【東大or医学部】高学力層はどの大学を受験すべきか

東大非医以上理三未満くらいの学力の人についての話になる。

東大or医学部論争というのがある。東大と医学部、どちらも選べる立場の受験生はどちらに進学すべきかという話である。
ネット上で頻繁に議論されるが、大抵以下のように決着がつく。

「なりたい職業が明確に決まっている場合はそれに沿って選べば良い。そうでない人は、top tierの外コンや外銀に行ける能力があるならまだしも、大体の東大卒は普通の日系大手企業とかでブルシットジョブをすることになる。だったら給料、地位、安定性、働き方の多様性、職業寿命の長さ、やりがいなど色々と恵まれてる医学部に行った方が良いよね。」

となると、大体の人は医学部に進学した方が良いことになる。一定数の東大合格者は早ければ在学中、遅ければ30代くらいでこの事実に気づいて後悔し、医学部を再受験する者もいる。
ただし医学部進学には一点問題がある。基本的に医学部に進学するということは、それ以外の職業の選択肢を消すということである。
医師免許を持った上で色々やることも出来るが、大抵の人は普通に臨床医をやる訳で、基本的に医学部進学=医者となるだろう。

やりたいことが決まってない中で、18歳とかそこらで医者以外の選択肢を消すのは中々難しい。確率的に考えたら医学部に進学すべきなのだが、まだ子供だしなるべく選択肢を持っておきたいと思ってしまうのである。

そこで、大学受験および大学生活における一つの「正解」を考えたので、ここに書いてみる。


①まず東京大学の理科一類に現役で進学する

18歳で決断出来ない人はとりあえず東大理一に進学しよう。浪人がダメだという訳ではないが、基本的に時間の無駄なので頑張って現役で受かるべきである。
現役で落ちた場合に浪人すべきかどうかは微妙。進振り制度は魅力的に見えるが、希望の進路に進めない可能性もあり諸刃の剣である。そもそも浪人しても受からない可能性もある。自分は浪人して理一に入ったが、今考えると別に現役で慶應でも良かったかもしれない。
先に医学部に行ってしまうと、医学部生活や医師の仕事において不満があった時に「東大のほうが良かったのでは?」とか余計なことを考えてしまう。しかし新卒就活は2年までしか遅れが許されず、医学部→東大再受験を高校卒業から2年以内に行うのは難しいだろう。医学部再受験は遅れても比較的問題にならないので、まずは東大に進学する。

文系が良ければ文系でも良いが、理系の方が選択肢が多い。まず進振りにおいて、理系→文系は点数さえ取れていれば進学できる(全部の学部学科について知っている訳ではないが、基本的には正しいと思う)のに対し、文系→理系は点数に加えて理系科目の単位を取得していなければ進学できないことが多い。特に文系から理工系に進学しようとすると大学数学や大学物理の単位を大量に取得しなければならないことも多く、不可能とは言わないがかなり難しい。

理二は、進振りにおいて農学部などの一部学部を除いて基本的に理一の下位互換となるため、理一に行けるなら理一が良い。まあ理一に出願して不合格、点数開示を見たら理二なら受かってたとなるのも悲しいので、自信がなければ理二でも良いかもしれない。

進振りでは、よほどこだわりがなければ実用的なスキルが身につくところ、出来れば理系が良い。理系学部→文系就職は可能だが、文系学部→理系就職は難しい。
自分はなんとなく興味で選んでしまい、割と非実用的な理系学科に進学してしまった。今となっては医学部再受験を予定しているので関係ないが笑

進振りで希望の進路に進めるように、勉強を怠ってはいけない。人間の行動というのは周りの人間に大きく影響を受けるので、真面目な人間とつるむべきだろう。だらけた人間と遊ぶのも悪くはないが、周りに真面目な友人が一切いないのは問題である。進振りで失敗するどころか、最悪の場合留年する。

②勉強以外のことにも打ち込む

勉強も頑張った上で勉強以外も頑張ろう、とか意識高い系みたいになってきたが、そんなことを言っている場合ではない。高校時点では人生経験の不足故に決断出来なかった訳で、大学でしっかり人生経験を積んで自分のことを理解すべきである。とりあえずバイトやインターンなどをやるべきだろう。色々な種類の仕事をやってみて、自分の得意不得意を把握する必要がある。

余談だが、筆者は飲食、中学受験塾の塾講師、大企業の下っ端のバイト、コンサル会社のインターンをやった。たまたまではあるが、かなりバランス良く経験出来たと思う。自分が無能過ぎるのか、ぶっちゃけ天職みたいなのは見つからなかったが、向いてる順に塾講師→大企業の下っ端→コンサル→飲食であった。大体以下のように適性が対応していると思う。
塾講師=専門職
大企業の下っ端=JTC
コンサル=外コンや外銀など実力主義の会社
飲食=接客業などマルチタスク系の仕事

塾講師は一番マシであった。多少無能でも高給が保障される。小学生の相手をするのは好きではないが、嫌いでもないので続けられる。周りの東大生の中には、小学生の相手が無理で辞めてしまった者もいる。職業選択においては、好きであることよりも嫌いではないことが大事かもしれない。また、「先生」という立場であることから多少の誤魔化しが効くというか、ある程度愛想が悪かったとしてもなんとかなる。営業職など、相手よりも下の立場だと愛想の悪さは致命的だろう。
どうでもいい話だが、大学受験指導の方が自分の能力を活かせるし、内容にも関心を持てると思うので、医学部再受験に成功した暁には大学受験塾の講師とか、高校生や浪人生の家庭教師とかのバイトをやりたい。

大企業の下っ端は、可もなく不可もなくといったところか。自分は仕事の覚えが悪いが、JTCであれば、入ってしまえばクビにはならないだろう。大活躍をして同期よりも出世することは叶わないだろうが、自分から辞めさえしなければまあなんとかやっていけるだろうし、それなりの待遇は保障されるだろう。

コンサルのインターンは、自分が無能であることを理解するために大事な経験であった。周りは東大生が7割程度、早慶が3割程度であったが、自分はかなり無能な部類であった。モチベーションを保ち、自分なりに色々調べて考えて、顧客と円滑なコミュニケーションを取り、必要なことがあれば上司に聞き、妥協せずに成果を求める。これが無理だった。外コンとか外銀とか行ったら本当にこんな感じなのだと思う。まあそもそも入れないだろうけど、入っても多分数年でクビになるし、出世なんかは絶望的だろう。ゴールドマンサックスなりマッキンゼーなりに行きたいと思ったことも無くはなかったが、就活前に向いてないことが判明して良かった。

飲食は最悪であった。マルチタスク向いてないし、低賃金だし、忙しいし、東大生の能力を活かせる部分がない。流石に直接言われたことはなかったが、裏では確実に「東大生なのに仕事できない奴」の烙印を押されていたと思う。高卒で平均的な能力の人の方がまだ向いてるだろう。飲食とか介護とか何かの販売スタッフとかは、本当に自分が就いてはいけない仕事だ。幸いにして高学歴がこのような仕事を選ぶことはないが。

自分語りが長くなったが、このように、様々なバイト、仕事経験を積むことで自分の適性を判断することが大切である。

また、部活やサークルに入ることも、どのような人と気が合うのか、どのようなタイプの職場が合っているのかを知ることにつながる。例えば、運動部でバリバリやれるタイプでないなら(運動神経はともかく体力や雰囲気的に)、体育会系の仕事は向いていない、と言った感じである。
進路選択とはあまり関係ないとは思うが、普通に友達と遊んだり恋愛したりするのも当然大事である。

③改めて進路を検討する

さて、②をこなした上で、改めて自分の進路を検討し直す。2年の後期とか3年の前期くらいまでに色々経験を積み、判断したい所だ。
学部の専門性を活かした職業に就くのも良い。専門でなくても、本当にやりたいと思えた仕事が見つかったら、そこに向けて就活するのも良い。好きかどうかだけでなく、②の経験を活かして向いてるかどうかまで考えて選択したい。

ここで、筆者のように東大卒サラリーマンとして向いてる仕事がなさそうだと思ったら独占業務のある資格試験に切り替えるべきである。医学部再受験、司法試験予備試験、公認会計士試験あたりが候補だろう。ただし弁護士や会計士はある程度サラリーマン適性が求められると思うので、医学部再受験が正解である可能性が高いだろう。2年生や3年生あたりで受かれば退学し、4年まで来たなら卒業すれば良い。

他の二つと比較した時の医学部再受験の難点は、色々と越えなければならないハードルが多い点である。まず医学部受験が難しいし(他の二つも難しいとは思うが)、卒業までに6年かかるし、金銭的な負担も大きい。
とは言え、現状東大理一は大抵の医学部医学科より難しいので、東大理一に受かる学力があれば、ある程度勉強すればどこかしらの国公立医学部は狙えるだろう。年齢に厳しくない医学部を選べば良い。医学部であれば普通に浪人を重ねて20代前半で入る人も沢山いるだろう。ライフステージ的にも、20代前半で入れば卒業時点でまだ20代である。30歳付近で初期研修が終わり、後期研修が終わっても30代前半なら、男性であればセーフだろう。女性の場合は少し難しくなるが、医学部再受験YouTuberのちまちまチャンネルのように初期研修中に出産する人もいる。金銭的な負担は、国公立医学部であれば、申し訳ないとは思いつつも東大生の親なら大抵の場合なんとかしてくれるだろう。ぶっちゃけ奨学金を借りたとしても、無事医師免許を取得出来れば余裕で返せる。家に経済的余裕があるなら私立医学部も選択肢に入る。

ここで「いやー、いまから入学したら3〜4年遅れちゃうし、追加で6年間学生かあ」とか考えて、軽率にこの選択肢を消してはいけないと思う。

確かに数年の遅れは多少気にはなるし、合計で10年くらい学生をやることになる。
しかし、その先の人生はもっともっと長い。
そもそも医学部は多浪する人も多い訳で。

東大からの医学部再受験は一定数存在するとは言え全体で見たら超少数派であり、人と違うことをするのは勇気のいることではあるが、そのことと自分の人生どちらが大事か冷静に考える必要がある。
別に医学部再受験は無能東大生の唯一の正解ではないし、もしかしたら普通に不正解なのかもしれない。結局キャリア選択の正解不正解なんて、かなり時間が経たないと分からない。

それでも、大きな決断をするには早いに越したことはない。人生いつでも不確実な状況で選択しなければいけないものだと思う。

再受験を推す人みたいになってしまったが、要は受験時点で決められないなら大学入学後にしっかり考えて、若いうちに決断しましょう、ということである。

以上が、自分の考えた一つの正解である。

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