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読書感想文 #4

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鳥羽徹「天才王子の赤字国家再生術〜そうだ、売国しよう〜」

漫画化もされている人気のライトノベルです。ものすごく面白く、読み返したくなり、最初から読み返してみました。

この話は、中世ヨーロッパのような世界が舞台で、辺境の小国ナトラ王国のウェイン王子が王である父が病気に倒れたため若くして政務を執ることとなり、悪戦苦闘しながら、なんとかピンチを切り抜けていく話です。タイトルが刺激的ですがピンチのたびに「国売ってトンズラして〜」と叫びながらも王家の血を引く以上そんなわけにはいかず巻き込まれていくそんな感じです。

作者の凄いところは、読んでいて「全く先が見えない」こと。こんなストーリーかなと読んでいると、軽く想像の上を行く出来事が発生します。「こりゃダメだ、もう国が滅びる」っていうピンチが容赦なく起こります。ウェイン王子のすごいところはここでくじけないこと。ここからあらゆる外交手段、謀略、軍事的手段を用いてピンチを切り抜けます。しかもやられっぱなしではなく、「ピンチをチャンス」に変える奇策をもって相手に一矢報いるのです。痛快です。

この構図、作者は意図した訳ではないでしょうが、現在新型コロナウイルス感染症で苦しむ世界の状況に似ていますね。流行前、このような世界的なひどい流行になると思った人は少数でしょうし、こんなにも経済活動が長期にわたって抑制されるとは想像出来なかった。まさに想像外のピンチです。ではこれに対してどう立ち向かうのか。ニュースを見ると、例えば厨房しか持たないデリバリー専門の「ゴーストレストラン」を運営する企業が大きく業績を伸ばしているなど、この事態を「活かして」成長している企業も出てきています。今こそ、ウェイン王子のような打たれ強さと、奇策を打ちだす柔軟さが求められているのではないでしょうか。

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