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夫婦別姓とはどんな制度? なぜ日本に導入されない?そのメリット・デメリットは?


夫婦別姓とは?

夫婦別姓とは、結婚した夫婦が結婚前の姓をそのまま名乗ることができる制度のことです。通常、結婚により夫婦は同じ姓を名乗ることが一般的ですが、夫婦別姓の制度が導入されている国や地域では、夫婦がそれぞれ別々の姓を名乗ることが認められています。

夫婦別姓を導入する場合、夫婦は結婚前の姓を名乗るか、あるいはどちらか一方が新たな姓を選択することができます。この制度により、夫婦それぞれが自分のアイデンティティを保持しやすくなり、結婚後も個々の社会的な活動やキャリアに影響を受けにくくなるとされています。

夫婦別姓の制度は、国や地域によって異なります。一部の国や地域では、夫婦別姓が法律で認められており、夫婦が別々の姓を名乗ることが一般的です。しかし、他の国や地域では、夫婦別姓が認められていない場合もあります。

夫婦別姓のメリット・デメリット

メリット

  • 個々のアイデンティティの尊重: 夫婦別姓を導入することで、結婚後も個々のアイデンティティを尊重することができます。特に、女性が自己の姓を保持することで、個人の社会的地位や専門的なキャリアに対する影響が軽減される可能性があります。

  • 選択肢の拡大: 夫婦別姓を選択肢として提供することで、結婚後の姓について夫婦が自由に選択できるようになります。これにより、夫婦それぞれが自分の姓を選択することができ、多様性が尊重される社会を実現できる可能性があります。

  • 家族の多様性の認識: 夫婦別姓を導入することで、家族の形態や構成が多様であることを認識する機会が増える可能性があります。これにより、家族に対する偏見や固定観念が解消され、より包括的な社会が築かれる可能性があります。

デメリット

  • 制度の複雑化: 夫婦別姓を導入することで、戸籍や法制度などの制度が複雑化する可能性があります。特に、相続や税金など、制度全体に影響を及ぼす可能性があり、適切な対応が求められる場合があります。

  • 社会的な混乱: 夫婦別姓を導入することで、社会全体に混乱が生じる可能性があります。例えば、既存の制度や文化との整合性が取れない場合、社会的な反発や混乱が生じる可能性があります。

  • 家族の結束の弱体化: 夫婦が別々の姓を名乗ることで、家族の結束が弱まる可能性があります。特に、同じ姓を名乗ることが家族の結束を象徴する文化が根強い日本においては、夫婦別姓が家族の絆を弱める要因となる可能性があります。

日本の現状

残念ながら現在日本において制度は導入されていませんが、選択的夫婦別姓を導入するかの検討がなされています。

現在の民法のもとでは、結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず氏を改めなければなりません。そして、現実には、男性の氏を選び、女性が氏を改める例が圧倒的多数です。ところが、女性の社会進出等に伴い、改氏による職業生活上や日常生活上の不便・不利益、アイデンティティの喪失など様々な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見があります。
 法務省としては、選択的夫婦別氏制度の導入は、婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題ですので、国民の理解のもとに進められるべきものと考えています。


司法の判断

現在の民法のもとでは、結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず氏を改めなければなりません(この制度を夫婦同氏制度と呼んでいます。)が、夫婦同氏制度が憲法に違反しているのではないかが争われた裁判で、最高裁判所大法廷は、平成27年(判決)と令和3年(決定)の2度にわたり、夫婦同氏制度は憲法に違反していないと判断しました。

 もっとも、これらの最高裁判所大法廷の判断は、いずれも選択的夫婦別氏制度に合理性がないとまで判断したものではなく、夫婦の氏に関する制度の在り方は、「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである」と判示しているものです。

世論調査の結果

令和3年に実施した「家族の法制に関する世論調査」の結果では、夫婦の名字の在り方に関する設問について、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」と答えた方の割合が27.0%、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」と答えた方の割合が42.2%、「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」と答えた方の割合が28.9%となっています。

より詳細な結果はこちらから。

海外の状況

夫婦の氏に関する制度は国によって様々ですが、平成22年に法務省が行った調査(注)等によれば、
 ⑴ 夫婦同氏と夫婦別氏の選択を認めている国として、アメリカ合衆国(ニューヨーク州の例)、イギリス、ドイツ、ロシア、
 ⑵ 夫婦別氏を原則とする国として、カナダ(ケベック州の例)、韓国、中華人民共和国、フランス、
 ⑶ 結婚の際に夫の氏は変わらず、妻が結合氏となる国として、イタリア
があります。
 もっとも、法務省が把握する限りでは、結婚後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけです。


日本で導入されていない理由

  • 法的な規定の制約: 日本の民法では、結婚により夫婦が同じ姓を名乗ることが原則とされており、夫婦別姓を認めていません。このため、夫婦別姓を導入するには、民法の改正が必要となります。

  • 伝統的な文化や価値観: 日本では、家族が一つの姓を共有することが家族の結束を示す重要な要素とされてきました。このため、夫婦別姓を導入することが、伝統的な家族の価値観に反すると考える人々もいます。

  • 社会的な影響の懸念: 夫婦別姓を導入することが、社会や法制度にどのような影響を与えるかについて、懸念がある場合もあります。例えば、戸籍制度や相続制度など、夫婦別姓が影響を及ぼす可能性がある制度に対する対応が必要となるため、導入には慎重な検討が求められます。

個人的な意見

私は選択的夫婦別姓の導入に賛成と考えています。

  1. 戸籍にこだわりがない:戸籍にこだわりがないため、夫婦同姓である必要性を感じない。

  2. 自分の名字にこだわりがない:個人的に自分の名字にこだわりがないため、もともと婿入りにも抵抗がなかった。

  3. 家族の一体感について:名字が同じでないと家族の一体感が生まれないという意見に対して、名前が一緒でないと家族が一体になれない、絆が薄れるというのであれば、それは本物の家族の絆であるとは思えない。名字が異なっても家族の絆は成立すると考える。

  4. 妻の名字を変えることによる不便:彼女の名字を変えることによって、様々な場面で余計な手間や不都合が発生するので、彼女に不便をかけたくない。

以上により、私は選択的夫婦別姓の導入に賛成です。
皆さんはどう思いますか?

導入に向けた取り組み

サイボウズの青野氏が夫婦別姓の導入に向けた活動をされているので、紹介します。


おわりに

夫婦別姓を導入するかどうかは、社会的な議論が行われてきましたが、意見が分かれる問題であり、導入には複数の立場や意見を考慮する必要があります。伝統や文化、法制度など多岐にわたる要素が関わるため、夫婦別姓の制度が導入されるかどうかは、今後も慎重に検討されるでしょう。
皆さんは夫婦別姓の導入についてどう思いますか?ぜひ意見を聞かせてください。


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