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アボカドの思い出

【アボカドとエビの卵炒め】
アボカド 1個
冷凍エビ 100グラムくらい
卵 1個
ニンニク 1かけ
塩コショウ 適量
ポン酢 小さじ1くらい
シャンタン 練りタイプなら小さじ1くらいを同量の熱湯で溶いておく。もしくは顆粒タイプを用意する
ごま油 適量

完熟のアボカドをひと口大にカットする。
冷凍エビは解凍して水気を切っておく。
ニンニクはみじん切りにしておく。
卵は割って解いておく。

ごま油とニンニクをフライパンに入れ、中火で加熱する。
ニンニクの香りが立ったら、エビとアボカドを入れて炒める。
アボカドにきつね色の焼け目がついたら、ポン酢とシャンタンを回し入れ、さらに炒める。
ポン酢の水分がなくなってきたら、卵を回し入れて炒める。
卵とじ風にしてもいいし、ばらばらっとした炒り卵風にしてもよし。
味見して、足りなければ塩コショウで調整する。
できあがり。
ごはんの上にのせて丼風にして食べる。

*炒める際のごま油をマヨネーズで代替するのもあり。
*卵は半熟よりしっかりめに火を入れたほうが美味しい。

アボカドとバナナは生産地で起きている諸問題を知って以降、あまり買わないようにしている。
が、たまにスーパーで90円とかで投げ売りされていると、どうしても買ってしまう。安いし、それに美味しいので。

よく熟れたアボカドを切ってわさび醤油に漬け込み、小さく切ったゆで卵と一緒にごはんに乗せたやつも、時々食べる。きざみ海苔と小口切りの青ネギがあると美味しさが増す。
漬け込む醤油を知り合いからもらった九州の甘い醤油にしたら、椅子から転げ落ちるほど美味しくて感動したものだ。

アボカドをヅケにする食べ方を教えてくれたのは、昔の友達だ。
20代の頃に仲良くしていた。5つくらい年上の女性で、物静かで人見知りでガードが固く、頭が良くてこだわりの強いひとだった。
別の友人の紹介で知り合い、仲良くなった。
どうして紹介されたかというと、当時好きだったミュージシャンが一緒だったからだ。
人気のないミュージシャンだったのでファン仲間と出会うことが少なく、お互いレアな出会いに狼狽えつつ、ぎこちない挨拶をしたその日の夜には4時間ほどの長電話をしてすっかり打ち解けていた。
数年の付き合いの後、色々あって疎遠になったが、アボカドを醤油に漬け込むたび、なんとなく彼女のことを思い出す。
今思うとアボカドみたいなひとだった。
外側に分厚い防壁を備えていて、大きく硬い芯を持っていた。仲良くなるとしょうもない冗談を言ったり、長電話をしたがったり、どこに行くにも一緒でいたがるひとだった。
推しが同じだったということもあって外側の防壁は簡単に突破できたのだけど、お互いに若すぎたのと、譲れない部分(種)が巨大すぎて衝突してしまったのだなあと、今となってはなんとなく思う。

「人事は棺を蓋うて定まる」という言葉がある。
人間の真価はそのひとが死んで棺にフタをする時にならないと分からない、というような意味だ。
状況としては真逆だけど、アボカドも買ってきて皮を剥いてみるまで中身がどうなっているか分からない。
売り場で良さそうなのを選って買っても、包丁を入れてみたら黒く変色していたり、種が巨大で可食部が少なかったりする。
かといって、変色してたりドデカ種が入ってたらイヤだからと買わないでいる限りは、自宅でアボカドを食べることはできないのだ(今時は冷凍のカットアボカドがありますが)。

「アボカドは皮を開いて定まる」
ちょっとだけ、人生っぽい。
絶対に人生に必要なかっただろうという体験もあるとはいえ、ひととの付き合いも、人生も、やってみるまでどうなるか分からないということは、往々にしてあるものだ。
などと、分かったようなことを考えてしまう。

昨日2個買ったアボカドのうち、1個はまだ残っている。
すでに皮をむいて切って醤油に漬けてある。さっきちょっと味見をしたらいい感じだった。
食べるのが楽しみだ。


では、また。

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