シン・ウルトラマン鑑賞(2回目)を終えて

はじめに

このnoteは、私が鑑賞した作品、思案した事柄etc…平たく言ってしまえば大して言語化できないにも関わらず、かといって何処かに書かねば気が済まないという未熟な感情から作り上げた。
それなら日記でいいじゃないかと思われるが、無精なもので毎日書けられるほどマメでもない。思い立った時だけ筆を持つといった具合の体たらくなので、ここに書くことにする。
謂わば自己満足と承認欲求のエゴが生み出した記事であることは間違いない。それでも読んでくれることに感謝する。

私はウルトラオタクというほど造詣に深いわけではない。平成三部作(ティガ、ダイナ、ガイア)がタイムリーであり、記憶が正しければコスモスまではリアルタイムで視聴していた。それからはあまりウルトラ作品に触れることはなかったが、職場にて子供がウルトラマンジードを視聴していた際に、再びウルトラ作品の魅力に取り込まれてしまった。
なので今回の感想ではこのシーンにこのオマージュが、ということはあまり書けないがシン・ウルトラマンにて感じたメッセージやテーマを綴ろうと思う。
もちろん、本編のネタバレを大いに含むことを承知の上で書かせてもらおう。

シン・ウルトラマンはなぜ人間を「好き」になったのか

今作の根幹であり、決して外せないテーマの1つ。ウルトラマンは、なぜ人間を好きになってしまったのか。
結論から言ってしまえば、「はっきりしたことは分からない」のかもしれない。

強いて言うならば、神永シンジが子供を保護した際に死亡したことの償いが始まりかもしれない。ある意味無駄に思える行動――自己犠牲の心――に興味を持ち、彼と融合した。それからは人間の存在意義、哲学、倫理に関する書物を貪るように読み耽る。
第二の禍威獣(ガボラ)が現れ、禍特対に打つ手なしと理解すると、シンジ(ウルトラマン)は森を駆け変身し、ガボラを打倒。
続いてザラブ、メフィラスと人間に手を出す存在にも毅然と戦いに挑む。
そして勝算のない相手……ゼットンにさえ立ち向かった。
自分の死さえ顧みず、何かを救い、守ることは、それに対して「愛」という感情が無ければなし得ない行動であると考える。神永と同化し、人間について学ぶうちに、いつしか人間に愛を抱き、慈しみの心を向けていたのだ。もはや人間そのものである。

本来ならばゾーフィの用に不干渉、無関心なのが光の星での戒律であろう。ゾーフィは人間を滅ぼすことに痛みも躊躇いもない。しかしリピア(ウルトラマン)は人間を好きになってしまった以上、彼らを死なせるわけにはいかなくなった。いや、それはリピア自身が許せなかったのだ。だからリピアは自分の命を引き換えにしてでもゼットンに挑んだ。

「好き」という感情は、言語化できないプリミティブな感情から生まれ、そしてじわじわと、まるで花が咲くように育っていくものかもしれないのだ。

ヒーローとは何か

今回、一緒に鑑賞した友人が印象的な感想を述べてくれた。

「初めは『ウルトラマン』という印象を持たなかったが、物語が進むにつれ段々と『ウルトラマン』という印象を持てた。」
と。

その友人はウルトラマンに詳しいわけではない。だからこそ、その実直な感想にハッとさせられた。
確かに思い返せば、ネロンガと相対する時は「異形な何か」という印象が強かった。だが戦いを重ねるうちに、人間を守ろうとする意思がはっきりと見られていく。「人間を守る、助ける意思」と「愛する、好きになる気持ち」がまるで比例しているかのように。

ヒーローはなぜ弱いものを救おうとするのか。そこには賞賛や名誉だけではない。相手を愛し、慈しむ心があるからこそ、手を差し伸べ、救い、守ろうとするのではないだろうか。

弱きを助け強きを挫く。私の好きな言葉です。

というのはさておき、皆の中に、少なからずヒーローの心はある。正義、道徳、慈しみ、愛……いずれも相手を想わなければ行動できない。ウルトラマンは人間を好きになるうちに、自然と人間のヒーローになってしまったのだ。

「M八七」について

今作でもう一つ重要な要素に、テーマソングの「M八七」がある。
米津玄師もウルトラマンを愛しているのがよくわかるほど、造詣が深い。ウルトラマンに対する憧れ、自身の心にあるウルトラマンのヒーローとしての姿、それを曲と詞に乗せている。初めは格好いい曲であると感じていたが、しばらく聴いているうちにあることに気付いた。
米津玄師が、そして皆が持っているであろう、ウルトラマンに対する感情がこれでもかと表現されている。幼い頃にテレビでみたヒーローの姿。私も幼心ながら、ヒーローのように、かくありたいという気持ちを思い出した。
それに気付いた瞬間、涙が止まらなくなった。なぜ私がヒーローを愛しているのか。ただ強さに憧れていたわけではなく、優しさと慈しみに溢れ、心が折れそうな時は彼らの強さを思い出し、挫けないと決めたことを。

おわりに

この映画は、ウルトラマンを見たことがない、もしくは聞いたことがある程度の人でも十分に楽しめる作品であると思う。むしろ、ウルトラマンを知らないからこそ、ヒーローの在り方を感じ取れるのではないだろうか。

ウルトラマンを好きになれて、好きでいさせてくれてありがとう。


さあて、特撮オタクの友人からもらった宿題(ゴジラSP)を観ねば……

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