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12. 背中にある古傷・・ 

こんにちは。
おやじの左手です。
趣味のひとつとして、1960年代の国産手巻き実用腕時計を集めてはこつこつと修理をしています。
記事の趣旨は、「自己紹介」をお読みいただければと思います。


毎年の定期健診(人間ドック)の日が、近づいてきました。
お酒控えて、その日に備えています。
それじゃあ意味ないんですけどねえ(笑)、たぶん、皆さんも同じかと(笑)。


前回記事、「11. 背中にある誇り」 に続き、裏蓋記事、第二弾です。


まずは、写真を見ていただきたく。
光の加減で見え難いのですが・・

一部マスクしています

左上は、中央上にカタカナ手彫りで、名前が彫ってあります。
う~ん・・

右下のは、中央上下に「X」と、意味不明の文字が、彫られています。
いったいなんの意味だろう。
壊れてるって意味? だとしても、彫る意味あるかなあ。


一部マスクしています

手彫りでぐるりと殴り削りで漢字のフルネームがあります。
トップ写真にしようとも思ったのですが、あまりにもリアル・・
やめました。
(トップ写真は綺麗な裏蓋です)

カタカナもそうだけど、
彫るなら彫るで、もっと、綺麗にできなかったのだろうか。

って、いうか!

こんなこと、やる?!


いやあ、1960年代のおやじさんたちって、すんごいですねえ。
チプカシだって、100均の時計だって、やらないっしょ、こんなこと。

このはちゃめちゃ感(笑)、心の底から驚かせてくれます。


確かに、自分の子供の頃の時代は、名前を付けたくとも、
テプラのようなシールも無く、ダイモ(知ってます?)が出たくらいの頃。
傘の柄やラジオなどには、カッターでひっかき削り、上に鉛筆でこ擦り、
名前やイニシャルを入れてました。

1960年代の名入れは、刻印以外は手彫りしかなかったかもしれません。

でも、ああた、腕時計に・・

こんなこと、やる?!


どうしても、「これ、俺の!」って、したかったんでしょうねえ。
(でも、やる?!)
絶対に、誰にも、渡したくなかったんでしょうねえ。
(でも、やる?!)
この腕時計が、本当に、大好きだったんでしょうねえ。
(でも、やる?!)

まあ、もとは持ち主さんのだから、なにしてもいいんですけど。


うーん、持ち主のおやじさんを想像するには、あまりにも器が大き過ぎる(笑)。
人種が、違うんじゃなかろうか。


毎日、銭湯に行ってたのかなあ。

当時の脱衣は、たぶん、ロッカーでなく、大きいザルに置いての入浴。
おおらかな時代とはいえ、やはり、腕時計は心配。

脱衣場で、事件発生!

「おまえ、取ったろう!」 → 『いや、俺の』

「俺のがねえんだよ、それ違うか!」 → 『俺んだよ』

「時計の裏見せてみろ、裏!」 → 『俺んだって、言ってるだろ』

裏蓋に刻まれた名前を見て、『ビックリ!』

『ま、まさか、 裏蓋に名前の入れ墨が・・』

「俺んじゃねーか、お前も彫ったろか!」 → 『ごめんなさい。。』

これにて、一件落着。
って、とこでしょうか(笑)。


ちなみに、このびっくりの実績ですが、出会ったのは写真の時計だけじゃありません。
過去にも、出会っています。
流行ったのかな?

自分、今までの記事で、当時の腕時計は貴重品と言ってきましたが、
それは思い込みだったと、見事に覆されました。

けどさあ・・

こんなこと、やる?!


このような強者たち、
GSやKS、はたまた舶来時計までも、名を刻むのだろうか?

「11. 背中にある誇り」 で、刻印のあるKSの話をしましたが、
手彫りのKSは、見たことがありません。

見たら、どんな感情が沸き起こるだろう? 
想像できん・・
「11. 背中にある誇り」 のような、拍手はしないと思う。


ディスるつもりはありません、
生活に密着した実用腕時計ならではの背中の古傷でしょうね(笑)。
実用腕時計って、ホント、面白いです(笑)。

FLH