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フランスが抱える政治問題が世界にも影響するという話

もうすぐ、パリオリンピックですが、オリンピックスタジアムへ選手が入ってくるというのではなくて、セーヌ川を船に乗って行進する演出らしいです。パリオリンピックは、1924年に行われ、それから100年後の今年行うことになるそうです。
 最近、元フランス大使の方の勉強会に参加させていただき、現在のフランスの抱える課題や、フランスだけでなく欧州、世界に与える影響についてお話を聞いたので要点を残して置こうと思います。

パリに行くと、セーヌ川沿いの真ん中に、ノートルダム寺院、ルーブル美術館、オペラ座、エッフェル塔などがあるわけですが、その周りを高速の環状道路が回っています。この環状道路の内側には、200万人が住んでいて、大企業に働く人や医者、弁護士などの高所得者が100万人ぐらいいるそうです。一方、環状道路の外側の広域パリというエリアには900万人が住んでいるのですが、この環状道路の内外で人の動きが少なく、内外での所得格差も大きいので、それが人々の分断の一つの原因というそうです。これを正そうと100年も前から機会をみつけようとしていたのですが、第一次世界大戦、第二次世界大戦もあり、なかなか手がつけられず現在に至ったようです。そこで、フランス政府は、サンドニというパリの北側の街を再開発し、そこにすべての鉄道を集め最終的には環状道路を撤廃して、内外の分断をなくすこと計画しているそうです。(サンドニには、有名なサッカー選手、Aya Nakamuraという黒人歌手などで有名な地域らしいです)


サンドニに鉄道を集積し、パリ外周道路をなくす計画らしい

分断の原因の一つは、人口6700万人のフランスには10%の移民がいて彼らとの関係が難しくなっているそうです。2014年の雑誌社襲撃で10名死亡、劇場襲撃で120名死亡、そしてニースでトラックが突っ込んで80名が死亡という事件以降、移民を中心に監視も強まっていて、20万人の警察職員の5万人が監視対象者の監視、5万人がテロ対策にあたっていて、結果、通常警察力が低下していて、ひったくりや空き巣などは対応してくれない状況になっているそうです。

もう一つの課題は、選挙です。元々フランス人は個人意識が強いので、小さい政党が乱立してしまい、選挙で多数の人が支持する政党を生み出し難い。そのため、以前、ド・ゴール大統領の時、選挙を2回やって、1回目にトップの2政党を選ぶ、そして、2回目では、1回目の1位と2位のどちらかを選ぶという仕組みを導入したそうです。これによって、国民はどちらかの政党を選ぶので多数派がきまり、政権運営が安定する、という仕組みを作ったそうです。賢い方法だと思います。日本でもこの方向を適用すると良い選挙があるのかもしれません。
 右派は、財産や職業は親から子へ受け継がれるべきなので相続税を下げる施策、左派は、プロレタリアートで能力がある人を優先し相続税を上げる施策、ということのようです。が、近年は、この政権交代がうまくいかず、社会の流動化がなくなったのが課題だそうです。

さらにもう一つの課題は、移民問題ではなく、地方にいる白人のフランス人は、過疎化に伴うインフラの弱さから政権への不満が高くなっているそうです。つまり、週末に鉄道が動かないとか、車で100kmいかないと医療施設がない、などの社会インフラ整備が行われないことに不満があるようです。政治から見捨てられたという意識だそうです。

政治家としては、超エリートのマクロン大統領がいて、彼は欧州の課題、ロシアとの関係、米国との関係などのグローバルな課題への取り組みを重視する一方、足元のフランス内部の貧富格差、分断、移民、地方の問題に十分対応できずそこが、右翼が伸びてる原因のようです。

極右と言われる金髪のマリンルペン党首(56歳女性)は、父親が極右だったので勘違いされるそうですが、主張は、古き良きフランスを取り戻す、とううことで支持者が増えているのです。特に側近の28歳のバルデラ氏の人気が高く支持者が増えているとのことです。

バルデラ氏

一方、世界情勢をみれば、米国の方向の変化、ウクライナ、ガザの戦争、中国の台頭、ロシア、北朝鮮の関係、グローバルサウスなどの変化が起こる中でも、地球全体を考えた環境課題、経済課題を解いていくという活動は重要であり、そこでは特に欧州のリーダーシップが大きいのです。
 欧州のリーダーシップは、英国、フランス、ドイツの3カ国が事実上牽引しており、ドイツは第二次世界大戦のこともあり、フランスの下で支える構造になっているそうです。ところが、先に述べた様にフランスが内政課題を解くことにエネルギーを割く必要があると、環境問題、世界の税制、世界全体リードしていくという活動が鈍る可能性がでてきているそうです。
 なので、フランス政権が内政だけをやっていると世界の混乱に影響を与えるというようです。

さて、現在マクロンは46歳で超エリートの経歴をもっているのですが、奥さんは2周り年上の71歳だそうです!!マクロン氏はとても頭が切れ素晴らしいのですが、人気が落ちているそうです。まず、人の話を聞かない、常に上から目線、そして年配者を使わない、というのが原因らしいです。
 一方、マリンルペンは普通の女性であり、人気があるようです。

読んでいただきありがとうございました。


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