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0253:(GaWatch映像編002)『ボヘミアン・ラプソディ』

『ボヘミアン・ラプソディ』2018年/イギリス・アメリカ合作
監督 ブライアン・シンガー
主演 ラミ・マレック

■待ってました地上波放映

 令和3年6月4日21時、待ちに待った『ボヘミアン・ラプソディ』の放映が始まった。映画館で観た私と16歳の息子、そして未見の妻の三人で視聴しながら、この記事を書いている。

 冒頭、金曜ロードショーのテーマが流れる。最近金ロー観てないが、慣れ親しんだメロディだけどなんだか編曲が……エレキギター? もしや、と思って検索すると、なんとブライアン・メイとロジャー・テイラーによる特別版!? 盛り上げてくるなあ。

■映画以前のこと

 フレディ・マーキュリーが亡くなった時、私は大学生だった。音楽の趣味は偏っていたので、QUEENの音楽を積極的に聴いていたわけではない。それでも、彼らの非常に分かりやすい楽曲はテレビやラジオで聴き慣れていた。世界的シンガーのフレディが同性愛とHIV合併症感染を告白し、間もなく合併症で亡くなったとの報は、QUEENファンではなかった私にとっても小さな衝撃として記憶されている。

 その後の数十年の間に、なんとなく、折りに触れて、QUEENのミュージッククリップを購入してはたまに視聴していた。楽曲の良さには惹かれたが、あくまで「たまに聴く」範囲を出なかった。

■映画館でのこと

 私は映画館にはそれほど脚を運ばない。大抵の映画はテレビ放映を待つ。今時はネット配信もある。

 本作を映画館で観る気になったのは、日本公開直後からの絶賛をSNSでいろいろ目にしたからだ。はー、それなら子供らを連れて観に行くか、という軽い気持ちだった。連れて行ったのは下二人、19歳と13歳。

 映画は圧巻だった。フレディ・マーキュリーという孤独な表現者の魂の遍歴。身勝手で、傷つきやすく激しやすい、天才。天才だからこそ素晴らしい楽曲を世に送り出し、支持される。身勝手だからこそ、周囲の人々とトラブルを起こし、簡単に絶縁を突きつけ、後悔して、復縁する。映画の中で、最初のいさかいの相手は父親だった。「善き思い、善き言葉、善き行いを心掛けろ」と道徳を説く父に、若きフレディは「それを守っていいことがあったか?」とのみ答える。互いに理解し合えない絶望的な父子関係を表す導入部だった。その後、二時間あまりフレディの人生の物語が展開し、死を覚悟してライブエイドに臨むクライマックス直前、この冒頭のシーンを踏まえた父子の劇的な和解に至り、やられたと思った。冒頭の何気ない会話が物語全体を収束へ向かわせる、こんなにも重要な鍵だったとは。

 このような物語を、QUEENの数々の名曲で彩り、そしてクライマックスのライブパフォーマンスに到達する。歌詞の内容が彼の人生に重なる。エンディングロールが終わり館内の照明が点く。素晴らしい映画体験を得た満足感。19歳男子は半分くらい寝ていたようだ。しかし13歳男子の魂には響くものがあったようだ。


■今夜あらためて吹き替え版を観て

 吹き替えのいいところは、字幕に意識を奪われずに済むところだ(英語に堪能な人には関係無いだろうけれど)。映画館とは違い家の中で他の事もちまちましながら、それでも内容はしっかり堪能した。

 視聴しながらネットでこの映画の感想を探すと、かなり細かな隠し要素をいろいろ指摘していたり、読み応えのある映画評があったり、当時のファンで映画には強い批判を表明している人がいたり。この映画が多くの人に「伝わった」ことが見て取れる。映画館に連れて行った当時の13歳男子が、16歳になった今、やはり最後まで夢中で観ていた。映画としての技巧云々ではなく、フレディ・マーキュリーという人の魅力、そしてQUEENの楽曲の魅力が、この映画を強く強く牽引している。

 6日(日)にはBS日テレで「ライブエイド完全版(本編ノーカット)」を放送するらしい。Huluでは完全版かつ完全ノーカットが観れるようだ。うーん、Huluは契約してないからなあ、残念。

■本日摂取したオタク成分


『WORKING'!!』第10話、良い(前回と同じ感想)。『魔入りました!入間くん』第2期第2話、メインと違うハードディスクで録画してるので溜まってしまった。なんか安心して観れるコメディだよなあ。凄く良いと他人に勧めたくなるわけではない、ツマラナイと観るのを止めるわけでもない、ただ楽しく観ている。『ゾンビランドサガ リベンジ』第話、前回今回は佐賀近代史。はっちゃけた本作の中で真面目な内容で見応えあった。『ましろのおと』第9話、ついに主人公たちの演奏、そしてコンテストは幕を下ろす。盛り上がるなあ。『ボヘミアン・ラプソディ』上述のとおり。

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