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J2第3節 ファジアーノ岡山vs栃木SC 試合レビュー

こんにちは、ファジ・リオです!
今回は、J2第3節 ファジアーノ岡山vs栃木SCの試合レビューを書いたので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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【写真提供】
岡山キジ太郎(@kijitaro2004)
天のなめこ(@tennnonameko)


⚫フォーメーション/スタメン

赤:岡山     青:栃木

   ファジアーノは前節からのメンバー変更は無し、今シーズンから採用している[4-3-3]を基本システムとした。CBの柳は古巣対戦、栃木に対しては様々な思いがあったようだ。
   柳のコメントはこちら、

   栃木は非常に思い入れのあるクラブで、いつもどおり勝利のために、今回は栃木への想いを忘れて戦いたかったが、カンセキスタジアムが近づいて見えてきたところから色んな思いがこみ上げて来て、懐かしい想いと色んなことがあったなという想いの中で、自分の中でうまく消化しながら戦えた。

ファジアーノ岡山公式より

   一方の栃木は、前節スタメンの瀬沼をベンチに置いた。キャプテンマークを巻く西谷をボランチに置く[3-4-2-1]で試合に臨んだ。

⚫試合評

 3月5日(土)   14:03 KO
atカンセキスタジアムとちぎ

ファジアーノ岡山 1-0 栃木SC
【得点者】
48' ヨルディ バイス

  3分、ファジアーノはニアゾーンに進入した宮崎幾が中央に構えていたデュークにパスを送ると、デュークはこれをキープする。一度は相手に奪われるも、こぼれ球を拾った本山がシュートを放つ。
   8分には、宮崎幾が右サイドの敵陣中央からカットインし、中央の田中雄大にパス。田中はワンタッチでディフェンスをかわすと右足で強烈なシュートを放つが、これはクロスバーの上。
   ファジアーノは主に左サイドを使い、バイス・徳元の間でパス交換しながら相手のウイングバックを引き出し、その裏を突くという戦い方を多用した。
   ボール支配率が60%を越え、ボールを保持できているなと感じていた26分、ビルドアップに参加していた本山のパスミスを栃木の21番トカチが拾い、そのまま前に走り込んだ西谷にボールを預けると、西谷はペナルティエリア左からシュートを放つ。これは梅田が上手くシュートコースを塞ぎ、左手でセーブした。

   試合は 0-0で折り返す。

   後半、ファジアーノがいきなり先制のチャンスを迎える。47分、2試合連続ゴール中のチアゴ アウベスがペナルティエリア近くで相手のファウルを誘いFKを獲得する。
   キッカーはボールを丁寧にセットしていたヨルディ バイス。助走を短くすることでタイミングをずらし、相手の壁が跳んでも間に合わないようなタイミングでのキック。見事にゴール左隅に突き刺さり、ファジアーノが先制、そしてバイスは移籍後初ゴールを達成した。

壁のセッティング
見事FKを決めたヨルディ バイス
祝福するチームメイトたち

   その後、栃木は何度か攻め込むも決定力を欠きゴールを奪えない。しかしそれはファジアーノにも言えることで、何度もチャンスを作るが決めきれない。ファジアーノとしては相手をボールに触れさせず、相手ディフェンスを崩すシーンがあっただけに、追加点がなかなか取れなかったことが悔やまれる。

   試合はそのまま 1-0で終了。

   今シーズン初のアウェー戦だったが、勝ち切ってみせてくれたファジアーノ。開幕3試合で2勝1分、6得点で得失点差+4
   何よりもクリーンシートで試合を締めくくれたことはかなりのプラス材料になる。


⚫ゴールシーン

   ヨルディ バイスの見事な芸術的フリーキック。バイス本人が話していたように、タイミングを上手くずらしたキックだった。
   バイスのコメントはこちら、

   良い時間帯にフリーキックを取ることができて、ゲームの均衡を崩せた。助走を短くして、相手の壁がジャンプできないタイミングで蹴った。恐らく、徳島に在籍していたとき以来のフリーキックでのゴールだと思う。
チアゴ選手、柳選手、デューク選手など背の高い選手がいるので、セットプレーはチームの強みにしていきたい。

ファジアーノ岡山公式より

   ぜひ、何度でも見てもらいたいゴールだ。


⚫ウイングバックの裏を狙う

   木山監督のハーフタイムコメントにもあったように、ファジアーノは前半から相手の裏を取る動きを積極的に仕掛けていました。

木山隆之監督 ハーフタイムコメント
・相手の背後を取る動きをもっとやろう
・プレスをしっかりかけていこう

ファジアーノ岡山公式より

   その相手の裏を狙う動きを積極的にしていたのが宮崎幾笑です。前半に上手く裏を取れた、まさしく相手の背後を取る動きがあったので見ていきます。

   試合のどの時間帯のプレーかを明記しておきますので、DAZNが見れる方はぜひ試合映像を参照してみてください!!

■ 2:24〜

   上図を見てください。敵陣のハーフウェーライン付近で河野がボールを持った瞬間、宮崎は相手選手の間を抜けて、栃木の谷内田の裏を取る動きをします。
   宮崎は谷内田から離れた位置にいたので、谷内田は裏を取る動きをきちんとは確認できず、河野からのパス1本できれいに相手の背後を取れたシーンでした。
   他にも裏を取る動きはあったんですが、今回は割愛します。


⚫ミッチェル デュークの役割

   今節、再三見られたデュークの動きがありました。トップの位置でクロスなりパスなりを待つのではなく、少し下がって自身が攻撃の起点となる動きです。 
   デュークにボールを当ててウイングやインサイドハーフに展開する、こういった攻撃が多くありました。いくつか見ていきます。

   試合のどの時間帯のプレーかを明記しておきますので、DAZNが見れる方はぜひ試合映像を参照してみてください!!

■ 4:49〜

   柳がデュークにパスを送ると、相手選手が3人もデュークに食いついてきました。栃木はデュークが起点になろうとすることはチェック済みだったんだと思います。
   それでもボールをキープできるのがミッチェル デュークというプレイヤー。上図のように3人に囲まれても浮き位置の河井に展開することができていました。

   3人も引きつけることができているので他の選手のマークが甘くなり、チャンスが増えることに繋がります。

   このシーンは決定機とはならなかったんですが、次に見るシーンはゴールまであと一歩というところまで迫りました。

■ 14:42〜

   最終ラインでバイスがボールを持つと、落ちてきたデュークにロングボールを蹴ります。結果、バイスの選択は正解となります。

   デュークが落ちるということは、相手選手が最低でも1人は食いついてきます。そこで上図のように空いたスペースに田中が走り込み、そこを狙ってデュークが頭で逸らす。 
  相手をデュークに食いつかせることで、その分スペースが空く、これを上手く使ったシーンでした。

   そしてボールを受け、抜け出した田中はそのまま左サイドを突破していきます。

   1対1をかわした田中はペナルティエリア中央へパスを送ります。ここに走り込んだ宮崎にボールが渡れば…という場面でしたが相手キーパーに阻まれます。
   ウイングバックの背後では無いにしろ、ここでも宮崎の相手の裏を取る動きが見られました。

■ 56:35〜

   後半のワンシーンです。このシーンはあと半歩で追加点、という大チャンスでした。

河井の所のエフェクトはミスです

   右サイド中央でボールを持った河野は直接宮崎にボールを出して裏を取るのではなく、一度デュークを経由することを選択しました。
   というのも、宮崎が1対1のシーンで相手を剥がしてチャンスを創出、という場面をここまであまり見れていないことと、一時的にデュークへのパスコースが大きく開いたということが重なり、1度デュークに預けて相手を引きつけてもらおうとなるわけです。

   狙い通りになりました(笑)  上図を見ていただければ分かるように、デュークに3人も食いついてきてくれました。
   よってスペースが空きます、デュークは簡単にボールを失わないので、スペースに走っていた宮崎に難なくパスを出すことができました。

   敵陣深くにまで進入した宮崎がクロスを上げるんですが、ここではチアゴの動きが非常に良かった。

   上図を見てください。チアゴがニアに動きだしているのが分かると思います。チアゴのマークについている選手は離れるわけにはいかないので付いてきいます。
   すると、水色のエリアが空き、そこに田中が走り込んでほぼフリーの状態になることができました。あとは決めるだけでしたが、田中のヘディングシュートはキーパーの正面に飛んでしまい、ゴールとはなりませんでした。

   このシーン全体は、複数の良い動きが重なって決定機を創出できていました。

起点作りに徹したミッチェル デューク

   それで、結局デュークの役割は何なんだ?ということですが、ここまでのプレーのまんまだと考えています。トップの位置に座ってるだけじゃない、起点を作るんだ。上手く言葉で説明できませんが、そういうことだと思います。

   偽9番っていうのがあると思うんですが、「偽9番は言い過ぎ、でもそんなイメージ」という感じです。
   偽9番は簡単に言えば、センターフォワードの選手がボランチ付近まで落ちてビルドアップに参加して相手ディフェンスを錯乱させる、ということです。

   デュークのプレーは決してビルドアップに参加するというものでは無かったですが、相手を引きつけること、スペースを空けさせることは確実に相手の守備を崩してチャンスを作っていました。そういう点では「偽9番は言い過ぎ、でもそんなイメージ」です。


⚫敵陣で奪った良いシーン

   敵陣でボールを奪って、拾って上手く攻撃に繋がったシーンがあるので見ていきます。

   試合のどの時間帯のプレーかを明記しておきますので、DAZNが見れる方はぜひ試合映像を参照してみてください!!

■ 66:39〜

   上図で河井がパスを奪ったシーンです。
デュークがボールホルダーに圧力をかけ、田中・白井がそれぞれパスを受ける側の選手を監視して、パスの選択肢を1つに絞らせることに成功しました。
   構えていた河井は見事にボールを奪い、1度田中に預けます。

   田中からの1本のパスで一気にニアゾーンに進入することができました。
   河井の位置取りに注目です。ボール奪取からスルスルっとペナルティエリア付近まで上がってきた河井に対処するため、ディフェンスの1人がペナルティエリア中央に移動します。すると次のようになります。

   デュークとは逆サイドのニアゾーン付近がガラ空きとなり、走り込んでいたチアゴがフリーでシュート。惜しくもポストに阻まれてしまい、こぼれ球を白井が狙うもグティエレスのブロックに遭いコールならず。

   決め切って欲しいなという思いもありつつ上手くパスコースを限定させてボールを奪うことができたシーンだったと思います。


⚫チアゴ アウベスの仕事

   チアゴは開幕戦で2ゴール1アシスト、第2節でも1ゴールと調子が良い。今節もゴールに迫るシーンがありましたね。その分、相手のマークも厳しくなります、すると自然と増えるものがあります。
   それは、ファウルです。筆者調べになりますが、チアゴが敵陣でファウルをもらった回数は6回。しかも、そのほとんどがアタッキングサードでのファウルでした。しかもチアゴが得たフリーキックのうち1つはゴールに直結しています。

   なるべくファウルをもらわずに突破してチャンスを作って欲しい思いもありながら、デューク、柳、バイスという高さのある選手を揃えている今年のファジアーノでは、セットプレーが鍵になります。
   そのセットプレーを取ってきてくれる存在がチアゴで、非常にありがたい存在になりつつあります。

   ファウルをもらうだけがチアゴの良いところではありません。簡単にボールを失わずキープすることで味方の上がりを待ったり、相手を引きつけることも可能です。

   開幕前は、「悪魔の左足」と呼ばれるほどのキック力があるんだなぁ。くらいにしか思っていませんでしたが、3試合を終えてチアゴの長所がだんだんと見えてきたような気がします。
   左サイドで落ち着いていますし、今後も目が離せないプレイヤーの1人ですね。


⚫栃木の良さげなプレー

   後半、栃木は矢野や瀬沼を投入して前線に厚みを持たせようという意図をもって攻めてきました。その中で、良さげなプレーが見れたので簡単に紹介します。

■ 86:30〜

   上図のように瀬沼が、田中・本山・柳・バイスのちょうど真ん中にポジショニングしています。ここでパスを受けた瀬沼は田中・本山・柳が食いついてくるタイミングを見計らってトカチにラストパス。シュートまで持っていかれました。
   おそらく瀬沼はトップ下のような位置で起用されていたと思うんですが、このシーンもそうですが、ポジション取りが上手い印象があります。
   間で受けるのが上手い、それに尽きると思います。前節はトップでスタメン、主にボールを当ててもらってシャドーに散らす役割をしていました。


⚫雑感

古巣対戦となった柳育崇


   試合を見てて感じたかもしれませんが、今節はファジアーノがボールを持つ時間が長かったですね。筆者はボール支配率は五分五分くらいかなぁと予想していたので、少しびっくりです。
   というのも2節の栃木と東京ヴェルディの試合を見て、栃木はプレスをガンガンかけてきてたんですよ。それでヴェルディは簡単に蹴るし、奪われるしで。まるで前節の徳島戦のファジを見ているような感じでした。それで今節も栃木のプレッシャーすごいんだろうなぁ、また簡単に蹴っちゃいそうと思ってましたから、ボール支配率は五分五分と読んだわけです。

   でも蓋を開けてみると意外と来ない、というかプレスを簡単に剥がせてました。河野なんかはチョンっとワンタッチでかわすし、徳島戦みたいにただ蹴り出すだけじゃなくてデュークが落ちてきて起点になってくれて、逆に栃木のプレスが大きなスペースを作ってくれてチャンスになった。みたいな場面が結構ありました。

   あと、栃木が攻め手を欠いていたんですが、単純に栃木の選手の動き出しが少なかったように思います。ファジアーノは[4-5-1]でブロックを敷いて構えているわけですが、それを崩すためには選手が動いて、ディフェンスを動かさないといけません。でも、栃木の選手は動いても1人。他の選手が動かなかったのか、動けなかったのかは分かりませんでしたが、ファジアーノのブロック陣形が崩れることはほとんどありませんでした。

   ファジアーノは決定力が足りない、あれだけのチャンスを作っておきながら決め切れない。まだ3節で、今後のことは分かりませんが、複数得点がもっと欲しい。得点力不足をシーズンを通しての課題ではなく、早めに解決していきたい。

   ということで今節は、勝ち切ることに成功し、且つ課題も浮き彫りになるという嬉しい結果になりました。こういう試合を増やしていって、シーズン終盤は自分たちのやりたいことを存分に楽しむようなサッカーを期待してます。

空中戦でも強さを見せたヨルディバイス
もちろん高さで勝てる
ミッチェル デューク
栃木サポーターに挨拶をする柳育崇

   最後まで読んでいただきありがとうございました!次節 町田戦も応援頑張っていきましょう、現地で応援される方、DAZNで応援される方、ココロヒトツニ!

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