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NYから帰国→空港で検査→自主隔離までの流れ

2020年7月31日をもって約11ヶ月のニューヨーク留学を終え、帰国の途についた。

帰国のタイミングが今なのはコロナとはまったく関係なく、留学開始時点から決めていた。だから帰りの航空券も1年前から予約済みだったけど、それが予定どおりに飛んだのは驚いた。航空会社はアメリカン航空。

一連の流れはこんな感じだった。

1.NYからの出発
2.ニューアーク→ダラス→成田
3.帰国・検査
4.自己隔離

1.NYからの出発

ニューヨークでは改善しているとはいえ合衆国全体で見れば感染者数は増加の一途をたどっており、日系の航空会社も日本行きの便数をかなり制限している。

ただその中で、どうもアメリカン航空はそれほどキャンセルを乱発しているようには見えなかった。公式サイトを見ると、けっこうな頻度で日本行きの便が飛んでいる。

飛行機の出発時刻は7月31日朝7時。となると5時には空港に着いておきたい。

予約した当時、ニューヨークの地下鉄は24時間運行していた。早朝便でもぜんぜんオッケーとか思ってたのが懐かしい。しかしいま、地下鉄は深夜1〜5時まで運休している。仕方なく前日の夜に出ることにした。

大家さんからデポジット(敷金みたいなもん)を返してもらおうとすると「ごめん! 家賃の計算がこうこうこうなってるから、デポジットのほかに400ドル返さなきゃだよね」と言われた。しかしそれは大家さんの勘違いだったので「いやいや、家賃の精算はもう済んでるから400ドルはいらないですよ」と伝えたら、正直に言ったのをやたら感激されて餞別に100ドルもらった。

「ほんとは大麻でもあげたら喜ぶかな? と思ったんだけど、現金がいいよね!」

と言われた。餞別で大麻なんかもらって帰国したら即アウトである。

30日22時、アパートを出た。向かうのはニューアーク空港。ウーバーなら100ドルほどだが、電車で頑張れば18ドルくらいで行けるので暇だし後者を選んだ。

最寄り駅→地下鉄Q番線に乗車→マンハッタンのペンシルベニア駅→ニュージャージー・トランジットという空港行きの鉄道に乗り換え→到着

駅構内を歩いていると、突っ立ってるオバちゃんにいきなり「明日は金曜日!?」と質問されて動揺した。こんなのももう最後だよなと思うと少し寂しくなった。

23時30分、空港に到着した。心配していた暑さは冷房が適度に効いていて問題なし、トイレもあるしベンチもあるし完璧だった。

ここでチェックイン開始まで時間つぶし。24時間開いてるので締め出されることもないが、ゆえにしばしば物乞いが現れる。

2.ニューアーク→ダラス→成田

直行便ではなくダラス経由で帰国する。ダラス行きの国内便では乗客は7割程度。なるべく隣り合わせにならないように間を空けて座席を調整していた。

マスクに対してなかなか厳しくて、ズレて鼻の穴がチラ見していただけで「マスクを上げて」と指摘された。

んで機内がめちゃくちゃ寒い。しかもブランケットも無いというので、ダラスに着くまでの約4時間、ひたすら震えて過ごした。

7月31日10時(ニューヨークから時差−1時間)。ダラス空港に着いた。空港内のハンバーガー屋さんで朝食を取る。ふつうに店内飲食ができたのが新鮮すぎた。さすがテキサス……。

12時、成田行きに搭乗する。乗客は1割いないくらいでガラガラだった。4列シートを独り占めしていいよと言われてラッキー、横になって眠ることができた。

およそ13時間後、成田に到着。

3.帰国・検査

8月1日15時、成田。機内で「コロナウイルスの検査について説明があるので席でお待ちください」とアナウンスがあった。みんな待っているが、何も起きない。というか、前方の人が降り始めた。アナウンス間違いだったのか、みんな続いて降り始めた。

到着ゲートは、いつもこんなんだっけ? と不思議になるほど静かで異様な雰囲気が漂っていた。BGMもなく、人気もあまり無い中をわずかな乗客たちがコツコツと足音を響かせて歩いていく。「1101、1101、1102、1102……」と、謎の4桁の数字が放送されている。その意味不明さもかなり不気味だった。

係員の誘導に従って進むと、検査の説明をするからと1.5m置きに並べられたパイプ椅子に座らされる。簡単な説明のあと、撮影禁止を言い渡された。そこらじゅうでウロウロしている係員はみなマスクとフェイスシールド、手袋と完全防備だった。当たり前か。

検査を受けるための書類にいろいろ記入した。名前とかだけでなく「咳をしている人と接触したか」とかそういう項目があった。

待っていると、5人ずつ呼ばれて次のステップへ。

受付で透明ビニール越しにさっきの書類を渡すと「このあと唾液検査をしますので、あちらに並んでください」と言われた。あれ、PCRって唾液なんだっけ……なんかインフルと同じで鼻に棒を突っ込むような検査だと思ってたので、楽そうでラッキーだ。

並んでいる列の周囲には「唾液が出やすいツボ」の図解などが貼られていた。

先に進むと、パーテーションで仕切られた、選挙のときの記入スペースみたいな感じのボックスがズラーッと40個だか60個だか並んでいた。ボールペンの半分くらいの長さのケースと、そのケースに唾液を流し込むための漏斗を渡される。

半個室に入って、唾液を垂れ流す。個室の壁には梅干しの写真とレモンの写真が貼ってあって、なんかウケた。

唾液を入れてケースを係員に渡すと「次はあちらの窓口で手続きをしてください」と言われる。

その窓口で係員に「今日はこのあとどうされますか?」と聞かれた。

「は?」となった。

「検査結果が出るまで1〜2日は政府が用意したホテルに泊まると聞いてたんですけど」というと、

「ああ、それね。知ってる人少ないんですけど、今は唾液検査に変わって、PCR検査と違って1時間ほどで検査結果出るんですよ」

なるほど。あとで調べたら変更したのは29日で、大したニュースにもなってなかった。それは気づかないわ。

「で、今日どうされますか? ご自宅は福岡ですよね、ここには帰れないと思うんですけど」

「で、」じゃねえよ、と思って少しイラッとしたけど、まあ冷静に答える。

「明日からはホテル取ってるんですけど、今日は無いので同じホテル予約しようと思います」

と答えると「いま予約とってもらえませんかね? 予約してもらえないとここから出られないんですよ」と言われた。なるほど。

予約するのはぜんぜんいいのだけど、当日15時を過ぎているのでオンライン予約はできなかった。電話で予約するしかないが、私はこちらの日記で書いたようにアメリカ滞在中にクレジットカードが不正利用で停止されており、未払いのため電話を停められている。

そういうわけで固定電話を貸してほしいと伝えたのだがシカトされ「困ったなあ、予約がないと出られないんですよ」とドラクエの村人のように同じセリフを繰り返された。

シカトされたことにまた少しイラついて「じゃあ、検査結果を待ってる間になんとかします」と言ったが、係員側はこの場で解決しなければならないようで、電話は貸さないくせにしつこく予約を求めてくる。といっても私にはどうしようもないので無意味な押し問答を続けていると、最後は「じゃあ、ホテルは今日から予約しているということにしますね。あなたの責任で、きちんと今日ホテルを取ってください」と言われた。ハイハイ自己責任。まあ別にこの人を責めても仕方ないけど、なんか言い方がいちいち癇に障った。

続いて予約しているホテルの名前を聞かれた。「●●ホテルです」と言うと、彼が手元に持っていたホテル一覧表の中にその名前がなく「それどこにあるんですか」と聞いてきたので「ここから歩いて1時間くらいのとこです」と答えた。

すると彼はブフッと笑って「えっ、歩いて行くんですか? このへんのホテルなら送迎バス出てますよ」と言ってきたのでイライラが一気に高まって「は? タクシー使っちゃダメで、ホテル代は自己負担でしょう。だから送迎バスもない安ホテルにしてるんです」と不快感をモロに出して返した。なんなんだこのオヤジ。

旅の疲れにイラ立ちが上乗せされた状態で、結果待ちスペースへ向かった。

ここも1.5m置きにパイプ椅子がズラーッと並んでいて、待っている人の中には私と同じように検査体制の急な変更に戸惑っている人もいた。

結局、知り合いに頼んで同じホテルに電話してもらい当日予約を取った。

検査結果が出たら、自分の検査カードの4桁の番号が放送で呼ばれる。ああ、着いたときの不気味な放送はこれだったのか。

1時間ほどで呼ばれたので行ってみると、陰性。証明書をもらって解放された。

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あとはいつもと変わらず、預けた荷物を引き取って到着ロビーへと出る。成田に到着したのが15時で、解放されたのは17時だった。

4.自己隔離

ホテルには歩いていくが、空港から徒歩1時間。荷物が重いのでたぶん1.5時間はかかるなと思ったけど、これがまた想像を絶するようなルートだった。

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全長800mのトンネルを徒歩で抜け、

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あぜ道を越え、

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廃墟と化した無人販売所のある脇道を抜けた先、墓地とラブホテルに挟まれたところに、私の隔離先はあった。まあ安いからな。

チェックインしたあと、あのムカつく係員が渡してくれた成田付近のホテル一覧表を見てそれぞれの宿泊料金をググってみたら、どれも一泊1万円超え。14日間泊まると14万円以上かかる。そんな自己負担には耐えきれないし、かといって自己隔離を無視するわけにはいかないというジレンマに苦しんだ結果この安ホテルを選んだ私を笑った職員に、改めて腹が立ってきた。

知人はAir BnBで宿泊先を安く確保できたという。その発想は無かったなあ〜。

というわけで、14日の隔離が始まった。最寄りのコンビニまで徒歩20分。周囲には飲食店もスーパーも無い。ちょっと耐えきれるかわからないので、もしかしたら後半はキャンセルして東横インとかに変えるかもしれない。

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