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家を買ったことがない営業マンから接客されるジレンマ

住み替えをしよう、と一大決心をして
マンションのモデルルームに行ったはいいが、
終始かみ合わない接客をされ、辟易とした…

こんな経験がある人、意外と多いのではないでしょうか。


「立地は、巨大ターミナル『新宿駅』〇km圏内、最寄り駅まで急行で〇駅〇分です」
(いや、この沿線に20年以上住んでるから、わかってるし)


「フローリングは突板です。実際に素足で触れてみてください」
(今の家は無垢だから)


「全館空調で24時間、365日快適です」
(見ればわかる。それよりも、大事な「メンテナンスコスト」と「耐久年数」が知りたい)


このような、受け手が「ちぐはぐに感じるコミュニケーション」は、
えてして人生経験豊富なシニア層にありがちではないでしょうか。

なぜ、このような【不動産業界あるある】が起こるのかというと、

要因のひとつに、
持家経験のない若手が営業現場の最前線にいるから、でしょう。


大手、中小を問わず不動産会社は

土地を仕入れる部署は、人脈がものをいう仕事なので、
若手は成果を上げにくく、ベテランが第一線にたくさんいます。

商品化する部署は、企画力に加え、交渉相手が多岐にわたり、許認可取得の雑務も多く、ベテランと若手が一緒になって業務をこなしていくことが多いです。

その点、販売営業部は、値付けや販促など裏方をベテランが、
初めて来訪されたお客様への接客は、若手が担うことが多いです。

持家は、買って初めてわかることがたくさんあります。

代表的なものに、メンテナンス修理交換)が「低コストで容易かどうか」。

例えば、海外メーカーの水栓はたしかにデザインは恰好が良いのですが、数年後パッキン交換で部品を取り寄せるのに船便で数ヵ月、小さなゴム製品が数千円なんてこともあります。

他にも、ランニングコストやご近所付き合いなど、賃貸では気にしなかった事柄も持ち家となると見方が随分と変わってくものです。

その経験があるのとないのとではやはり発言の中身が違ってきます。


さらに、時代の変化もジレンマを大きくする要因のひとつだと考えます。

住宅市場が、一次取得層(人生で初めて家を買う世帯)メインだったころとは異なり、
・子どもが巣立って、2回目の持家を探している
・子ども世帯のマイホームを(子に代わって)探している
・億ションを買い増し、賃貸に出そうと思っている
・都心のセカンドハウスを検討している
といったように、買い替え・買い増し・資産運用・節税対策・相続も絡んだ不動産購入など購入動機が複雑化していることが拍車をかけているのだと思います。

では、このジレンマを解消するにはどうしたらよいか?

残念ながら、すべての来場者に満足度100%の接客を実現するのは非常に難しいと思います。

持家オーナーの課題は、人それぞれ。

いくら知識習得に費やしても限度というものがあります。

売り手側のコストや時間は、無限ではありません。

必ず契約に至ると約束されていれば別でしょうが、
来場者に割ける経営資源は限られていると考えるのが自然でしょう。

お互いのコミュニケーションがスムーズになるには、顔合わせをする前に、事前に聞きたいことを伝えておくのが良いでしょう。

もし可能であれば、
・簡単な住宅遍歴
・満足点と不満点
・新居選びに重視したいこと

をまとめて送信しておけば、適任と思われる担当者を準備してくれるのではないでしょうか。

もし、それでもだめな場合は縁がなかったと思うしかないです。

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