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スター・ウォーズ ゲーム研究本を出すために 第7回  対応ハードならトップクラス!ピンボールとフォースの融合 『スター・ウォーズ ピンボール』

■『スター・ウォーズ ピンボール』(2013年~2021年)


現在の娯楽としてのビデオゲーム、テレビゲームの歴史を辿るとプログラムの無い、アナログゲームに行き着くのは言わずもがな。ビリヤードやピンボールはデジタルゲームが誕生する遥か前から社交場に置いてあるメジャーゲームの一つで、デジタルゲームが普及した現在も一時の娯楽に供する範囲で賭け事をすることも少なくない。

デジタルゲームが誕生してからそうしたアナログゲームを落とし込むの自然の流れでもあった。ピンボールは特に家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機にはうってつけで、どの時代にも最低1本は必ず存在するレギュラージャンルとでも言うべきひとつ。読者の中には任天堂のファミコンソフト『ピンボール』の腕に覚えのある人もいれば、Windowsの『Windows 3D ピンボール Space Cadet』でパソコンの授業中にそっちのけでのめり込んだという人もいるだろう。


アナログのピンボールゲームも様々で、西部開拓時代をテーマにしたものもがあればカジノをテーマにしたものもあれば、レースをテーマにしたものと様々。ピンボールもただ単に玉を弾いて反射させるだけでは味気が無い。何か絵があったりするだけでもプレイヤーの関心を引く。ギミックが搭載されるようになれば今度はテーマに沿った新しいギミックが用意されたり、ギミックを活かせるようなテーマを模索することになる。ピンボール発祥の地、アメリカはアメリカン・コミックや映画など多様なコンテンツを抱えているのでピンボールのテーマ探しにはうってつけで、『ロボコップ』や『アダムスファミリー』果ては『メタリカ』など映画のライセンスを使ったピンボール台が多数存在する。

特に1970年代後半になってからはATARIの『PONG』の登場からその立場を脅かされるので、こうしたライセンス物は生き残りをかけて藁にもすがるような思い出制作していたのだろう。


本題の『スター・ウォーズ ピンボール』に入る前に『スター・ウォーズ』のピンボールゲームは以外にも1992年と遅い。これについて記述されている物は見当たらないが、おそらくはジョージ・ルーカスが早々にATARIのアーケードゲームに『スター・ウォーズ』の版権を出していることからジョージの興味関心はもっぱらデジタルゲームで、アナログゲーム特に『ピンボール』への下ろしは興味が無かったんじゃないかと思う。


(引用元:https://archive.org/details/Amiga_Joker_1993-02_Joker_Verlag_DE/page/n11/mode/2up


1992年に日本のメーカー、データイーストから『スター・ウォーズ』が登場する。『エピソード4 新たなる希望』をベースにした物で、デス・スターやスター・デストロイヤー、X-ウィングファイターやタイ・ファイターのトレンチ・ランといった映画のシーンをオレンジ色のLEDライトの明度調整で再現しているのは凄い。データイーストといえばファミコンの『探偵 神宮寺三郎』シリーズ(今はアークシステムワークス)や『メタルマックス』シリーズ(今はCygames)を手掛けてきた会社だ。現在は倒産してもう無い。


データイーストは1987年からデータイーストピンボール社を設立して『ロボコップ』で革新的なシステムを導入して一躍名乗りを上げ『ジュラシック・パーク』や『バットマン』などの版権モノピンボールを製造していたが、その後セガ・オブ・アメリカに売却して撤退。その後は「特別編3部作」をベースにした『スター・ウォーズ トリロジー』(1997年)を最後にセガ・オブ・アメリカも事業を撤退。この時、ピンボール事業を古くから手掛けていたスターン社のオーナー、サム・スターンの息子のゲイリー・スターンが買い取るかたちとなり「スターンピンボール社」として再スタートを切った。これどういうことかと言うと、ピンボール老舗のスターン社は一度1984年に倒産をしていて、データイーストピンボール社の総支配人としてゲイリー・スターンを迎えていたという経緯があり、セガ・オブ・アメリカに売却後も役員として残り続けて最後は買い取る形となったそう。ちなみに2019年にもスターンピンボールから新作のスター・ウォーズ台が出ていて代理販売はホットトイズが担っていた。


このあたりは東京ピンボールオーガニゼーションの出井和幸氏の書かれた「ピンボールの歴史」に詳しく書いてある。


ちなみに『スター・ウォーズ エピソード1』(1999年)というピンボール台がウィリアムス社というこちらも老舗のピンボールメーカーから出ていたが、これを最後に撤退した。『インディー・ジョーンズ』『スター・トレック』といった版権モノを扱っていた。こう書くと『スター・ウォーズ』がトドメを差している呪物みたいに見えてくる!


なお、現在システム3というゲームメーカーからスターンピンボールの『Stern Pinball Arcade』というゲームがPlayStation 4、Nintendo Switch、Steamで販売されており、『スター・トレック』や『ゴーストバスターズ』といった実際に展開されたピンボール台をデジタルゲームに落とし込んでいるのだが日本での販売はおろか(Steamは可能)『スター・ウォーズ』は入っていない!


前置きがくっそ長くなってしまったが、今回扱う『スター・ウォーズ ピンボール』はZen STUDIOSというハンガリーのスタジオが手掛けたゲーム。この会社はデジタルピンボールゲームを専門に作っている会社で高い評価も得ている。

『スター・ウォーズ ピンボール』自体は2013年にPlayStation 3、Vita、Xbox 360、iOS、Android、PC(Steam)で販売が開始され、その後Kindle、Wii U、3DS、PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switch、Apple Arcade、2023年からPlayStation 5、Xbox Series X/Sと新ハード、新プラットフォームの誕生に併せて展開している。一昔、いや二昔前までは考えられないようなマルチ展開だ。


ちなみにゲームの内容はどれも同じ。同じピンボール台が収録されている。これまでアナロゲームとして展開されたピンボール台は収録されていないがどれもオリジナリティのあるものばかりでどれを遊んでも楽しい。

この作品は『エピソード4』『エピソード5』『エピソード6』を単品作品としてで台で作っているだけでなく「ダークサイドVSライトサイド」や「ドロイドたち」など刺さる人に刺さるテーマを作ってピンボール台にしているのが特徴的。「ハン・ソロ」とか「ダース・ベイダー」ならわかるけど「ミンバンの戦い」とか誰が覚えてんだよ、ってか知ってるんだっていうものから「カルリジアンクロニクル」とか誰がチョイスしたのかこんなところに需要があるのかと本気で聞きたくなるようなものまであるのはファンとして見逃せない。

様々なハードにゲームを展開しているので、基本的には中身は同じなのだが誰にでもおすすめできる決定版とも言えるのはSwitch版(2019年)。このゲームはそれぞれの台にシーンやミッションといったものがあって、プレイヤーが任意にミッションを選択したり見たいシーンを見ることができる。シーンは映画のワンシーンを再現したもので、選んだあとはルークとベイダーが台の上で戦ったりホスの戦いが展開されたり、ボールが複数個飛び出してきたり、的が出てきて破壊したりとバラエティに飛んでいる。

Switch版はさらにJoy-Conを使ってダース・ベイダーとライトセーバー戦を戦ったり、エンドアの森をスピーダーで走り抜けるイベント、タイ・ファイターやXウィングファイターのシューティングゲームなどオリジナルミニゲームが合間に入ってくる。

2021年にはOculus Quest(現:Meta Quest)、Steam VR、PlayStation VRで『スター・ウォーズ ピンボールVR』がでた。これはSwitch版のミニゲームにプラスVR空間にピンボール台を置いてのプレイなので現実のピンボールゲームゲームを遊んでいるような感じになるだけでなく、キャラクターが実際に目の前に現れたりミニチュアのスターファイターが飛び出したりするので迫力満点。


室内もスター・ウォーズグッズで溢れ、ミレニアム・ファルコンのリビングもあるので部屋と財力に余裕のある人はこっちがオススメ。


Nintendo Switch版ストア(Nintendo公式)

パッケージ版(Amazon)


『スター・ウォーズ ピンボール』


ジャンル: ピンボールゲーム

対応機種: PlayStation 3、Vita、Xbox 360、iOS、Android、PC(Steam)、Kindle、Wii U、3DS、PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switch、Apple Arcade、2023年からPlayStation 5、Xbox Series X/S、Meta Quest、Steam VR、PlayStation VR

開発元: Zen STUDIOS

発売元: Zen STUDIOS

発売日:2013年 2月(初作)


次回以降も書いていくので支援をお願いします。

また、私も全てのスター・ウォーズゲームを持っているわけではないので、譲っていただける方募集します。

連絡先は以下のメールアドレスか、TwitterのDMまで。


hata.fuminobu@gmail.com


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