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地方創生ファンド

【本の要約】地方を活性化させたい。
そのためには、創業期の企業を支援する「地方創生ファンド」が必要だ。諦めない気持ちが人々を動かす!


著書名

 「地域金融復権のカギ『地方創生ファンド』
  共感・感動のスモールビジネスを育て、
  日本を変える」
著者名:松本直人 氏
出版社:東洋経済新報社


〈目次〉
1.創業期の企業の抱える問題とは
2.ベンチャーキャピタルとは
3. フューチャーベンチャーキャピタルが「地方創生ファンド」を立ち上げた理由
4.フューチャーベンチャーキャピタルが立ち上げた「地方創生ファンド」とは
5. 地方創生ファンドによる創業期の企業のメリット
6. 地方創生ファンドによる地域金融機関のメリット
7. 地方創生ファンドは、投資先企業をどのように
きめているのか?
8.参考:  本書を読んで。私が思ったこと。


1.創業期の企業の抱える問題とは

企業が抱える問題は、どの企業もほとんど共通で、売上、資金繰り、人の問題の3点にほぼ集約される。

その中で、創業期の企業の場合は、売上と資金調達の2点が課題であることが多い。

そして、この2点は、相互に関連し合っている場合も多く見られる。たとえば、売上を上げるための取り組みがあげられる。
→新商品開発や展示会出展などのために資金調達が必要なケースなど。

創業期の企業の資金調達といえば、日本政策金融公庫の創業融資が一般的である。

ただし、創業期の企業は実績もなく、また事業運営自体も事業計画通りに進まないケースが多い。

そのため、必要な融資を継続的に受けられない場合が多い。

必要な資金調達ができないために、成長できないまま、やむなく事業をやめてしまう企業もある。
本書は、そのような創業期の企業への資金支援について書かれている。


2.ベンチャーキャピタルとは
本書の著者は、フュ―チャーベンチャーキャピタル株式会社の代表取締役社長である、松本直人氏である。ベンチャーキャピタルとは、ファンド運営会社の一つで、未上場のベンチャー企業に資金供給するベンチャー企業支援機関です。

ベンチャーキャピタル:未上場のベンチャー企業に資金を供給するファンド運営会社

ファンド:基金(投資するために集めた資金)

未上場企業に資金供給するという点では、地方銀行や信用金庫、信用組合も同じ役割を果たしている。

両者の相違点は、地方銀行や信用金庫、信用組合馬「融資」によって資金供給しているのに対し、
ベンチャーキャピタルは、投資対象企業に「投資」することで資金供給している点である。

企業側から見ると、融資を受けた資金は返済する必要がありますが、投資してもらった資金は返済の必要がない。

ベンチャーキャピタルは、未上場株式に投資し、投資先企業が株式を上場したときに値上がり益を確保する。

成長性のある未上場企業の株式が上場すると、大きな値上がり益を生みだす。
ベンチャーキャピタルとしては、大きなリターンを得られるため、リスクを取って投資を行う。

3.フューチャーベンチャーキャピタルが「地方創生ファンド」を立ち上げた理由

ベンチャーキャピタルは、株式の値上がり益を収益源としています。ということは、投資先企業が上場しないと収益を確保できないということになります。

実際に2008年、リーマンショックが起き、新規上場企業数が激減しました。そして、その後も新規上場企業数はなかなか回復しない状況が続きました。

このような状況の中で、著者の松本直人氏は、「地方創生ファンド」の立ち上げを考えた。

「リーマンショック後の紆余曲折を経て、私は、『どうすればフューチャーベンチャーキャピタルが世の中にとって役立つ会社になるのか』ということを、真剣に考えた。

なぜ、リーマンショックで事業継続性に問題が生じたのかを考えると、出資先企業の株式を上場させ、投資した金額の何十倍、何百倍というリターンを得ることで投資回収を図るという、ベンチャーキャピタルのビジネスモデルそのものに問題があるという、一つの答えが見えてきた。

そこで、こうした従来のベンチャーキャピタルとは違う形で、投資回収を図るための方法を確立できれば、新しいベンチャーキャピタルのモデルになるのではないかと考えた。

こうして編み出したのが、地域金融機関とタイアップした形での、地方創生ファンドだった。

地方創生ファンドは以下のような問題意識をもとに立ち上げられた。

大半の道府県で人口減少する要因は、少子化による自然減とともに、東京への人口流出である。そして、東京に人口が集中する理由はそこに仕事があるからである。

地方経済が活性化し、働く場所ができれば、東京への人口流出を食い止め、首都圏に流出した人を呼び戻すことができる。そのためには、地方の企業を資金と経営の両面から支援し、雇用を増やすことが必要である。

③地方創生ファンドの最大の狙いは、地域での起業を活性化させることで、地域経済を支え、地方からの人口流出、東京への一極集中によって生じる諸問題を解決することにある。


4.フューチャーベンチャーキャピタルが立ち上げた「地方創生ファンド」とは

「地方創生ファンド」は具体的にどのような仕組みで企業支援を行っているか、ご説明する。

まず、地方の金融機関と フューチャーベンチャーキャピタルとが共同で「投資事業有限責任組合」を作ります。「投資事業有限責任組合」とは、「複数の組合員がお金を出し合い、共同で、事業者に対する投資事業を行う組合」です。

地域金融機関はこの組合の「有限責任組合員」(リミテッドパートナー:LP)となります。「有限責任組合員」とは、出資範囲までに責任範囲が限定された組合員です。

フューチャーベンチャーキャピタルは「無限責任組合員」(ゼネラルパートナー:GP)となります。「無限責任組合員」は組合の業務執行を担い、組合債務に無限責任を負います。

立ち上げた「投資事業有限責任組合」(ファンド)は、投資先企業を見つけ、投資先企業に「取得請求権付株式」を発行してもらって、それに投資します。

「取得請求権付株式」とは、特定の条件を付与した「種類株式」の一種です。具体的には、ファンドが投資先企業に対して、投資した株式の買取りを請求したときに、いくらで買い取ってもらうのか事前に取り決めをしておきます。

投資後は、フューチャーベンチャーキャピタルと地域金融機関が共同で継続的に経営支援を行い、業績が順調に伸びてきた段階で、投資先企業に株式を買い戻してもらいます。

投資した時点での株式の価額と、買い取ってもらう際の差額がファンドのリターンになります。


5.地方創生ファンドによる創業期の企業のメリット

地方創生ファンドから投資をうける企業のメリットは以下の3点である。

①実績のない創業期に必要な資金の支援が受けられる。

②ファンドから継続的な経営支援が受けられる。

③事業が軌道に乗り、ファンドから株式の買取りを請求された際には、ファンドに参画している地域金融機関に融資をしてもらうことで、資金調達の不安なく株式の買取りができる。

6.地方創生ファンドによる地域金融機関のメリット

地方創生ファンドに参画することによる地域金融機関のメリットは以下の3点である。

①投資先企業の事業が軌道に乗った後の資金需要に対応でき、地域密着型金融の取り組みを強化できる。

②地方創生に関する取り組みについて認知度やプレゼンスを向上させることができる。

③事業性評価のノウハウを取得できる。


7.地方創生ファンドは、投資先企業をどのように
きめているのか?

・一番大切なことは経営者が「絶対に諦めないか」気持ちを持っているかだ。

諦めない経営者は「この社会的課題を解決して、少しでも世の中を良くしたい」「こんな人たちの役に立ちたい』という想いのある経営者だ。

このような想いを持って仕事をしている経営者は、どれだけ厳しい事態に直面したとしても、絶対といってよいほど諦めない。
仕事をするうえで大勢の人を巻き込んでいき、何よりもそういう会社には大勢のファンがついている。

応援してくれる人たちが大勢いるのは、それだけ共感と感動を呼べるビジネスを行っているからだ。

これこそが、地方創生ファンドの投資先企業を選定する際の、最大の評価軸である。
共感・感動を呼べるビジネスをやっているかどうかという点を徹底的に追及している。


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8.参考:  本書を読んで。私が思ったこと。
人は「どこに目標をおくか?」で日々の行動が違ってくる。日々の積み重ねで未来が決まるとすれば、「どこに目標をおくか?」で、将来生み出す成果や価値も確かに違ってくるように思えた。


以上



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