『ハレ と ケ』
日本人の伝統的な世界観のひとつ
〈目次〉
1.はじめ
2.「ハレ」と「ケ」の概要
3. 柳田國男の考察
1.はじめに
日本民俗学の開拓者 柳田國男は、「ハレ と zdケ」は、日本人の伝統的な世界観のひとつである、と論じました。
民俗学において、「ハレ(晴れ)」は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、「ケ(褻)」はふだんの生活である「日常」を表します。
また、「ケ(褻)」の生活が順調に行かなくなることを「ケガレ(気枯れ)」と表します。
2.「ハレ」と「ケ」の概要
日本において、ハレの場においては、衣食住や振る舞い、言葉遣いなどを、ケ、つまり日常と区別してきました。
もともとは、ハレとは、折り目・節目を指す概念です。ハレの語源は「晴れ」です。
「晴れの舞台」(=生涯に一度ほどの大事な場面)、「晴れ着」(=折り目・節目の儀礼で着用する衣服)などの言い回しで使用されています。
これ対して、普段着を「ケ着」と言っていましたが、明治以降からは言葉として使用されなくなりました。
また、現代では単に天気が良いことを「晴れ」と言っています。
しかし、江戸時代までさかのぼると、長雨が続いた後に天気が回復し、晴れ間がさしたような節目に当たる日についてのみ「晴れ」と記した記録が残っています。
また、ハレの日には、餅、赤飯、白米、尾頭つきの魚、日本酒などが飲食されました。
これらはかつて日常的に飲食されたものではなかったのです。
また、そのときに使う器もハレの日の利用され、日常では使われてませんでした。
3.柳田國男の考察
柳田國男は「ハレ」と「ケ」という概念について、近代化によって日本民俗が変容したことの根拠の一つとして論じています。
「ハレ」と「ケ」の区別の曖昧化が進行していること(例えば、ハレの儀礼時にのみ行っていた特別な飲食が、日常的に行われる、など)を提示しました。
柳田國男は、何世代か前の人々の「ハレとケ」の区別の仕方と、柳田の同時代の人々の「ハレとケ」の区別の仕方を比較しました。
そして、そこから未来への潮流を読みとろうとしたそうです。
以上
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