コーチングで人生変わった話②

コーチングで人生変わった話①の続きです。

その人とは、都内の会議室で会うことになった。
転職や仕事の相談に乗ってくれるということだったから、何話そう?とか、なんかアドバイスをくれるのかなぁ?とか、ぼんやりと考えながら向かった。

会議室のドアを空けると、40歳手前の男性が座っていた。ゆったりとした空気感をまとった落ち着いた人だった。どんな人何だろう?とやや不安に思っていたので一安心。

席につき、一通り自己紹介をしあった後に、
「今どんな仕事してるの?」とか「今の仕事のこと、どう思ってるの?」とか、現状のことをいくつか聞いてくれた。

この時に、不思議な感覚になった。
それは、その人が私の話を「うん、う〜ん、そうかぁ。。。その時の気持ち、もう少し教えて?」とか「それは大変だったね。その後はどんなことが起きたの?」とか、とにかく私の話をゆったり、じっくり聞いてくれたことで”こんな風に話を聴いてくれる大人って、世の中にいるんだ”と、思った。
社会人になって4年間、こんな風に私の話をじっくり、遮らずに聴いてくれた人はいなかったから、単純に嬉しかった。

そんな風に、ゆったり、じっくりと話を聴いてくれて10分、15分経ったくらいだろうか。
急に、その人は真剣な表情になり、真っ直ぐに私の目を見た。

これまでの声のトーンとは明らかに違う、身体に響くような低い声で
「楓ちゃん、何でもできるとしたら、本当はどんなことしたの?」と言った。

”え….?何でもできるとしたら…?どういうこと?
やるべきこと、じゃなくて、やりたいこと?そんなこと考えたことない…”


困惑しながらも、それを考え、
「そうですね、今の会社で新規事業とか出来たら良いですかね。」と答えた。


その人は、再び私のことを真剣に見つめ
「楓ちゃん。本当にやりたいことを話して欲しい。もう一回考えてみて。何でも出来るとしたら、どんなことしたい?」


”…..え……。今、私やりたいこと言ったよね?もう一回考えるってどう言うこと…?”と、
また戸惑いながら、考えてみる。うーん。やっぱりさっきので良い気がする。
「さっきと同じなんですが、新規事業やれたら良いなって思います。」


「…そうなんだね。。。でも、俺違うと思うんだ。本当にやりたいことを話す人は、そんな表情、そんな声で話さないんだ。もう一回、ゆっくりで良いから、もう一回考えてみて。」

・・・

そこから長い沈黙。5分くらい黙っていたと思う。

そんなことを問われたこともないから、戸惑いもありながら
真剣に自分に問いかける。「本当に」やりたいことって何だろう。

その人は、何も言わずに、ゆったりと、そこに居る。

・・・

ゆったりとした空気感の中、考えをめぐらせていると、不思議なことにあるイメージが出てきた。


中学校の教室に私がいて、そこに生徒達がどんどん悩み相談にくる。

寂しそうな、悲しそうな表情で教室に入ってくる女の子。
教室に入り私の横に座って「楓先生、学校楽しくない…」と口を開く。

そこで私は、その子から学校、家族の悩みについて、たくさん話を聴く。

話を聞き相談に乗ると、その女の子は「楓先生、ありがとう!この後、教室に帰ったら○○ちゃんに自分から話しかけてみる!!」と、ぱぁっと明るい表情になって教室を出ていく。

そんなイメージが出てきて、不思議なことに涙が出てくる。


そのイメージをそままその人に話してみると、真っ直ぐな目を見開いて
「楓ちゃん、いいねぇ。。。本当にやりたいことそれだね。本当にやりたいことを話してる顔してる。」と言った。

この時、なんでこのイメージが出てきたか分からなかったけど、その後の対話を通して、どうしてイメージが出てきたのかが分かった。

そしてこれが、「コーチ」として生きる道が開けた瞬間だった。

続く。



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