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【事実発掘!FACT JAPAN 47 NO.32 】岐阜県

今回はヴィンテージを愛してやまない松原がFACT JAPAN47をお届けいたします。
この2年ほどでお家時間が増え自宅が充実した空間になった方が多いと思います。僕も大好きなヴィンテージ家具に囲まれて日々暮らしております。
高校生時代に自宅にあったイームズの椅子に感銘を受けて以来、ピエールジャンヌレ、ピエールシャポー、カイクリスチャンセンからウィルヘルムローリッツェンまで60年代のヴィンテージ家具に散財してまいりました。
近年、「ヴィンテージ(アンティーク)=サステナブル」という考え方がされており、新しいものを作らず古いものに良さを見出して大事に永く使うこと、それが一番サステナブルなライフスタイルではないかと言われています。
それを言い訳にしてまた自宅にヴィンテージ家具が増えていくわけです。。w

イサムノグチと AKARI

僕のコレクションの中で唯一の日系デザイナーの作品がイサムノグチの「AKARI」です。

住空間に持ち込むことのできる「光の彫刻」と言われるAKARIは彼の代表作であり今では高額で取引されるヴィンテージ作品です。実はこれらの作品は日本の岐阜県で作られており、今でも一部の作品は作り続けられているのです。

岐阜提灯

岐阜県は提灯の生産額ランキングで全国1位、シェア43%

岐阜県岐阜市で300年以上作りつづけられている提灯は岐阜提灯と呼ばれ、1995年には、その技術力の高さから国の伝統工芸品に指定されています。提灯に使われる美濃地方で作られる良質の美濃紙は薄くて丈夫で、美濃紙自体も国の伝統工芸品の指定を受けています。すべて巧みな手作業により自然素材で作られる岐阜提灯は、平らに畳めることで保存もしやすく長く愛用できるサステナブルなアイテムだと言えます。そんな岐阜県の伝統技術に目をつけたイサムノグチは1950年代から現地に足を運び、AKARIシリーズを作り続けてきたわけです。現在でも作り続けられている現行のAKARI作品は残念ながら常にSold out状態。手作業であることから、どんなに人気があって需要があっても作る量を増やすことをしないからです。作りすぎないという考え方もまた今の時代のサステナブルな思考にマッチしているんじゃないかと思います。クオリティー高く、生産量は低くという岐阜県のサステナブルな物作り精神が、未来のヴィンテージ作品をこつこつと生み出しているのだと思うとワクワクが止まりません。

堂上蜂屋柿

岐阜県の特産物といえば、その昔幕府にも献上されていたという「干し柿」が有名です。

今では県民の技術により高級品へと昇華された干し柿ですが、もとはといえば長期保存用であったりそのままでは食べられない渋柿を活用した食品なわけです。産物を無駄にしないという考え方や長く保存し活用していくというサステナブル思考がその頃から自然とあったのかもしれません。 干し柿=ヴィンテージ柿といったら言い過ぎかもですが。。w

白川郷 合掌造り集落

そしてなんといっても岐阜県最大のヴィンテージ作品といったら白川郷ではないでしょうか?

岐阜県北部・飛騨地域の中でも急峻な山々に囲まれた大野郡白川村の荻町地区。大小100棟余りの合掌造りが残る里山の集落で、 日本の原風景を思い起こす景色が広がります 。建築的価値の高い合掌造りの家屋と美しい農村景観を保持していることが評価され、 1995年に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録 されました。国内外から多くの観光客が訪れる合掌造り集落では今でも人々の生活が営まれており、伝統ある集落を守り続けています。「売らない、貸さない、壊さない」の3原則を定め、この先も「持続可能」な観光地であり続けるための取り組みを進めているといいます。観光客が多くなりすぎることを防ぐために世界遺産地区内の交通制限などの取り組みを始めたり、地元の小・中学生たちは「村民学」と称して茅葺きの技術などを学び、「結」の心を次世代へとつなげています。これらは志高い県民による大規模なサステナブル活動であり、まさにヴィンテージ的集落を確立してきたと言っても過言ではないんじゃないでしょうか。

岐阜県の工芸・名産・街づくりをみると「ヴィンテージ=サステナブル」の考え方が自然と見出せます。
それは白川郷で今でも伝わる「結」の心が根底にあるのかもしれませんね。現代でも、岐阜市の空きビルを活用したリノベーション施設の先駆者「やながせ倉庫」さんの活動などを見ると他県よりもその意識の高さを感じることができます。岐阜県のヴィンテージ的思考がこれからのサステナブルライフスタイルの大きなヒントになるんではないかと思いました。

白川郷ライトアップ &AKARI 作品群

キムタクさんが訪れるお祭りも素敵ですが、毎年行われている合掌造り集落のライトアップイベントに併せて、イサムノグチのAKARIが集落全体を彩り家屋の中にもヴィンテージ家具が配置される夢のような「ヴィンテージフェス in 岐阜」を開催するのはいかがでしょうか?
世界中からヴィンテージマニアが集まり、そこに未来の自分たちのライフスタイルを想像する。
そのライフスタイルの中にイサムノグチのAKARIがあったらそんな素敵なことはないですよね。そしてそのAKARIがヴィンテージ作品として後世に受け継がれていくことでサステナブルなライフスタイルが世界中に広がることを願っています。
AKARIの柔らかな光が、地球の未来を優しく照らしてくれるのではないでしょうか。

次回は、隠れた事実にAKARIを灯す鈴木がお届けいたます。お楽しみに! 

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