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OpenAIのサム・アルトマンCEOの来日と日本のAI普及の加速

電撃来訪

ChatGPTでおなじみ、OpenAIのサム・アルトマンCEOが10日に来日し、岸田総理と面会し、自民党のプロジェクトチーム会合に参加されました。

具体的に、下記7点が提案されたと取り上げられています。

1.日本関連の学習データのウェイト引き上げ
2.政府の公開データなどの分析提供等
3.LLMを用いた学習方法や留意点等についてのノウハウ共有
4.GPT-4の画像解析などの先行機能の提供
5.機微データの国内保全のため仕組みの検討
6.日本におけるOA社のプレゼンス強化
7.日本の若い研究者や学生などへの研修・教育提供

上記記事より

少なくとも、IT・AI先進国ではない日本においては渡りに船ではないでしょうか。

個人的には、トップダウン、特に「お上が許可した」という事が未だに強い意味を持つ日本という国をよく理解されている、とても理にかなったムーブだと思います。

研究者からは国産LLM研究が衰退する危険性なども挙げられていますが、現状ままで追いつけそうならそちらもそのまま続けた方が良いでしょう。ノウハウ共有してもらった方がマシならそうしながら続ければよいかと。コントローラブルなものがあるのは大事。

目的は?

現状、AI、それもOpenAIを取り巻く環境は複雑です。

イーロンマスクらの書簡、イタリアをはじめとする欧州の圧力、米国内もバイデン大統領が言及する様なルール化の圧力。
現状で上記に当てはまらず、西側勢力で、経済力がある、となれば日本に白羽の矢が立つのは必然と言えます。

また、文化的にもキリスト教圏よりも日本の方が柔軟に受け止められそうだという意見もあります。(諸説ありそうですが)
確かに、日本人はAIにアドバイスをもらったり、AIが何かを勝手に作ったりする行動にあまり拒否感は無いように思います。(直接著作権などのデメリットがあるなどは別として)

斜陽とはいえG7のうちの一国、世界第3位の経済力です。仲間に引き入れることができれば、ほかの勢力に対してゆさぶりをかける事ができます。
日本一国だけが進みそうな兆しがあれば、ゲーム理論で言うところの囚人のジレンマみたいな駆け引きを引き起こすことができるでしょう。
個人的な推測としてはそのカードを手に入れる意味が一番大きいのではないかと思っております。

今後Googleが巻き返すかもしれませんし、日本としても安全保障に関わるレベルの問題ですので舵取りは重要です。法的な整備も全然足りていません。しかしここからの動きは国単位でのスピードがダイレクトに価値にもなるので、しっかりとアンテナを張って生きていく必要がありそうです。

普通のおっさんにAIが届く日

OpenAIは、バックにMicrosoftがいます。
少なくとも日本においては、これが非常に重要です。

普通のAIベンチャーのシステムがおっさんの職場に届くのは相当先になります。なぜなら「信用」が無いからです。私は過去に普通の企業で自社システムの企画・PMなどをやっていたこともあるのですが、まーあ信用って大事です。
機能面で良くとも、価格が3分の1だろうとも、そうじゃない「信用に足る企業のシステム」が選ばれます。

これは仕方がないのです。信用は価値であって売り物ですから。システムが主でない普通の企業では、システムに博打をしてそれ起因で自社の信用を毀損できないのです。

その点、このサムさんの来訪からの動きは、「信用」と「権威」を得る行動にほかなりません。日本の普通のおっさん目線で素晴らしいムーブです。

そしてMicrosoft。この会社は、システム導入において数少ない「無条件にアリ」の判定が出せる海外企業です。これが後ろにいるのは強力です。
ベンチャーのAIサービスのうちかなりの数が、Microsoft 365 Copilotに駆逐されるでしょう。
大巨人です。しかもベンチャー役のOpenAIもいます。このコンビ強いです。

なので、この政府を巻き込んだ動き+Microsoftの動きが良いように重なれば、「思ったより相当早く」日本のビジネスシーンにAIが普及すると思います。
使いこなせるか否かは、大丈夫だと思います。GPT-4クラスになると察する力が強いので適当なおっさんが適当な事指示してもなんとでもなるでしょう。

おっさんが適当やっても大丈夫なセキュリティ性と、ハルシネーション対策だけ、必要ですかね。自動反証機能みたいな。

個人的に気になる発言と余談

サム・アルトマンCEOは、総理官邸での記者会見で"Japanese Culture"と言っていたかと思います。
日本の学習データのウェイト引き上げという言われ方をしていますが、本当に「カルチャー」に寄せたAIができたらすごく面白いと思います。

あらゆるところに根回しして、寄り合って、レイヤー別に説明を分けて、沢山の合意のもとで意見を形成してくれるAI、いたら日本では便利でしょうね。

価値観も含めて、欧米と異なる部分を活かした日本風のAIができたとしたら、逆に欧米ではそれは新鮮なものとなって売りになることでしょう。欧米基準では作れないAIになりますからね。そして、それと欧米のAIを掛け合わせることで更に新しい高みに向かうことができるでしょう。

昔、ドラッカーが「知識労働者はほかの知識労働者と知識を重ねて価値を増幅する」みたいな事を言っていたかと思います。(記憶曖昧)

AI版のそういうの、あったら面白いなと。

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