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読書感想文 #3

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井上岳久「カレーの世界史」

私、「カレーマイスター」の資格を所持してます。野菜ソムリエ協会さんの資格です。仕事で飲食店さんと関わる機会も多く「カレー」業界について知識を仕入れたいと思ったのですが、どうも資格が二つあるらしい。ではどちらか取ろうと思ったのですが、一つが「カレーマイスター」。こちらは講師にテレビなどでお馴染みのスパイシー丸山さんがおられ、スパイシー丸山さんの講義を受けたいというのが決めてでした。もうひとつが「カレー大学」。その学長さんが本書の作者、井上さんです。

そもそも、カレーとは日本においてもっとも人気がある料理の一角です。ラーメンとツートップかなと思います。しかし、ラーメンはある程度市場規模が推計できるのに対し、カレーはなかなか市場規模すらつかみにくいらしいです。というのは、家庭においてはレトルト、ルーといったお馴染みの方法による調理に加えて、カレー粉を使用した調理、最近はスパイスを使ったいわゆる「スパイスカレー」も人気で、スパイスから作られたものはなかなか集計できません。また、飲食店についてもカレー専門店は集計できるでしょうが、ファミレスはもちろん、蕎麦店やうどん店、牛丼チェーンでも供されるのがカレーであり、なかなか規模の集計がしにくいのが現状です。とりあえずものすごく市場が大きく、また裾野が広い「料理」なんかと思います。

その割にあまり研究が尽くされていないのが「カレー」だと思います。裾野が広いからわりと何をやってもそれなりになんとかなって来たからでしょうか?それでも最近ではCoCo壱の躍進や、「スパイスカレー」ブームにより店舗が増えて競争も激化しています。「カレー」産業で利益を上げるには研究が必要になってきており、その第一人者が井上岳久さんなのです。

そもそも「カレー」とは何なのか?宗教の影響は?どうして世界中に広まったのか?日本でこれほど受け入れられた理由は何か?

うーん、面白い!これはカレーに関わる方にはぜひ読んでいただきたい。たしか井上さんは中小企業診断士でもあられたかと思いますが、ビジネスの視点が入っているのが良いですね。最近の「スパイスカレー」ブームを、北インドのバターやナッツたっぷり濃厚カレーから、南インドのスパイスたっぷりさっぱりカレーへの流行の遷移と捉えていましたが、井上さんならではの視点で分析・定義されていてとても参考になりました。※本書の肝の部分なので内容は読んでお確かめを

カレーがお好きな方、とりわけビジネスとしてカレーに関わる方には丁寧によくまとまっており参考になる本かと思います。おすすめです。


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