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生保受給者のお正月

昨夜は無事開催されたカウントダウンライブで年をまたぎ、夜のうちに帰宅してそそくさと就寝した。

起きたらまだ10時すぎだったので、優秀だなあと自分を褒めてしまう。

長らく睡眠に関する神経がぶっ壊れていたが、生活保護をもらうようになったこの2年でだいぶ改善されてきた。
ここ半年は、きちんと朝決まった時間に起きられるようになっている。

それにしても入眠したのはギリギリ5時くらいだったと思うから、午前中に起きられたのはもはや天才の所業といえるだろう。

めっちゃ気分がいい。

気分がいいので、朝食前に洗濯して掃除して布団干しまでした。
正月なのに勤勉だな…と、ドヤ顔である。

そのあとは午前中の散歩をかねて初詣に行った。
いい歳して真顔で茅の輪くぐりをこなし、おみくじの結果にドキドキし(吉でした)、お守りを買って、狛犬の写真を撮る。

当然だが、全部ひとりで満喫した。
ひとり最高である。

見上げると、マットな質感の濃い青空には雲ひとつなくて、散り残ったイチョウの黄色が映えて、思わず息をのむほど綺麗だ。

道の端に掃き寄せられた枯葉をパリパリ踏みながら帰宅する。

お正月っぽい食事というのは特にしない。
でも栗きんとんだけはどうにも好きで、これだけは買ってきて食べる。
今年は栗きんとんのほかに、カマボコと伊達巻とちょっといいポテトチップスを用意した。
お神酒などという大層なものはないので、年末に持ち寄り忘年会をした際に買った焼酎を開ける。

飲酒の量はグッと減って、そろそろ酒は辞めてもいいかなあと考えなくもないが、飲むと美味しいので決心がつかないでいる。

控えめなサイズのソファーにブランケットを山ほど持ち込み、センターテーブルに用意した食べ物をごたごたと並べる。
ちょっとイイ感じに見える角度の伊達巻の写真など撮って、同じくひとりで正月を迎えている友人にLINEで送り、遠隔で乾杯した。

そのあとはこの記事を書くのを思い出すまで、ミノムシのようになってサブスクでホラー映画を観ていた。

普段しない昼酒、普段食べないスナックや食べ物、普段の生活ルーチンの放棄、テーブルの上を散らかしたままこれを書いていること。

そういう些細なことを許してダラダラするのが、生活保護を受給するようになってからの、わたしの正月だ。

正月といえば、かつては両親から帰省するように言われたし、好きこのんで帰省していたこともあった。
新型コロナ蔓延以来、帰省しない言い訳を考える手間が減ったのは、個人的にありがたく感じている。
わたしがひとりで愉快な正月を過ごしていると話した時、父は落胆と憐憫を隠しもしなかった。
さらには笑って「そんな寂しい思いするなら、帰ってくればいいのに」と言ったものだ。

放埓と言われるならば甘んじて受けようもあるが、これを寂しいと受け取る感性とは相いれないと改めて感じる。

よけーなお世話なんだよ。

そんなことを思い出して鼻息を荒くしつつも、おおむね気分よく、2023年の正月元旦が過ぎていく。

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