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ChatGPT派生AIの日本企業における利用検討事例とある共通点

サム・アルトマンCEOが来訪された翌日、さっそく日本企業における対話型AI導入検討のニュースが出てきました。

まさかの3メガバンクです。驚きです。

示し合わせたようなタイミングですが、何らか事前共有があって準備されてたんでしょうかね? もっとも、記事の粒度が3社で違いますしメディア側で集めた反応を単にメガバンクというくくりにしただけかもしれませんね。

今回は、このニュースや、他の企業の事例内容を見ていきたいと思います。

最初の事例

私の記憶の限りですが、大きくニュースになった事例では下記が最初のものだったと認識しております。

こちらも、ちょうど1ヶ月経って続報が出ていましたね。

ChatGPTが出る前から準備されていたのですね。
それでも4ヶ月で完成という事で、画面にはPoCという文字も見えますが、全社に出す様なものとしてはスピード構築と言えるのではないでしょうか。

Microsoft Azureという共通点

これらの事例、みずほ銀行は詳細がまだ不明ですが、それ以外はすべてMicrosoftの「Azure OpenAI Service」を使っているという共通点があります。

私はこれまでOpenAI APIとの違いについてあまり気にしてこなかったのですが、調べてみるとやはり理由となり得る部分がありました。

データが学習に使用されない、プロンプト等は一定期間の保存、という点は似たようなものですが、「Microsoftが承認したケースでは」という事ですが「人間によるサポートレビューのための一定期間のプロンプト保存や、ログの保存」もオプトアウトするという事ができる様です。(使う場合は私の言ってる事とかを鵜吞みにせずちゃんとご自身で規約を確認してくださいね!)

また、OpenAIにデータが渡ることもなく、Azure内で完結するようなことが書かれています。

上記事例がこれらをどこまで評価しての選択なのかは正確にはわかりませんが、少なくとも現時点ではOpenAI APIよりも機密情報の扱いに強そうです。

そして何より、前回の記事でも触れましたがMicrosoftの信用力もあります。

ChatGPT(の類似AI)の企業利用においてはセキュリティが最大のネックになるのは目に見えていましたが、先行事例はこういう形で出てきました。

パナソニックコネクト社については前述の記事にもお名前が出ていますが、社長が元・日本Microsoft社長ですし、そういった事も関係あるのかもしれませんね。

このスピーディな流れをどう読むか

各社、日本の大企業としては例外的な速さの動きではないでしょうか。

確かにインパクトのある技術ですし、早くアジャストできればそれに越したことはないでしょう。
ただ、これだけ「危ないもの」がこの速さ、タイミングで発表となると少し裏読みしたくなる気もします。

様々な流れの発露として"自然かつ必然のものとして"いまこのタイミングが重なったと読むか、"MicrosoftとOpenAIによる一連の戦略的な日本市場におけるAIの垂直立ち上げのスタート"と見るかで、今後のストーリーも若干変わってくるかと思います。

とはいえ欧州の動きなどとの関連からでは「速すぎる」気もしますし、開発ベンダーは様々な様なので前者で良いのかもしれません。

いずれにせよ、日本の中でもお堅い事で知られるメガバンクが「Azure経由なら使って大丈夫そうですよ」という見解を出したことに他ならず、これは一般企業への影響も非常に大きいでしょう。

この辺りの事例と、規約と実務(やって大丈夫な範囲)の関連の分析は今後の趨勢を決める上での大きなファクターになると思われます。(あと価格もですが…GPT-4高い…)

各社、自社データの投入などをどこまでどのように行っていくのかなど気になる点もあるので、引き続き追っていきたいと思います。

思ったよりだいぶ早く、普通のおっさんの手元にAIがやってきそうです。


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