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泥流地帯、その足跡 ~実録レポート~

最初に 皆さま、今夏いかがお過ごしでしょうか。 私は先日、とある小説作品の舞台となった北海道上富良野町という場所へ行きました。 貴重な経験をさせて頂いたので記事として残したく、ちょっと私的な感想を交えながらご紹介したいと思います。(長いです) きっかけ… なぜ、上富良野町に行きたかったか。 皆さんは北海道旭川市の誇るクリスチャン作家、三浦綾子氏の「泥流地帯」「続・泥流地帯」という小説作品をご存知でしょうか。 大正15年に起こった十勝岳噴火と、それに伴う融雪泥流を原因とし

    • その記憶

      ※三浦綾子著 氷点・続氷点の二次創作になります。 ---- 「北原さん!」 北大からほど近い喫茶店の隅にある少し薄暗い席だった。 北原は陽子を見つけ手を上げ、松葉杖をつきながらゆっくりとそちらへ向かった。 陽子から会えないかと手紙を貰ったのだった。 「陽子さん。久しぶり」 「こちらよ。わざわざごめんなさい」 「いいんだ。嬉しいよ」 「ここまで来るの大変だったでしょう…」 陽子は足が不自由な北原のために向かい側の椅子を引いてやった。 「いいや、最近はもう何

      • エゾカンゾウ

        ※三浦綾子著 天北原野の二次創作物になります。 ずっと大事にしているものがある。 それは、思い出も面影も、貴乃の全てだった。 暮れ時、孝介は昨年肺結核でこの世を去った貴乃を想い、海辺を見渡せる自宅の窓辺に腰掛けていた。 結局、貴乃と自分は結ばれることはなかった。 もっと早く、行動していれば…そう思わなくもない。彼女のことをずっと苦しませてきたに違いないのだ。出来ることはしてきたつもりではあるが、同時にとてつも無く甘えていたような気がする。 だが今更そんな事を考えてどうする

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