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プレゼン資料の作り方を通して、あらためてメンティーからいろいろ学んだ話

2020年4月、デザイン部門の一つとしてSD部が発足し、そこに所属することになった。SD部はクライアントの要望に合わせてサービスデザイン支援全部を上流からお手伝いするプロフェッショナルが集まった部署となっている。

SD部の活動の詳しい話は以下のnoteをご一読いただけると嬉しい。

新卒社員のメンターというお仕事

さて、そんな新規部署であるSD部に2名新入社員が入ってきた。1人はコンサルタント、もう1人はプランナー。フェンリルの新卒としては初めての肩書の2人である。女性2人ということもあり私と、SD部のもうひとりの女性社員がメンターに任命された。

2020年度、デザインセンターには9人の新入社員が入社し無事に新卒研修が終了した。我がメンティーの2人もデザイン部門の新卒研修の集大成としてそれぞれ学んだことを部門全員に発表することとなったが、この発表スライド作りに大変苦労していた。このスライド作りを通して自分の中では当たり前になっている作業や考えが、実はきちんと言語化されていないものだったり順を追って何度も説明しないと伝わらないものであったりとかなりの反省があり、指示の出し方や説明も含めて相手に伝わるコミュニケーションについて、あらためていろいろ学びなおしたことがあった。

分かっている人からしたら当たり前のことばかりなのだが、上手く伝えることが下手くそな私の学びを記したこのnote記事が、スライド作りや発表などで悩んでいる方の解決の一助になったり、スライドづくりをフォローしているメンターの人たちの気づきになるのではないかと思い筆をとることにした。

時間が足りない問題

今回の発表時間は1時間30分。単純に9人で割ると9分ちょっとで、そこに質疑応答や画面切り替えなど考慮すると単純に考えて7分しゃべれたら多いぐらいの感覚だ。しかし7分のプレゼンを作れと言われてもよっぽど慣れている人間でなければ初稿はだいたい10分近いものになってしまう事が多いと思う。

これを考慮して、最初のアドバイスとして、遅延なども考えて5分プレゼン、2〜3分を質疑応答や機器の準備と考えてプレゼンの構成を考えて欲しいと伝えた。

プレゼン作りの考え方 その1
【発表時間7分の場合】
機器の準備1分、プレゼン 5分、質疑応答2分
※ポイント:オンラインでもオフラインでも準備や質疑応答は思ったより時間を取られるのでしっかり考慮すること

また、やっかいなのが、コンサルタントとプランナーである2人は、途中から大多数であるデザイナーたちの研修と全然違う研修を行っていることである。つまりデザイナーの7人は研修項目が10あるとしたら全員でまとめていい感じに説明を端折ったりできるのだが、メンティーの2人は分岐した5項目を同じ持ち時間で発表しないといけないことになる。

ということで以下のようなアドバイスを追加した。

「会の目的は新卒9人全員が取り組んだことや学んだことを発表できればいいのだから、9人全員がかならず持ち時間7分に分配する必要はないよ。人数が偏っても前半をデザイン部、後半をSD部として35分ぐらいは時間が欲しいとお願いしてみたら?」

「もしくは昨年よりも新卒の数が倍になっているので、発表時間を2回に分けて欲しいと要望してみるとか。目的に合っていて理にかなった要望なら提案を受け入れてもらえるかもしれないよ」

プレゼン作りの考え方 その2
【発表時間の分担】
目的に合わせてやるべきことを分担できるようにする
※ポイント:新人の頃は目的が何かを考えずに言われたことをそのままやろうとしてしまう。目的に合わせて柔軟に考え、時には提案やメンバー同士で話し合いの場を設けるのが大事

結果、日をまたいだり時間を延ばしたりするのはこの会の主旨に合致しない(決められた時間の中で調整するのも仕事)ので行わないが、発表の目的として新しく創設されたSD部の研修はデザイン部にとっても初めての研修ばかりだからみんなどんなことをしてるのか、どんな研修があったのかを知りたいはずという意見は通り、SD部は2人で発表25分、質疑5分をもぎ取ってきた。

スライド枚数多すぎ問題

時間配分が決まり、発表すべき内容も分かっている。次に必要なのは発表用資料として台本とスライドづくりだろう。

ここでのアドバイスとしては以下のようになった。

プレゼン作りの考え方 その3
【発表内容の骨子作成】
・発表項目の洗い出しと精査
・洗い出した項目を元にした骨子
※ポイント:スライドを作る前にかならずやるべき。伝えたい項目が明確になっていないと作り始めても頓挫する

まずは骨子を作るために、洗い出しとして研修全体の振り返りをMiroを使ってメンターとメンティー4人でやることにした。

新卒研修の振り返りをしたMiroのボード

※実際のMiroのボード

ここで上手く項目に分けられたので、プラスアルファとして発表のアイデアなども一緒に付け加えた。新卒研修でマインドマップやカスタマージャーニーマップを学んだのだから研修で感じた感情の起伏をマップなどで表現してみたらいいのではというものだ。ここでのアイデアは最終的なスライドにも上手に盛り込まれていて、限りあるプレゼン時間の中において言葉で伝えなくても見てわかる表現として十二分に機能していてとても有効だった。

振り返りで項目も出たことなので、次は骨子づくり。まずはやらせてみて困ったり失敗したら質問してね、という形式にした。これはプレゼンの作り方やまとめ方は人それぞれ手法があったりすることと、一度作ったものを捨てたり削ったりたりする経験をさせたいというのがあったためだ。とはいえとっかかりがないとどうやって作っていいかが見えにくいと思ったため参考として2つ手法を伝えた。

私からは骨子の項目や書きたい事柄1つをそのまま仮のタイトルにし、そこに自分の感情や感想、何かの説明なのであればフロー図や画像を足していくやり方。これは私がプレゼン資料を作りながら伝えたいことを絞っていく形式のほうが作りやすい性質のためだ。もう一つは骨子を元に台本をつくり、それに沿ってプレゼン資料を作る方法。言いたいことをきっちりとまとめきってから作るので実際のプレゼンのときにも時間を計算しやすいメリットがある。

もちろん他にもいろいろなアプローチがあるが、今回は作りやすそうと思ったほうでやってみてもらうことにした。

プレゼン作りの考え方 その4
【骨子からのスライドアウトプット/例】
手法1:骨子の項目をスライドタイトルとして感情や感想をのせていく
手法2:骨子を基に台本を作り、伝えたいことをプレゼンに書き出していくやりかた
※ポイント:スライド作りは千差万別。まずはやってみて、ダメだったら思い切って手法を変えるのを繰り返すのが大事

私達メンターの感覚では、振り返りのMiroからほとんど伝えたいことが書き出されているからすぐ作れると思っていたのだが、そうは問屋がおろさない。実際に作ってみてもらって驚いたのは2人のスライドが150ページを超えていること!25分ぐらいの持ち時間として150だと1ページ10秒しかない。10秒では伝えたいことも言えないしスライドを読んでもらう時間としても不十分だ。また、内容よりも見た目を整える方に気持ちがいってしまいがちなのか装飾から作り込んでいるページも多かった。

軌道修正のためのアドバイスとして、この150枚のプレゼン資料は一旦全部忘れよう(捨てる勇気大事!)そして、まずは骨子が重要なので、もう一度、伝えたいことや目的を明確にして、スライドの枚数の目安から逆算用というもの。

だいたい提案書などの文字での説明が多いページは1ページ=1分として考える。今回は骨子を軸に言いたいことをピンポイントで書いていく形式なので1分で2〜3ページ程度。多くても50ページ前後で伝えられるように内容を絞ろう、という話をした。

プレゼン作りの考え方 その5
【プレゼン資料の適正ページ数】
・文字が多い資料は1ページ=1分。
・1ページに1キーワードのような資料なら1分で3〜4ページ
※ポイント:持ち時間をきちんと把握して作らないと破綻する。また、肉付け段階になっていないのに装飾を行うとページが増えがちなので気をつける

もう一度箇条書きからはじめて骨子を作りなおし。そもそも骨子ができていなかったと言うよりも、”骨子”という意味が2人に伝わっていなかったので、骨子とはなんぞや…から説明し一緒にまとめることであっさりと骨子づくりはクリアした。意味がわからないままエイヤでやらせるのは本当に良くない(反省)。

出来上がった骨子から「各項目を何も考えずにそのままスライドのタイトルにしろ」と言ってスライドの土台を作らせた。1タイトルにつき増やしていいスライドは3枚までを厳守させることで、話したい軸がブレずにスライド枚数を抑えることができた。スライド数の制限が明確になったことで本当に伝えたい情報だけに絞らないと載せきれないということが感覚的に分かってもらえたようで、スライド枚数多すぎ問題は解決した。ここで「2人がしゃべる軸の方向性は同じにしたほうがいいよ」という話をしたが、いかんせん慎重派なタイプと楽観的なタイプという性格が真逆の2人。骨子の肉付けで語りたいこと結果を述べたい派と結果に対して感情を全面に押したい派に分かれてしまった。

いろいろ協議したが今回の場合は折衷案で乗り切ることに!
研修内容はもちろん必要だが、どちらかというと新卒研修の中でどのように悩んだかやどういうコミュニケーションで研修を乗り切ったかなど研修で感じた感情のほうが皆が知りたいことだろうという仮説を基に、「お互いの性格を表す対比を入れたら?」「研修内で感じたことや思ったことを吹き出しにしてみたらどう?」「研修内容の紹介は思い切ってバッサリ端折ろう!」などなどのアドバイスをおこなった。

最終的に、取り組みやその結果をスライドの中で文字で見せつつ感情をアイコンや吹き出しで伝える方法に落ち着き、2人がお互い納得して作業できるようになった。

プレゼン作りの考え方 その6
【プレゼン枚数制限をする】
・骨子の各項目を(とりあえず)スライドタイトルにする
・1タイトルにつき増やせるページを最大3ページ厳守させる
・クライアントやユーザーが聞きたいであろう仮説を立てて、仮説に沿わないものは思い切って端折る
※ポイント:今回は最大3ページとしたが内容や時間で調整する。また、1タイトル=1ページで収まった場合はどうしても増やしたい別のページを最大4〜5枚に増やすなどは良いことにする

150枚以上あったスライドはこれで無事に50ページ程度に収まった。あとはアイデアであるカスタマージャーニーマップの見せ方や感情の伝え方をどうするか。2人共、伝えたいことはしっかりしていたので簡単な台本の流れのを話してもらったら問題なさそうなこともあり、台本の細かい中身などは本人たちに任せ、メンターとして毎日見守るだけにした。

とはいえいきなりぶっつけ本番は怖いだろうから、部の定例ミーティングで時間を割いてもらい25分でプレ発表をしてもらうことにした。ここでスライドの操作性や切り替え、実際に考えた台本通りで時間内で収まるかどうかなどなどリハーサルを行うことで、反応や質問などから相手に伝わっているかや問題がありそうなことを洗い出すことができるためとても有効だ。

プレゼン作りの考え方 その7
【プレ発表で問題点をつぶす】
・本番の1週間前ぐらいにプレ発表をしておくと安心
・台本や段取りが時間内に収まるか確認する
・スライドの切り替えや操作の確認も忘れないようにする
※ポイント:質問や指摘からスライドを修正することも多いため、早めにプレ発表をしておくとよい。可能であれば、修正後も誰かに見てもらうか1通り通しで時間をはかるなどして一度失敗や簡単なミスをしておくと本番焦らなくなる

こんな感じでずっと二人三脚(四人五脚?)でプレゼンの経緯を見守ってきたため、このプレ発表のときは聞いているだけなのに自分のプレゼン発表の100倍ぐらい緊張した。無事に20分くらいと時間内で収まった上、大きな問題も発生せずもうちょっと精度を高めましょうねという程度で済んだ時には、なぜか感動で涙ぐみそうになったものだ。

発表が終わって

7/22に当日を迎え、完全オンラインだったが60人ぐらいが同時に視聴し、いくつか笑いもとっていたりと新卒全員堂々たるプレゼンだった。メンティーの2人は一番最後の発表だったのだが、最後のスライドに私達メンターへの謝辞が大きく書いてあって本当にうれしかった。

プレゼンスライドの最後のページ

※当日のスライド抜粋(個人名を消したり一部修正しています)

一つの区切りとしての新卒研修は終わったが、それぞれが課題や次の目標を見つけて、自分の言葉として語ってくれていたことも嬉しさを後押しししていたと思う。

本業として毎日のほとんどを資料作りに費やしていることもあり、自分の中ではスライドづくりや骨子作りの感覚など当たり前になっていることをばかりだが、相手に伝えたり言語化したりすることは意外と難しくて、あらためて伝え方や表現やアイデアの考え方を見直したりと私としても本当に学ぶことが多かった。

プレゼン発表のフォローを記したnoteが、メンティー2人の成長に寄与していると同時に、これを読んでくださっている誰かの助けになれば幸いだ。

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五反田 目黒川沿いのフェンリルで働くデザイナー。 HCD-Net認定人間中心設計専門家およびメディア・ユニバーサルデザイン2級ディレクター。勝手にユニバーサルデザインエバンジェリストを名乗っている。最近の会社での称号はコーヒー沼の人、ラム肉の人、変なTシャツ着てる人。

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