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タワーマンション購入の際は「長周期地震動」対策の有無を確認しよう。

本日(2023年2月2日)の日経新聞朝刊に、気象庁は2023年2月1日から「長周期地震動」が予想される地域にも緊急地震速報を発表する運用を始めた、との記事が載っていました。

そこで、
「長周期地震動って何?」
「聞いたことはあるけど詳しくは知らない」
という人に向けて、簡単に説明したいと思います。

長周期地震動とは、周期(1往復の揺れ)が長い「ゆっくりとした揺れ」で、人が感じにくいとされています。したがって、どうしてそれが大きな問題になるのか分かりにくい面があるかも知れません。
2つ例をご紹介します。

ひとつは、2004年10月に起きた新潟県中越地震です。
震源から200キロ近く離れた六本木ヒルズのエレベーターが損傷しました。エレベーターを支えるロープが昇降路内の突起物に引っかかり、エレベーターが非常停止したのです。

森ビルは対策として長周期地震動用の検知器を導入。地震発生時はエレベーターを中間階に集め、ロープのたわみを抑えるようにしたのです。

それ以後の新潟中越沖地震(2007年7月)や岩手県南部沖地震(2008年6月)では震動を検知し、自動停止したと報告しています(参考サイト参照

また、東日本大震災のときは、600㎞以上離れた大阪市「咲州庁舎」で最大1mを超える大きな揺れが約10分も続いたと報じられました。(参考サイト参照

この2つの例に共通していることは、震源地から遠く離れた場所でも地盤の弱さが揺れを大きくし、建物に影響を与えてしまうこと。

都市部の「地盤が比較的弱い地域」にある「超高層建築物」といえば、都心のタワーマンションがその代表的なひとつです。

では、タワーマンションを分譲するデベロッパーは対策を講じているのか?これについても、ひとつの例をご紹介します。

三井不動産レジデンシャルは、東日本大震災後に災害対策の再検証と見直しを実施(2011年12月15日公表)したのですが、そのなかで「超高層マンションに関しては長周期地震動を勘案した構造設計を行ないます」と宣言しています。

具体例としては、同年秋に販売した「パークタワー東雲」(江東区、43階建て・全585戸)で免震ピット内にオイルダンパーを数十台設置しました。(参考サイト参照

長周期地震動は超高層だけでなく免震でも起こりえる現象です。
そもそも免震は、左右に揺れる際に引き抜こうとする力がアイソレーター(絶縁体)に加わることから、高くスレンダーな形状の建物には対策が必要な場合もあるといわれています。

【超高層建築物等の固有周期 (参考)】
建築物の構造と規模:固有周期の目安
高さ60m(20階建て程度):1~2秒程度
高さ200m(50~60階建て程度):4~6秒程度
免震建築物:最大8秒程度


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