端の席

仕事を終えて帰るときの地下鉄車内でのこと。
帰りはさっぽろ駅で乗車するときに空席ができるので座れることが多いのですが、今日は珍しく座れなかったのでつり革につかまって立っていました。そして次の駅に到着すると、9人掛けの席の一番端に座っていた女性が立ち上がって降りていきました。自分は「チャンス!」と思って、その空いた席に座ろうとしました。

すると、その空いた席に座ろうとした人がもう一人・・・。
空いた席の隣に座っていた男性でした。

男性はお尻を少し浮かして隣へ移ろうとしたのです。そこへ自分が軽く会釈して座ろうとしたので、男性は浮かしたお尻を戻して、前の端から二番目のもともと座っていた席に座り直したのでした。そして自分が降りる駅までずっとこの状態が続き、自宅最寄り駅に着こうと減速して自分が席を立ったら、男性はその空いた端の席にすぐにスライドして座りました。
自分としては、席が空いていれば場所にこだわりはないので、男性が移ったあとの端から二番目の席に座っても問題なかったのですが、タッチの差のタイミングで自分が身体を入れるほうが早かったので、男性にとっての“特等席”を自分が座ってしまいました。だからといって罪悪感はないですが。

それにしても、不思議ですよね。
人間って端を好む傾向があることに。

心理学的には『パーソナル・スペース』というらしいですが、他人に侵されるスペースが端の席なら片側だけになるから、心理的な安心感が起こるらしいです。ついでにいうと、乗務員室との仕切り壁に張り付いている人もそれなりにいます。理由はたぶん同じでしょう。
自分も人間の端くれとして『パーソナル・スペース』は理解できるのですが、だからといって、この男性のように端の席が空くのを待って移動しようとは思わないですね。それはきっと、東京で乗車率180%程度の朝ラッシュ時の電車にほぼ毎日乗っていた経験とか、サッカーの試合で自由席の空いている席をとにかく探して“まず座る”という経験が、自分の『パーソナル・スペース』を小さくしているのかもしれません。そうやって考えると、自分って

いろんな人に挟まれて生きているんだと気づきました。上から下から、右から左から。
道理で、四面四角で手も足も出ないわけだ。


(お読みいただきありがとうございました。内容に共感していただけたら心付もお願いします)

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