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噤みの午後 Diary

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「噤みの午後日記」の続編。ただし身辺雑記厳禁。
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#ウンベルトエーコ

ファシズムの夏:その4 フォトエッセイ 「ニュルンベルク裁判所」

ファシズムの夏:その4 フォトエッセイ 「ニュルンベルク裁判所」

ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』(和田忠彦訳 岩波現代文庫)は、戦争犯罪をめぐる考察のなかでニュルンベルク裁判についても言及している。

勝者が勝者の論理によって敗者を裁くという点について、「厳密な適法性もしくは国際的慣例の範囲からみて、あれは越権行為だった」としながらも、エーコは「ニュルンベルクでの議論は一点の落ち度もない。忍耐の限度を超えた振る舞いに対しては、法律を含め、規則を変える勇気

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ファシズムの夏:その3 ウンベルト・エーコ 『永遠のファシズム』

ファシズムの夏:その3 ウンベルト・エーコ 『永遠のファシズム』

『ぼくの兄の場合』を読みながらの日本滞在中、新宿紀伊国屋書店に秋山清の著作を買いに行ったのは、イタリア文学者の和田忠彦さんと対談をする当日だった。対談は「現代詩手帖」の主催によるもので、僕が去年に同時刊行した二冊の詩集『単調にぼたぼたと、がさつで粗暴に』と『小説』をめぐる話だったが、『単ぼた』の方は政治的なプロテスト・ソングという性格の詩集なので、自然と日本の近・現代詩における叙事的な詩、社会性や

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