見出し画像

音楽素人のライブ後記 vol.02

Nulbarich ONE MAN LIVE
at 日本武道館
-The Party is Over-
2018.11.02
(6か月ぶり2回目)


行ってきました。
武道館。
Nulbarichが夢を叶えた瞬間を、
見届けてきました。

バンドってさ、
良い意味でも悪い意味でも、
出会って、
選んだメンバー同士でやるしかない。
そんな中で、
よくこれだけの才能が出会ったなと思う。
個々の演奏技術は言わずもがな。
それだけじゃなくて、
セッションがとにかく気持ちいい。
お互いがお互いをリスペクトしているのが、
伝わってくる。
だからこそ、
音に一体感が生まれてくるのだろうか。

彼らが「武道館に出る」という夢を掲げてから、
たった2年。
たしかに、
2年は早い。
今日のチケットも、
あっという間に売り切れた。
でもライブを観たら、
そんな風に考えるのは野暮だと感じた。
震えるようなセッションの連続。
実力を疑う余地なんてない。
1曲目から、
武道館は彼らの『Hometown』と化していた。

実際、
「武道館、やっちゃいますか!」
と叫んでスタートした今日のJQは、
期待以上だった。
ライブ中、
何度も「緊張している」と言っていたし、
僕らにもその緊張が分かるほどだったにも関わらず、
彼の歌声は驚くほど抜群に響いていた。
安定感が格段に増したのは明らか。
しかも夢を叶えて感情的になっている状態で、
あの安定感。
彼の弛まぬ努力を想像するには、
十分だった。

Nulbarichって傍目から見ると、
似たようなバンドが多いと思われている気がする。
流行りのサウンドの系統でもあるし。
でもこれだけ早く武道館に立って、
しかも意外と広い世代に受け入れられている。
何か唯一無二のものがあるに違いない。
その一つが「詞」や、
JQが発する「言葉」にあるのでは、
と踏んでいる。

彼らの曲は英語詞と日本語詞のミックスだ。
だから簡単には聴き取れないし、
歌うのはもっと難しかったりする。
歌詞は二の次で、
サウンド重視の音楽だと感じる人もいるはず。
でもライブに行って驚くのは、
歌詞を真摯に伝えてくるJQがいること。
次の曲を紹介するMCで、
歌詞を引用することも多い。
しかもJQはわざと、
抽象的な詞を書いているんだけど、
その加減が絶妙だ。
誰もが共感できて、
かつ壮大なスケールの歌詞。
だからライブという特別な空間で、
この上なく映えてしまう。

せっかくなので、
その様子が少しでも伝わるように、
ライブ終盤をハイライトしたい。

「終わらないものはないのはI know It’s okeyちゃんと最後までenjoy」
もうすぐ終わるという感傷に浸らせながら、
MCで明確に次の曲を連想させる。
キラーチューン『ain’t on the map yet』だ。

会場のグルーブを一気に引き上げた状態で、
間髪入れず『Follow me』へ。
最後まで「ついてきて」と歌う。
この2曲で、
観客とステージの連帯感はぐっと固まった。

少し間をおいて、
「I bought a one way ticket. もう戻らない」
と歌い始める。
『Almost there』だ。
「片道切符」という歌詞を、
武道館までの道のりをリンクさせるように、
強調して歌っていた。

そのままラストチューンへ。
『Heart Like A Pool』のイントロをBGMにし、
JQが語り始める。

上を見ればキリがない。
足元にも綺麗なものがある。
どこを目指せばわからなくなることもあるけど、
まっすぐ行こうと思います。

「片道切符」から、
「まっすぐ」という言葉に繋げるのが見事。
今までも、
そしてこれからも、
彼らは前だけ向いて進んで行くのだろう。
もちろん、
お客さんと一緒に。
「そばにI’m always feeling you」
そう歌い終えた後、
ステージの端から端まで、
JQは何度もお辞儀をしていた。

物語としては、
ここで終わってもいい。
でもまだ続きがあった。
アンコールに応えたJQは、
最後のMCを、
最後の曲の歌詞を用いて締めくくってくれた。

When you’re going through a bad time, let’s flip the world upside down
(辛いことがあった時は、世界をひっくり返してしまおう)

ちゃんと日本語でも意味を伝えてから、
『LIFE』のアカペラが始まる。
8小節が終わり、
ゆったりと、
あのイントロが流れてくる。
そして少しづつ、
バッキングの厚みが増していく。
なんて、
なんてピースフルなエンディング。
素晴らしい選曲だ。

We hope you have a good time
(楽しいライブだったよね?)

JQと僕らがお互いを想いながら、
共に歌い合い、
幕は閉じた。



どんなアーティストだって、
セットリストにはすごく拘る。
物語を作って、
全員と共有しようとする。
しかし残念ながら、
上手くいかないことの方が多い。
でもJQはやってのけた。
彼の紡いだ物語は、
ひねりも、
押しつけもなかった。
だからこそ、
1万人と物語を共有できたのだ。
広い世代に愛される所以は、
こういうところにあるんだと思う。

「The Party is Over」
パーティーは終わった。
文字通り終わったけれど、
どうしてこんな副題を付けたんだろうか。
「be over」は不思議な言葉だ。
「終わった」と訳すのに、
動詞は現在形。
終わるものと続いていくものが、
一緒にある。
ライブとはそういうものなのかもしれない。

また行きたい。
次のツアーも行きたいし、
夢が再び叶う日が来た時に、
また立ち会いたい。
最高の夜でした。
ありがとう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?