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ヒロイックファンタジー 王になりたい!兄弟が邪魔!(以下略

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【短編小説】ヒロイック・ファンタジー+騎馬遊牧民。いずれは敵同士となる定めの星の下に生まれた、王子達が織りなす剣と魔法の冒険譚。「王になりたい!兄弟が邪魔!でも味方がいないから同…
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2021年12月の記事一覧

【中編小説】兄弟と遊弋書庫4/4

(これまでのあらすじ)脱出手段たる滑空機械を見つけられないダームダルクは船長と接触する。機械のことは秘密にしたまま、箱船を海賊から救った礼として陸にかえしてもらうつもりだったのだが、目論見は外れた。  船長もまた秘密主義者であり、船長は船の秘密を守るためダームダルクを軟禁した。  そんなダームダルクのことは全く知らずに、ツァフ博士が動きはじめていた。動く城壁を海に押し出して、箱船を鹵獲するという計画だ。ダームダルクと乗組員たちが海図にない島に気づいたときには手遅れ。島は円状の

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【中編小説】兄弟と遊弋書庫3/4

(これまでのあらすじ)ダームダルクが不時着したのは、巨大な箱船だった。不時着するなり箱船を襲う海賊と戦い、誰にも気づかれることなく、箱船勝利の立役者となる。ところが、戦いのなかで、ダームダルクは修理するつもりだった滑空機械を紛失してしまう。  機械をさがして船内を探索するうちに、乗組員が人外のものばかりだと気づく。彼らの目を盗んですすみ、ようやくあえた同じ人間は、弟のバーキャルク。王位を求めて対立するライバルだ。  弟は船についての情報を教えることで、自分の命をあがなった。奇

【中編小説】兄弟と遊弋書庫2/4

(これまでのあらすじ)草原の王子ダームダルクは、押しかけ弟子として南の島のツァフ博士のもとへ行った。  期待に反して、博士は秘密主義で人殺しもする魔法使いであった。博士はダームダルクを軟禁して、片手間に発明した滑空機械の実験台という役割を押しつける。対するダームダルクは、博士の魔法を盗んで脱出する機会を伺いつつ、実験台の身分に甘んじていた。  博士が人形をして小作人の子どもをためらいなく殺させたある日、とうとうダームダルクは滑空機械で島から脱出した。博士の使い魔である黒猫ハト

【中編小説】兄弟と遊弋書庫1/4

(あらすじ)異邦の王子ダームダルクは、傲慢ケチ博士のもとでの修行が嫌になり、博士の発明した滑空機械を盗んで脱走。ところが嵐のせいで機械は壊れるわ、人外の者をのせた船に不時着するわ、とかく自由への道は険しい。そんな七転び八起きの冒険活劇×幻想怪奇。 #1 #2 #3 #4 #梗概 #まとめよみ 夜、館の中 通路のさきで音がした。  垂幕を引きあけ、壁龕に飛びこむ。  ダームダルクは何かを踏みつけた。神経を張りつめていたからこそ気づけた、わずかな応力だ。  バネじかけにのった

【中編小説】兄弟と遊弋書庫 梗概

 本記事には結末部分を含むネタバレがあります。ご了承ください。 §  草原の王子ダームダルクは、押しかけ弟子として南の島のツァフ博士のもとへ行った。  期待に反して、博士は秘密主義で人殺しもする魔法使いであった。博士はダームダルクを軟禁して、片手間に発明した滑空機械の実験台という役割を押しつける。対するダームダルクは、博士の魔法を盗んで脱出する機会を伺いつつ、実験台の身分に甘んじていた。  博士が人形をして小作人の子どもをためらいなく殺させたある日、とうとうダームダルクは