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ヒミズ

2011年に公開された園子温監督作品。染谷将太主演、ヒロイン二階堂ふみ。
このふたり顔の雰囲気似てますよね。横顔とか見るとそうでもないけど、正面のアップだとちょっとしたパニックが起きます。

原作を読んだことはないのですが、内容はだいぶ違うみたいですね。映画にはホラー要素はないですし。

約130分あるのですが、重たく閉塞した空気感がずっと続きます。

ああ、ここでこうなって終わるのかな、と思いきやそこからまだあと1時間あったり、30分あったり。一筋縄ではいかないのだなぁと。かといって胸のすくような感動的なエンディングも待ち構えてはいません。

衝撃なラスト、を持ってこないところがひねっているな、と思ったのですが、例えば主人公が誰かを刺して終わる、自殺して終わるとか、例えば前者のエンディングだったとして、主人公は親をクズ呼ばわりし、そこから生まれる虚無感、無気力や無関心、葛藤を抱えていて、その中でまた親と同じようにクズになっていく姿じゃ意味がないかなと思いますし、後者なら、あの閉塞した雰囲気にも合っていますし納得もできます、そして恐らく当初はこのエンディングだったのでしょう、しかし東日本の震災を受けてストーリーが変わったみたいですね。

主人公の家の側に住むホームレスは福島出身になっていますし、何もかもが崩れてしまっているその土地の映像も何度も見せられます。けれど主人公はそこまでそのことや彼らに感情移入はしていないんですよね。どんな災害や犯罪も、誰にでも重く受け止めてもらえる訳ではない、いやむしろ自分のことで精一杯、でも問題もすぐそばにあって意識には根付いている。どうしようもできない。それが的確に現されている構図です。

わたしはこの作品のラストのような、釈然としないというか、そこに落ち着くのかよ、みたいな、いや、ラストそれでいいんだ、みたいな一種の違和感みたいなのが割と嫌いじゃないみたいで。
待ち構えられたハッピーエンドやはきはきした起承転結、客観性で固められたキャラクターを信用しないたちなのでこういう物語の終わりのほうが好みなのかも。

園子温監督って、過激派みたいな感じな扱いの印象がありますけど、かなりマトモなんじゃないかと思えましたね。気概を感じるというか。真剣さか伝わります。
まだ見たことない方は是非に。

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