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ゲームショウで見たUIデザインの可能性

これは フェンリル デザインとテクノロジー Advent Calendar 2023 7日目の記事です。

皆さんこんにちは。フェンリルで働いている3年目デザイナーの阪口です。
最近ハマっているゲームは名探偵ピカチュウ。おっさん声のピカチュウに笑いながら、のんびりとプレイしています。

今年のアドベントカレンダーですが、10月初旬に行った「TOKYO GAME SHOW 2023」のレポートと、そこで感じたUIデザインの可能性について書こうと思います。

「ゲームが動く、世界が変わる。」を体現した会場

コロナ禍以降初めてのオフライン開催となった「TOKYO GAME SHOW 2023」。
「ゲームが動く、世界が変わる。」というキャッチコピーの通り、ゲーム業界のさまざまな動きや変化が伝わるイベントとなっていました。

TOKYO GAME SHOW 2023のメインビジュアル。
躍動感のあるイラストからキャッチコピーにもある「変化」を感じる。

特に今までのゲームショウと大きく異なるのが、ゲーム業界以外から多数の参戦があったこと。ガジェットやデスクなどの周辺機器で出展していた会社や、モーションキャプチャ、ARといった技術を取り扱う会社など、ゲームソフト以外でもたくさんの情報が得られるイベントとなっていました。まさしくゲームを中心にさまざまな業界が集まり、世界を変えていると体感できる内容です。

細部から伝わる「没入感」へのこだわり

ゲームショウといえば、やはり最新作の先行プレイが目玉の1つ。もちろん私も長蛇の列に並び、いくつか試遊してきました。
入場してすぐに並んだのが、「FINAL FANTASY VII REBIRTH」の試遊列。「FINAL FANTASY VII REMAKE」プロジェクトの2作目となる今作の一番の目玉は、新たな要素となる自由なフィールド探索でした。
試遊ではストーリーモードと探索モードのどちらかを選ぶことができましたが、「やはり目玉のフィールド探索を存分に楽しみたい! 」と思い探索モードに。エリアの制限もあるはずなのに、細かいギミックもあってつい足を止めてしまう......。試遊でこれなので、完全版はやり込み要素盛りだくさんだろうなとワクワクしました。

そんなファイナルファンタジー(以下、FF)最新作ですが、気になったのがメニュー画面の背景の変化。今作ではメニューを開くと左右にUIがあり、真ん中にパーティーメンバーが立っています。その背景が実際に旅をしている状態とリンクしており、現在地や天気が変わるごとにメニュー画面の背景も変化していたのです。
「旅を感じる」「FFの世界を感じる」ことに重きを置いているのはゲーム内エリアの自然な繋がりにも現れていましたが、ふと開いたメニュー画面でも「今ここを旅しているんだ」という没入感が感じられて感動しました。

ゲームを遊ぶ中で、世界観を感じられる1つがメニュー画面です。アクションゲームならアクションコマンドを選ぶような挙動になっていたり、RPGなら旅の地図のようなデザインだったり。逆にいきなり無機質なUIを見せられると、それまであった没入感が途絶えてしまいガッカリすることも。
だからこそREBIRTHでは細部まで没入感へのこだわりが感じられて、デザイナーとしても、1人のユーザーとしても嬉しくなりました。

裏方だけじゃない、主役級にもなれるUI

続いて向かったのは「ペルソナ」シリーズのエリア。ここでは新作の「ペルソナ5 タクティカ」を体験しました。
今までのペルソナ作品はリアルタイムでキャラクターを動かすバトルスタイルでしたが、タクティカはターン制のコマンドバトルとなっています。その分さまざまなスキルのコンボや相性が用意されているため、じっくり考えて戦略を練りたいユーザーがのめり込めるゲーム性でした。

話は少し変わりますが、ペルソナといえばビビッドカラーを基調とした、ド派手で華やか、かつスタイリッシュなデザインが印象的なゲームです。このデザインはPVやメインビジュアルに使われているだけではなく、ゲーム画面のUIにも多く取り入れられています。

通常UIは縁の下の力持ちとなることが多いですよね。メインコンテンツを最大限引き立たせるために、ユーザーが操作するボタンやリストデザインは明確で迷わせないことが重要とされています。最近の流行がフラットデザインということもあり、ゲームのUIもコンテンツをより魅力的に見せるためにシンプルなものが多くなってきました。

しかしペルソナシリーズのUIは、まるで「自分たちが主人公だ!!」と言わんばかりに動的で見栄えするものとなっています。タクティカの元となる作品「ペルソナ5」のPVでは、その特徴的なUIがしっかりと映されていました。PVでプレイ画面やアニメーションと並んでUIが押し出されることは滅多になく、それだけ印象的な要素ということが分かります。

今回のタクティカでもそのUIは引き継がれており、色もメインカラーの赤以外は白黒で構成されていました。キーカラーを目立たせるためにサブカラーはあえて採用せず、代わりにフォントやボタンの大きさ、形、白線での視線誘導でうまく画面内の優先度を示しています。この工夫のおかげで、UI本来の役目である明確さや操作性もしっかりと保たれていました。

今までコンテンツを立てるためのシンプルなUIを作る機会が多かった私にとって、コンテンツと同じくらい印象に残るUIはとても新鮮で学びの多いものでした。

影のサポーターにも、メイン主人公にもなれるUIの可能性

今までゲームはユーザーとして楽しむ側でしたが、今回は作る側の意図を意識しながら参加しました。このゲームショウを経て、今の仕事に通じる部分が多くあることを実感できました。さらに自分の中にあった「UIはコンテンツの引き立て役」という固定概念が、一気に払われた気がします。UIもフル活用して世界観を全力で表現するゲームにたくさん出会えて、とても刺激になりました。

デザイナーの腕次第で、サポーターにも主人公にもなれるUIデザイン。その時々で役割を変えられる唯一無二の強みを、最大限活かせるデザイナーになりたいです。

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