OpenAI、Microsoft、日本国の動きとインパクトを批判的思考で考えてみる
あなたは、あなたのビジネスにコミットできますか?
このところ、AIをめぐる日本の動きの活発さについて触れてきました。
想定を上回る速さで導入や検討が進んでいますが、最近のAIって実際かなり危ないものだと思っております。結構な範囲の仕事はなくなるか、変容するでしょう。
私は「AIの進歩や導入は進むべき派」ですが、本来はこの辺りクリティカルシンキングしておかなければならないものだと思っております。
そこで、今回は現在の主要プレイヤーである日本(政府)、Microsoft、OpenAIの三者の状況とともに私見を述べておきたいと思います。
いくつかの状況
それぞれのプレイヤーの置かれた状況を見てみましょう。
日本国と政府
経済の低迷とともに国際的なプレゼンスは低下しつつある
高齢化・人手不足・生産性の低さが大問題である
日本の法律はAIの学習に向いている
日本のITは遅れており、米国最先端と競合となるレベルにはない
(ついでに)もうすぐサミットもある
Microsoft
Web~スマホ登場以降、サービス面ではGAFAに圧されプレゼンスは低下傾向にある
クラウドインフラで大手であるものの、AWSの後塵を拝している
OpenAIに多額の投資を実施、今後も継続を決めている
日本において、IT面では信頼性が高い企業である
OpenAI
欧州での普及に黄色信号が灯っている
突出した技術を持つが、多数の著名研究者から学習の一時停止を問われるなど、敵が多い
Microsoftより大規模な資金提供を受けている
こんなところでしょうか。
つまり、
MicrosoftとOpenAIは同陣営である
日本の課題解決にChatGPTの様なAIは適している
Microsoftの高い信頼性は大企業や政府の調達に適している
日本もMSもプレゼンスの再向上は必要である
OpenAIはMicrosoftと共に包囲網を打破する必要がある
日本は法的にも利害的にも向いている
というわけで、マクロな面で見れば、三方よし、万々歳な連携と言えます。
問題点
最大の問題点は、AIが個々人レベルの現状のディスラプター(破壊者)になり得るところでしょう。
労働力の対価は、決して絶対的なものではありません。供給過剰な世においては「相対的に優れていること」を求められることが多いです。
生産性の向上により一人で現在の複数人分の作業ができる様になったとしたら、その一人になるために、より激しい競争が生まれるでしょう。
特別優秀な層以外の人は、AIへの置き換えが難しく人手不足のジャンル---肉体労働系と言われています---への転換を余儀なくされる例が出てくるかもしれません。
この点、先述の3プレイヤーの思惑の上で、「考える必要が無い」点で合致可能なのが特に問題です。つまり「日本の一般市民の生活がどうなっても三者個々に短期的・直接的ダメージはない」のです。
AI推進の目的が世界政治に爪痕を残したい一心だったら? 党内のプレゼンスを上げたいことが目的だったら? 単にGAFAを超えるプレゼンスを取り戻したいだけだったら? 欧州に比べてチョロい体のいい実験台と考えていたら?
これらはさすがに邪推かもしれませんが、思惑というものは少なからずあるものです。
OpenAIの理念には全体最適の様な考え方がありますが、すでに当初の非営利の概念が崩れ、Microsoft陣営と言えるような状態にあるわけです。
そしてそもそも破壊の後に救済を考えるようなレベルで、いまは破壊だけが目の前に来ている状態です。後から「いやーごめんごめん、失敗失敗」というかもしれませんが、責任は誰も取らないし、取れないでしょう。
再度問います。あなたは、あなたのビジネスにコミットできますか?
そこで、この問いに繋がるわけです。
作業、つまりワークの多くはそのままではAIに置き換えられます。
ですが、そのワークの先にはビジネスがあることでしょう。そのビジネスに対して直接寄与できる存在になれますか? という事です。そういう人はAIを使って発展させる側として成立します。
電話ができて、メッセンジャーボーイは消えました。
写真ができて、記録絵画はなくなりました。
ワープロができて、代書屋はいなくなりました。
GMSの発展によって、商店街は消えようとしています。
世情と技術の変化で、容易に職は無くなります。
世の中そんな優れた人ばかりではありません。普通の人が普通に生きることがより難しくなる可能性が考えられます。
また、この「あなた」には経営者や資本家も含まれます。ビジネスの現状維持を考えると人減らしの方向になるでしょう。しかし人は本来は得難い資源でもあります。本当の意味でのリストラクチュアリングを行って、ワーカーをビジネスパーソンに変容させて、ビジネスを拡大させていけるでしょうか。
その方向性が主流になること、また雇われる側もその必要性を認識して変わっていける事を願っております。
電話ができて、電話屋ができました。写真ができて写真家ができました。GMSで働いている元個人商店の方もいるでしょう。そのように新たな働き方は生まれると思います。しかし、AIによる効率化はそれ自体に伴う単純労働が少ないので、そこへのアジャストは個々人で考える必要があるでしょう。
Generative AIの進化と導入はすごい速さで進んでおります。
こういった点を深刻に考えていたらこんなに簡単には進まないので、おそらく考えられていません。ですが、もう日本においては進んでしまっています。
さて、この状況、あなたはどうしますか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?