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クロスバイク、買ったはいいが…。後編

佐藤さんは定期的にやってくる。

前の支店で顔馴染みになった、取引先の女性である。
結婚される前から知っているので付き合いは長い。
とはいっても、会社で会うだけなので年に数回、顔を見るという程度だ。
私が移動となったため、もう会うこともないかと思いきや、移動先の支店も担当になったようで、またよく会うようになった。
会うと挨拶を交わし、お互いの近況を話す程度の付き合いだが、なんとなくホッとする相手だ。佐藤さんもおそらく同じように思っていたと思う。

佐藤さんがやってきた。

他愛のない会話の中で、ふとした拍子にクロスバイクの話になった。
どうやらご夫婦共に、クロスバイクを買ったらしい。
夫婦でサイクリングを始めるつもりのようだ。
私はこの支店で知り合った、兄井君という若者と一緒にサイクリングをして以来、仲間と走ることの楽しさを感じ始めていた。私は話に夢中になった。
仕事中にも関わらず(笑)。
聞けば私が以前いた支店にもクロスバイクに乗っている女の子がいるとのこと。
佐藤さんとも仲が良く、もちろん私もよく知っている堀江さんという女性だ。

意気投合し、今度一緒にサイクリングに行こう、という話になった。
佐藤さんには堀江さんに声をかけてもらい、私は兄井君を誘った。

どこに行くかは私に一任された。
いろいろと考えを巡らせていたが、以前サイクリング雑誌で見たルートを思い出した。かねてより行ってみたいと思っていたルートだ。
私と兄井君以外の3人は、佐藤さんのご主人含めみんな初心者だ。距離はおそらく30km程度が限界だろう。このルートなら距離もそうだが高低差もなく、初心者が走るにはちょうどいい。

お台場から水上バスに乗り、築地や皇居をめぐるルート。
集合場所は夢の島運動公園駐車場。

詳細なルートは改めて紹介するが、これがとても楽しかった。参加したメンバーにも好評で、次はどこに行こうかと、帰りの車の中で盛り上がった。そしてこの日以降、どんどんサイクリングにハマっていくことになる。

私の人生で、この時のサイクリングが本当の意味で「サイクリングが趣味となった日」となった。

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