど勢いがなくゴールキックにするのは無理だと判断した。クリアするような素振りは見えなかったので味方にパスを出すか、キープして背負った小野を剥がすかの2択だと思いました。
そこでどうするか決めあぐねて中途半端になったところでボールを奪われてしまい、ディフェンスも不意をつかれて矢島に対応し切れず、といった感じですね。
上記で小野を剥がす選択肢もあったと表現したんですが、筆者の考えでは、ゴールキックにすることを諦めた河野はパスを出したかったんじゃないかなと思うんですよね。だから少しだけキープして味方が近づいてきてくれるのを待っていた。というふうにも見えます。
ただ誰も近づいて来なかったですね。あの体勢からパスを出せるとしたら柳だと思うんですが、プレーしている位置と柳との距離感からしてパスを出すのは危険だった。パスを攫われてしまうかもしれないので。
それを危険でなくするために柳や他の選手が近づいてあげれば、結果は違ったのかなと思ったりします。
失点について柳がコメントしています。
柳選手のコメントはこちら↓↓
「人間なのでミスは絶対にある」
これなんですよね、サッカーは。試合を観る時は、サッカーはミスが必ずあるスポーツだ!というのを頭に置いておく必要があると思います。そのミスを周りがどうカバーするかが勝敗を分けます。
今節の試合中SNSで「今のは河野が悪い」っていう呟きを見て残念だなと思いました。
個人的に誰かを戦犯にして責めることは何の解決にもならないと思っています。なぜならサッカーはチームスポーツだから。
どうしてミスが起きたのか?ミスの1つ前のプレーはどうだ?なら2つ前のプレーは?フォローはどうだ?距離感は?というように1つのミスを切り取っても、複数の要因があります。それも1人だけの問題じゃない、チームの問題です。
チームの問題だから柳は「みんなでより強固になっていけば」ということを言ったんだと思います。
少し長くなりましたが、今節の失点は判断が中途半端になってしまったこと、周りのサポートが遅れたことによる失点と考えてもおかしくないと思います。
⚫大宮のシンプルで速い戦い方
「大宮は本当にシンプルですね〜!」
今節、DAZNの解説の方が試合中何回か言ってたフレーズです。筆者の試合を見ての感想もだいたい同じで、割り切ったサッカーしてるなぁ、です。
どんなところがシンプルだったのかと言うと、パスを繋げないと思ったら前に蹴る、というのをオートマチックにやっていたところです。
蹴らされているんじゃなく、蹴っている。相手ボールになっても良いから無理に繋がず、出すとこなけりゃ前に蹴る。ここまで割り切れるものなんだなと思いましたね。
でもこの割り切った戦い方はファジアーノにとっては嫌な戦い方でした。
ファジアーノは「相手陣でプレーする」というのを目指しています。前からどんどんプレスをかけてボールを奪い切る、開幕戦でその一端を見せてくれました。
ただそれは相手がビルドアップをするサッカーであるほどハマりやすく、逆にロングボール主体であるほどハマりにくい。
大宮はビルドアップ主体とは言い難いサッカーでした、つまりファジアーノが掲げるサッカーはハマりにくかった。ボールを自陣にまで蹴り戻されてしまうからです。
相手陣でプレー出来ないなら自陣からのビルドアップで崩せば…!という考えが浮かびます。実際にファジアーノは今季は積極的にビルドアップに挑戦しているので、そうすれば良いんですが。そうさせないのが大宮でした。
ファジアーノが自陣でビルドアップをしようものなら前からガンガンプレスをかけ、そして奪い切るところまでやりきる。しかも瞬間のスピードが速い。ここまでビルドアップが上手くいった例が少ないファジアーノからすると、またプレスが厳しいチームかよ!パス繋げねぇ!です。何回も見てますね、今シーズン。
シンプルに蹴ってくるわプレス速いわ、で本当に嫌な戦い方でした。
⚫ただ蹴るだけじゃない大宮
繋げないと思ったら迷わず蹴るというのを言いましたが、何も考えずに蹴るだけじゃありませんでした。その象徴とも取れるシーンをピックアップしたので見ていきます。
大宮が自陣でボールを持っています。味方にはそれぞれマークが付いているのでパスを出せません。すると大宮はシンプルに前に蹴ります、ここでは柴山にボールを出しました。
このプレーを見て筆者は、出すとこないから無理に柴山にパスを出したんだなと思いました。が、それは違いました。
柴山はボールを受けると柳の圧力がありながらもキープ、味方の上がりを待ちます。次の図です。
大宮としては、繋げないと分かったら前に蹴るというのが選手間での共通理解となっているので、ボールが前に出た、しかも柴山にとなると速攻のチャンスと判断して、ファジアーノの選手よりも早く動き出します。
この場面では2選手が早い動き出しをしたため、手前と奥の2つの選択肢を持つことが出来ていました。
ただシンプルに蹴るだけではなく、意図して蹴っているというのも嫌なポイントでした。
⚫雑感
ハーフタイム時点でのスタッツを見てみます。
何か、ファジアーノがめっちゃ圧倒してるように見えますね。シュートは前半39分辺りのゴタゴタで4本打ってますから、こんなもんかなと。
じゃあ試合終了後のスタッツはどうなのか、見ていきます。
たったこれだけの情報で何が分かるってわけでもないですが、スコアは1-1でありながらやはりファジアーノが圧倒していたように見えます。
でも実際はどうでしょう?ファジアーノは本当に圧倒していたのでしょうか。
お世辞にも圧倒していたとは言えないでしょう、特に後半は。
1点ビハインドで相手は急造GK、これはもうどんどん前にボールを出してボックスに近づいて、こぼれをシュートしていく。これがセオリーかは分かりませんが、こうするものだと思っていました。
でもファジアーノはガチガチに固めた大宮のブロックを崩そうとしました、ビルドアップで。
いやいやいや、流石に難しいだろう、ビハインドの状況でそれは。状況が状況なのでシュートを枠に飛ばせば何か起こるはずでした。アバウトにクロスを上げれば何か起こるはずでした。
でも追い込まれるまでそうしなかった。なぜなんだろうか、試合後の監督インタビューを聞けば何か分かると思い、聞いていました。そこで木山監督が話していたことを何個か取り上げてみます。
シュートを打たないと入らない、しつこいくらいに前にプレー...…。
「え?」です。
分かってたのなら何故やらないのか。現場の指示の伝わり方はこちらには分かりませんが、木山監督のインタビューの通りに前にプレーした場面、シュートを打った場面はアクシデント以降ほとんどなかったように思います。
それともインタビューで答えたことに気づいたのが試合終盤だったからそういう攻め方になったのでしょうか。
「前にプレー出来なかった」という表現が、アバウトなロングボールが出せなかったのか、ビルドアップで前進出来なかったのか。どちらを指しているのかは不明ではありますが、筆者としては前者の方であって欲しいと願います。
あの状況で「ビルドアップで前進出来なかった…くそ!」というのはあまりにも理想を追い求めすぎだと思うからです。ロングボールをボックス内に入れることをもっと早く出来ていれば得点のチャンスも増えていたと思います。
実際、ムークのゴールもロングボールからボックス内でのこぼれ球でしたから。
臨機応変さをもっと出しても良かったのかなと。自分たちのサッカーをしよう!では技術的に限界があります。なので相手に合わせるサッカーの中に自分たちがやりたいことを入れ込む、第1に相手を見てサッカーをすることを大切にして欲しいなと思います。
次節、いわて戦です。中3日のハードスケジュールですが、今年は選手層が例年より厚いので、ターンオーバーがあるかもしれない。改めて木山ファジの目指すプレーを確認し、それを見せて欲しいと願うばかりです。
Cスタに応援に行く方、DAZNで応援する方、ココロヒトツニ共に戦いましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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