日記 ムルソーに共感してもいい

・人が殺人を犯したくなるほど太陽が眩しい。暑すぎる。
殺人の理由にしたくなるのはきっとムルソーだけじゃないはずだ。
 
 
・無職だからといってだらだらとしてだらしない体形になる、もしくはすごく痩せ細ってしまうというのは、私の目指す無職ではないなと思って、できるだけ家で筋トレをしたりしているけど、今日はいつものリストの途中で中止してしまった。
暑すぎる。部屋の中でエアコンをかけているのに30度を切らない。
あと5分ほどで全部終わる予定だったのだけど、頭がくらくらして、「ワッ死ぬ…」と思い止めた。
 
・その後速攻でシャワーを浴びたのだが、その途中怖い事があった。
私はシャワーを浴びながら、一人暮らしをしていた頃によく遊んでいた友人たちを思い出していた。
その頃に目を通して入ってきた会話や表情、風景が映像として脳の中で再上映されていた。
名前も一人一人思い出す。懐かしいな。
そんなことをしていたら、ふと、実家に戻ってきてからの友人を思い出そうとしてみる。
確か、このYouTube動画について話し合ったな…という事は思い出したのだが、それが誰だったのか、全く思い出せない。
それを思い出そうとして気が付いたが、こっちに引っ越してきてからできた友人たち、会った友人たちの顔や名前が一切思い出せないのだ。
「えっ……?えっ、ええ??」とつぶやくが、本当に思い出せない。
つい最近あったのに、本当に思い出せない。
最近見た風景もその中で笑う友人も、全て私が一人暮らししていた頃の映像に書き換えられている。
次から次へと、フラッシュバックしてくる。
 
焦ってLINEを開いた。
そうだ、そうだ、と呟きながら、やっとの事で発作のようなフラッシュバックから離れてここ最近の映像に戻っていく。
今でも最近の友人のことを忘れてしまっているような感覚がある。
私の記憶の中から何かがすり抜けてしまっている気がする。
 
本当に怖い。自分の記憶の不安定さが怖い。
風景に関しては、私は度を越した方向音痴で道を覚えるのが苦手なので、風景の記憶もスナップショットのようなもののつぎはぎでできている。
私はある日突然全てを忘れてしまうのではないか。
ここが一人暮らしをしていた場所なのか、それとも生まれ育った場所なのか、それすらも分からなくなってしまうのではないだろうか。
さっき思い出せなかった友人は、ついこの前の土曜日に会った。
それなのに、もう一年以上会っていない人の記憶を脳が優先的に検索する。酷いバグだ。
 
軽い認知症の体験をした気分だ。
この感覚、この恐怖が認知症のそれと似ているなら、認知症は本当に孤独で恐ろしい病だ。いや、きっと私のこの体験よりももっとずっとだろう。
どうしても、どうしてもそれが人生の最後ということが、私は悲劇だと思ってしまう。

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