「素敵な一日に」

朝、いつもの時刻の地下鉄に乗ったときのこと。
今日の運転手は、駅に着くたびにこまめにアナウンスをする人でした。

2015年撮影

「ご乗車になりましたら、座席の前までお進みください」

運転手は20代後半か30代と思われ、非常に柔らかい感じの声の男性。今までも何度か耳にしたことがあります。ただ、そのときは「ドアを閉めます。ご注意ください」というようなもので、それ以外の具体的な指示を出すような案内は今日が初めてでした。
自分も周りの人も何食わぬ顔で乗り合わせていても、内心は

“今日は珍しいな”

と思っていたかもしれません。自分はそう思ってしまいました。
いわば、ドア付近ではなく中へ詰めろということです。運転手はブレーキの利き具合で込み具合がわかるというので、今日は込んでいることをわかっていたのでしょう。そう言われても、朝のラッシュ時といえども殺人的なラッシュではないので、途中駅から乗ってきた人が奥まで進むことがないのが、札幌の札幌らしいところ。これが東京なら、言われなくてもそうしないと乗りきれないんですけどね。

運転手の“今日は珍しい”案内は他にもありました。
中心部の駅に到着してドアが開き、乗客が地下鉄を降り始めたら、こんなアナウンスまでしてきました。

「ご乗車お疲れ様でした。今日が素敵な一日になりますことを心より願っております」

そこまで言うとは・・・! 東京に住んでいたときに、乗っていた東武東上線の車掌が「今日も気をつけて、行ってらっしゃい」と言っていたのを何度か耳にしたことがあるけれど、それをも超える「素敵な一日に」は初めて聞きました。
なので、自分は二度目の

“今日は珍しいな”

と思ってしまいました。
もちろん、そんなことを言われて悪い気はしません。地下鉄には一日2度乗っているのだから、お礼の意味での二日早いクリスマスプレゼントと思っておきます。
(いつか、どこかの放送局が取り上げそうな気がするなあ)

(お読みいただきありがとうございました。内容に共感していただけたら心付もお願いします)

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?